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このたび、国立歴史民俗博物館では、企画展示「弥生ってなに?!」を、夏休み期間中含む2014年7月15日(火)から9月15日(月振休)まで開催いたします。展示のテーマは弥生文化をいろいろな角度から徹底的に考えること。土偶を使った祭りを行った水田稲作民、弥生人が見ていた金ぴかに光る青銅器、遺跡出土の女性の頭の骨から復顔した等身大の高貴な弥生女性など、弥生の姿を新しい年代観とともにお届けします。魏志倭人伝に出てくる大人(たいじん)層の女性用衣装の試着、スマホを使った展示解説などにもご注目ください。

開催概要

弥生ってなに?!
開催期間2014年7月15日(火)~9月15日(月・祝)
開催期間 2014年7月15日(火)~9月15日(月・祝)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室
料金

一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /
小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体 

※総合展示もあわせてご覧になれます。 
※毎週土曜日は高校生は入館無料です。

開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
休館日 月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
※8月11日は開館します
主催 国立歴史民俗博物館

企画主旨

-土偶は縄文だと思ってはいませんか?

紀元前10世紀に九州北部で水田稲作が始まってから、3世紀に近畿で前方後円墳が造られるまでの約1200年間つづいたのが弥生時代です。この時代の日本列島には弥生文化だけでなく、本州東部の縄文文化(前4世紀以前)、北海道の続縄文文化(前4世紀以降)、奄美・沖縄の貝塚文化など複数の文化が広がっていました。多様な文化が日本列島に花開いた最初の時代だったのです。

本格的な水田稲作を行う弥生文化も地域や時期によってさまざまな表情をみせます。たとえば水田稲作をへて古墳時代へ向かう地域はもちろん、水田稲作を手放し採集狩猟生活へ戻る地域もありました。

水田稲作を行いながらも各地でみせるさまざまな表情をずっと私たちは弥生文化の多様性と考えてきましたが、弥生文化とは別の文化と考えてもよいのではないかという視点でこの展示を考えました。

今回の展示はこうした疑問点から出発します。水田で米を作りながらも縄文人が使っていた土偶の祭りを行う人びとなど、研究者によって評価が分かれる農耕文化をとりあげ、本館の藤尾慎一郎教授と東京大学の設楽博己教授との論争展示という初の試みによって、弥生文化とはなにかという問題について考えてみたいと思います。

見どころ

全国の弥生遺跡の出土品と資料約400点にもとづき、二人の教授が独自の「弥生論」を展開

本展示は、「弥生時代の土偶」という不思議な出土品から扉を開き、4つのテーマに分けて、本館の藤尾慎一郎教授と東京大学の設楽博己教授、二人の教授の「弥生論」を、全国の弥生時代の遺跡から発掘された出土品や資料、約400点を展示しながら展開します。そして最後に、どちらがあなたの思う「弥生文化」か、投票してもらいたいと思います。プロローグをくぐった全ての人が「弥生時代」の研究者! 一緒に古代日本の世界を想像してみてください。

【教授 紹介】

藤尾慎一郎(ふじお しんいちろう)

1959年福岡県生まれ。専門は弥生時代の考古学。特に、稲作など農耕社会の成立と炭素14年代測定法による年代との関連について研究している。2002年に「弥生変革期の考古学的研究-縄文人が水田稲作に専業化した理由」で博士(文学)の学位を取得(広島大学)。現在は国立歴史民俗博物館副館長。


【著書】
『縄文論争』講談社選書メチエ、2002
『弥生変革期の考古学』同成社、2003
『〈新〉弥生時代 500年早かった水田稲作』吉川弘文館 歴史文化ライブラリー、2011

設楽博己(したら ひろみ)

1956年群馬県生まれ。専門は日本の縄文時代・弥生時代の考古学。特に、土偶、土偶型容器、入れ墨などについて研究している。2006年に「弥生再葬墓とその社会の考古学的研究」で博士(文学)の学位を取得(筑波大学)。現在は東京大学大学院人文社会系研究科考古学研究室教授。


【著書】
『弥生再葬墓と社会』塙書房(2008)
『遺跡から調べよう!』たかおかゆみこ絵、童心社(2013)

