年度別教育活動

2015年6月25日

第6回ルール大学ボーフム古文書解読ワークショップ「シーボルトたちが見た江戸のニッポン 」(6)

国立歴史民俗博物館・日高「総括チーム」

[共催] 西南学院大学(教育インキュベート・プログラム:海を渡った古文書・浮世絵・書籍のアーカイブ化と国際研究交流の実践 取組責任者:宮崎克則)

[会場] ルール大学ボーフム 東アジア学科 日本史学科講座室

[開催日時]2015年6月25日 11:00~17:00

[参加者]宮崎克則・安部大地・秋山菜誉美(以上、西南学院大学)、野藤妙(九州大学)、松本正子・今橋勢津子(一般参加)、レギネ・マティアス教授・ヤン・シュミット講師・スヴェン・オスター・カンプ教授・大学院生・学生約20人(以上、ルール大学ボーフム 東アジア学科)

[内容]

ルール大学ボーフム 東アジア学科と西南学院大学による合同ワークショップは今回で4回目をむかえます。今回の古文書解読ワークショップで以下の報告が行われました。

秋山菜誉美(西南学院大学学部3年)「シーボルト『NIPPON』のなかの朝鮮」
同時通訳:デービット・クウィラ(The Ruhr-Universität Bochum大学院生)
シーボルト「NIPPON」は、1800年頃の日本の様子を西洋に伝えた本であり、その中には日本だけでなく、朝鮮についても書かれている。当時、朝鮮人が日本の沿岸に漂着することは稀ではありませんでした。シーボルトは漂流民から朝鮮の政治制度、文字といった情報を得て、挿絵とともにまとめた。「NIPPON」のなかの朝鮮に関する挿絵と、オリジナルの絵と比較しながら、シーボルトがどのような意図をもって朝鮮を調査したのかを明らかにした。

野藤 妙(九州大学大学院) 「川原慶賀とCarel Hubert de Villeneuveの絵画制作」
同時通訳:フリーデリーケ・トゥロフスキ、マークレネー・ショルテン(The Ruhr-Universität Bochum学生)
シーボルトの絵師として知られる川原慶賀とフィレニューフェですが、その絵画制作の実態についてはほとんどわかっていません。今回はシーボルトの意向という観点から、両者の絵画制作における役割分担についての発表をしました。特に注目したのは、植物画・動物画・人物画(肖像画・風俗画)という3つの主題の絵画です。ボーフム大学所蔵資料を含む文字資料や残された絵画を併せて考察することで、2人が果たした役割の違いが明らかになりました。それらの役割分担は両者の環境的・技術的な問題から必要となったと考えられます。慶賀とフィレニューフェはそれぞれが描くことができるものを描き、相互に補い合いながらシーボルトの絵画需要を満たしていた、と結論付けました。

安部大地(西南学院大学大学院) 「絵殿遊び―凧揚げ―」
同時通訳:マルセル・ブリス(The Ruhr-Universität Bochum大学院生)
江戸時代、正月になると子どもたちは凧揚げに夢中になっていました。地域によって時期は異なりますが、凧揚げが正月の風物詩となった理由を紹介しました。また、中国から伝来した凧は「イカノボリ」と呼ばれていましたが、どのような経緯で現在の「凧揚げ」になったのか、「凧」という文字の意味の紹介も交えつつ説明しました。最後に、地域ごとの凧の名称について紹介し、後の凧揚げ実践につなげました。

松本正子・今橋勢津子(一般参加) 「実践:凧作り・凧揚げ」
同時通訳:ヤン・シュミット(The Ruhr-Universität Bochum准教授)
ヨーロッパでは、手に入らない、竹ヒゴや和紙・凧糸などを日本から持参しての今回のワークショップ参加でした。教室が狭く二カ所に別れ全員が一緒に作ることが出来ず、どうなることかと心配しましたが、それぞれに個性豊かな凧が出来上がり、童心に帰って嬉々として走り回る姿にうれしく思いました。またボーフムでの収穫は、今回ドイツで伝えた日本の凧によく似た凧がドイツにもあるとマティアス教授に聞きました。竹ではなく木を使っているとのことで、少々異なる点があるようです。


秋山菜誉美発表風景

(西南大学HP http://seinanmi.seinan-gu.ac.jp/Germany/workshop.html より)

 

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