基幹研究

列島における生活誌の総合的研究

(総括研究代表者 本館 民俗研究系・教授 常光徹)

兆・応・禁・呪の民俗誌

研究期間:平成19年度~平成21年度

研究代表者 常光 徹 (本館・研究部)
研究組織 川野 和昭 (鹿児島県歴史資料センター)
川田 牧人 (中京大学)
横山 泰子 (法政大学)
川島 秀一 (気仙沼リアス・アーク美術館)
斉藤 研一 (武蔵大学)
小嶋 博巳 (ノートルダム清心女子大学)
花部 英雄 (國學院大学)
鈴木 正崇 (慶應義塾大学)
梅屋 潔 (神戸大学大学院)
勝田 至 (芦屋大学)
梅野 光興 (高知県立歴史民俗資料館)
篠原 徹 (人間文化研究機構)
鯨井 千佐登 (宮城工業高等専門学校)
安室 知 (神奈川大学大学院)
崔 錫栄 (韓国中央大学校)
小池 淳一 (本館・研究部)
山田 慎也 (本館・研究部)
大久保 純一 (本館・研究部)
村木 二郎(本館・研究部)
松尾 恒一 (本館・研究部)

研究目的

本研究は、俗信という用語で総称される「兆」「応」「禁」「呪」に関する知識と技術のあり方を、民俗学を基軸に考古学、歴史学、文化人類学、宗教学等の知見を総合することで、多面的な視座から明らかにしようとするものである。

兆(予兆)は「カラス鳴きがわるいと誰か死ぬ」といった伝承で、ある現象を手がかりとして現在から未来を推測する知識をいい、その対象は自然現象をはじめ身体、動植物など多岐に及ぶ。応は何らかの結果を確認して、つまり現実に発生した事象から過去に向かって原因を推測する知識である。禁(禁忌)は「何々をしない」という禁止事項で、違反した際の予想される制裁を伴っている場合が多い。呪(呪術)は主に災禍を防ぎ除去するための手段・方法だが、禁忌と呪術は共に生活技術として機能しているといってよい。

知識・技術としての俗信は、列島における民俗文化の多様な領域に亘って伝承されているだけでなく、史資料をはじめ文学作品や絵画資料等のなかに数多く確認することができる。本研究では、俗信の民俗をめぐる多彩な研究の可能性を探るとともに、文献資料や絵画資料等にみえる俗信がどのような意味を含み、歴史的展開や変容の過程をたどったのか、諸資料をもとに現在の伝承を視野に入れながら解明したい。また、俗信の実態調査を行い、生活の具体的な場面で機能している伝承の拘束性や民俗的な意味について明らかにする。従来、「兆」「応」「禁」「呪」は心意現象と深くかかわる伝承として注目されてきた。俗信の深層にある人びとのものの感じ方や世界観といった心性をめぐるテーマも検討課題である。とくに、本研究の成果を総合展示に活用する目的から、妖怪や幽霊を対象とした他界観に関する議論を深めたい。

研究会開催予定-高度経済成長と生活変化

日程:
2009年10月24日(土)13:00~17:00
2009年10月25日(日) 9:30~12:30
場所:国立歴史民俗博物館 第2会議室

備考

報告者・タイトル
24日
柏木善治「南関東の装飾古墳-壁画に見る葬送観念-」(仮)
山田嚴子「出産をめぐる俗信」

25日
山田慎也「葬儀の俗信」(仮)
小池淳一「禁呪兆占と宗教者」