日本最古のイエネコ(の骨)展示。イエネコのルーツを探りました

最後の氷期が終わり日本列島が形成された頃の生態系から、日本にヤマネコ以外のネコ科動物はいなかったことがわかっています。では日本猫はいつ、どこから伝来したのか? 意外にも、まだよくわかっていません。今回の展示では、壱岐のカラカミ遺跡で発見された紀元前3世紀頃の成体と幼体2体の猫の骨(一部)をパネルで紹介。同時期の韓国でもイエネコの痕跡が見つかっていることから、イエネコの祖先とされるリビアヤマネコをパネルで示します。当時舶来品を飼育できたのは高貴な身分の人。「高貴な身分の人の飼い猫」という想定です。

弥生時代の等身大女性像を復元 推定年齢17歳、高貴な身分のお嬢様

弥生時代の等身大女性像「弥生ちゃん」(仮)

本展示では、弥生という時代をよりリアルに想像してもらえるよう、様々な復元模型やパネルを用意しました。その目玉が、等身大の弥生時代の女性像です。山口県土井ヶ浜で発見された実物の頭がい骨をもとに顔を復元し、頭がい骨から推定される全身像を想像しました。服装は当時の高貴な女性が身に着けていた衣裳を。アクセサリーも弥生文化の“お嬢様”が身に着けていたと思われるものを、出土品をもとに再現。古代のお嬢様が皆様をお迎えします。

会場ではこの女性の名前を募集! かわいい名前を付けてあげてください!

高貴な弥生ファッション復元! 当時と同じ染色、織りを再現しました

復元した帯・バンダナ・首飾り

弥生の人々も、特に高貴な方々は色鮮やかで華やかなファッションを楽しんでいたようです。そこで発掘された端切れなどから染色成分や織り方を解析し、当時の衣装を復元しました。染色には日本に自生している植物を使い、織り方も様々な研究にもとづいた織りでつくられた衣装を展示します。帯やバンダナ、首飾りなど装飾品も再現。弥生の人々は、色彩感覚豊かなオシャレさんだったことが伺えます。

また、当時の織物の手触りを体験できる、触れる切れ布もご用意しています。実際に触って確かめてみてください。

展示構成

プロローグ 銅鐸と銅矛は弥生、土偶は縄文だと思ってはいませんか?

実は右の土偶、前4世紀の青森の水田稲作民が使っていたものです。
彼らは縄文人でしょうか?それとも弥生人でしょうか? さあ、教科書には書かれていない弥生ワールドへあなたも!

【主な展示資料】

  • 弥生人が見ていた銅鐸と銅矛(復原複製 本館蔵)
  • 水田稲作民が使った土偶(弘前市教育委員会蔵)

第I部 弥生のDNA

弥生文化がもつ三つの遺伝子を取り上げます。縄文、中国・朝鮮半島、そして弥生独自のDNA。このコーナーでは教科書にも出てくる有名な弥生時代の資料が、どの遺伝子をもっているのか、調べてみましょう。

【主な展示資料】

  • 朝日遺跡石器(愛知県埋蔵文化財調査センター)、骨角器(愛知県教育委員会:重要文化財)
  • 雌鹿塚遺跡鳥形木製品(沼津市教育委員会)
  • 西川津遺跡土笛(島根県埋蔵文化財センター)

第II部 弥生をながめる

弥生文化がもつ三つの顔を取り上げます。農耕、社会・祭りという顔です。 三つの表情の組み合わせを微妙に変えることによって弥生文化は地域ごとの顔をもちます。このコーナーでは各地のいろいろな表情をもつ農耕文化を取り上げ、弥生をながめることにしましょう。

【主な展示資料】

  • 弥生人が見ていた青銅製武器(復原複製 本館蔵)
  • 吉武高木遺跡から出土した最古の王の副葬品(復原複製 本館蔵)
  • 日本各地の初期水田立地模型(宮崎県都城市、長野県伊那谷、青森県岩木山麓 本館蔵)

第III部 弥生の時間

弥生の時間は地域によって長短があります。もっとも長いのは最初に水田稲作を始めた九州北部。もっとも短いのは水田稲作の始まりが遅かった関東南部です。このように地域によって異なる弥生の時間について考えてみることにしましょう。

【主な展示資料】

  • 最後の縄文土器(鹿児島県立埋蔵文化財センター、青森県立郷土館)
  • 最古の弥生土器 複製品(福岡市埋蔵文化財センター)
  • 広田遺跡貝製装飾品(本館蔵:重要文化財)

第IV部 弥生のひろがり

弥生の東限は東北や北関東の農耕文化をどう考えるのかによって異なります。このコーナーでは東北北部の水田稲作民に光をあて、弥生のひろがりについて考えてみましょう。

【主な展示資料】

  • 九州北部最後の縄文人の道具—福岡市大原D遺跡(福岡市埋蔵文化財センター蔵)
  • 最古の水田稲作民の道具—福岡市橋本一丁田遺跡、雀居遺跡、原遺跡(福岡市埋蔵文化財センター蔵)
  • 九州南部最後の縄文人の道具—稲荷迫遺跡(鹿児島県立埋蔵文化財センター)
  • 九州南部最古の水田稲作民の道具ー坂元A遺跡、黒土遺跡、肱穴(ひじあな)遺跡(都城市教育委員会蔵)
  • 中部地方最古の畑作民の道具—矢崎遺跡、石行(いしぎょう)遺跡(飯田市教育委員会蔵)石行(いしご)遺跡(松本市考古博物館蔵)
  • 東北最古の稲作民の道具—砂沢遺跡(弘前市教育委員会:重文)
  • 東北北部の大陸系磨製石器—荒谷遺跡(八戸市南郷歴史民俗資料館)
  • 東北の稲作民の道具—史跡垂柳遺跡(田舎館村教育委員会)
  • 東北でも屈指の木製農具を出土した高田B遺跡(仙台市教育委員会)

エピローグ

DNA、顔、時間、ひろがりについてみてきました。各地にいろいろな農耕文化が花開いていたことがおわかりに なったと思います。あなたはそのうちどれが弥生文化だと思いますか?全部?それとも一部?

【主な展示資料】

  • 山口県土井ヶ浜遺跡から見つかった女性の骨を復顔した弥生ちゃん(仮称)等身大ドール

縄文の美、弥生の美

歴博には複製品ばかりが並んでいると思っていませんか?実はこんなに実物資料があるんです。余計な 説明はいたしません。歴博がもつ縄文・弥生の優品をご鑑賞ください。歴博初の考古美術展の始まりです。

 

【主な展示資料】

  • 北海道鮎川洞窟の白玉着装土偶、青森県槻の木遺跡の土器・石器・ヒスイ製勾玉、青森県是川遺跡の香炉形土器、山梨県柳田遺跡の縄文土器、成田市荒海遺跡の石棒、佐倉市井野長割遺跡の異形台付土器
  • 長崎県シゲノダン遺跡の副葬品一括(重文)、愛媛県保田遺跡の平形銅剣一括、兵庫県古津路遺跡の中細銅剣一括、山口県地蔵堂遺跡の連弧文「精白」銘鏡と蓋弓帽、岐阜県瑞龍寺山の「長宜子孫」銘内行花文鏡、滋賀伝琵琶湖1区流水文銅鐸、大阪府野口大和田駅構内4区袈裟襷文銅鐸、三重県赤目遺跡6区袈裟襷文銅鐸、徳島県畑田遺跡6区袈裟襷文銅鐸、福井県向笠遺跡6区袈裟襷文銅鐸、推定福岡県三並ヒエデ遺跡中細銅戈、福岡県天神浦遺跡中広銅矛、大分県上原遺跡広形銅矛、福岡県伝太宰府広形銅矛

歴博講演会

第368回 「弥生ってなに?!」

開催日時 8月9日(土) 13時00分~15時00分
会場 国立歴史民俗博物館 講堂
講師 藤尾 慎一郎(本館考古研究系)
定員 260名(先着順)
入場料 無料 (事前申込不要。当日会場までお越しください)

詳細はこちら

ギャラリートーク

詳細日時および解説コーナーにつきましては当館ホームページ上にてお知らせいたします。

弥生人の衣装体験コーナー

企画展開催期間中毎日実施
展示場内にて弥生人の成人女性、および女児の衣装とアクセサリーを試着できます。 試着時は、当館スタッフが介助します。また、お手持ちのカメラやスマートフォン等での記念撮影も可能です。 女性を対象とした体験ですが、男性の方も試着できます。
*身長165cm以下の方に限ります。

鋳造体験

鋳造体験の様子(銅鏡)

銅鏡(三角縁神獣鏡・内行花文鏡・方格規矩鏡)、銅鐸,富本銭、和同開珎の鋳型に、 融かした金属を流し込んで、自分だけの製品を作ることができます。 鏡は自分の顔を写せるかも?

※詳細日時につきましては当館ホームページ上にてお知らせいたします。
※小学生以上が対象となります。また、小学生は保護者の同伴が必要です。

定員 各回10名(1日3回実施) *当日先着順にて受け付けます
料金 材料実費がかかります(制作内容に応じて600 ~1600円程度)

銅鐸・銅鏡の文様を写す

企画展開催期間中毎日実施
銅鐸と銅鏡の表面に描かれた模様を、紙に写し取って、拓本の体験をしてみましょう。

クイズ

企画展開催期間中毎日実施
企画展示A室には8ヶ所の質問コーナーを設けています。最初の質問コーナーに回答用紙がありますので、あなたが正しいと思う答えに丸をつけていってください。企画展示B室に解答用紙を置いていますので答え合わせをすることができます。歴博HP上で回答状況の集計を行います。展示をご覧になった方が弥生文化をどのように考えているのか、傾向を知ることができます。 また、アンケート投票箱を置いていますので、あなたの答えを転記して投票箱にお入れください。今後の参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。

くらしの植物苑観察会

第184回 「コメと水」

開催日時 7月26日(土) 13:30 ~ 15:30
会場 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
講師 西谷 大(本館考古研究系)
入苑料 100円 (事前申込不要。当日会場までお越しください)

詳細はこちら

同時期開催

総合展示 第4展示室 特集展示

「中国・四国地方の荒神信仰-いざなぎ流・比婆荒神神楽-」

開催日時 2014年7月23日(水)~ 2015年1月12日(月祝)
3~9月 9:30~17:30  10~2月 9:30~16:30
会場 国立歴史民俗博物館 第4展示室
入苑料 一般 420円(350円)、高校・大学生250円(200円)、小中学生 無料

総合展示 第3展示室 特集展示

「江戸図屏風と行列」

開催日時 2014年8月5日(火)~ 9月15日(月祝) 9:30~17:30
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室
入苑料 一般 420円(350円)、高校・大学生250円(200円)、小中学生 無料

くらしの植物苑特別企画

「伝統の朝顔」

開催日時 2014年7月29日(火)~ 9月15日(月祝)9:30 ~ 16:30(入苑16:00まで)
会場 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
入苑料 個人(高校生以上)100円 団体(20名以上)50円 ※小中学生無料
解説会 7月29日(火)11:00開会 申込不要

次回企画展予告

国際企画展示 「文字がつなぐ-古代の日本列島と朝鮮半島-」

2014年10月15日(水)~ 12 月14日(日)

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本展の資料画像を、広報素材としてご提供いたします。別紙返信用紙に必要事項をご記入のうえご返信ください。画像(JPEG)を、メールでご送信いたします。

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  • 基本情報、図版使用の確認のため、ゲラ刷り・原稿の段階で広報事務局までお送りいただきますようお願いします。
  • 掲載、放送後は必ず、掲載誌、同録テープを、本展広報事務局へ1部お送り願います。
青森県砂沢遺跡 土偶   山梨県岡遺跡 土偶形容器複製品
1) 青森県砂沢遺跡 土偶 前4世紀
弘前市教育委員会蔵
 
2) 山梨県岡遺跡 土偶形容器複製品 前4~前3世紀
国立歴史民俗博物館蔵
重要文化財 鹿児島県広田遺跡 貝製装飾品  
3) 重要文化財 鹿児島県広田遺跡 貝製装飾品 4世紀
国立歴史民俗博物館蔵
 
4) 弥生人が見た前3世紀の銅鐸 復原複製
国立歴史民俗博物館蔵
弥生人が見た前3世紀の銅鐸   青森県槻ノ木遺跡 玉類一括
5) 弥生人が見た前1世紀の銅矛 復原複製
国立歴史民俗博物館蔵
 
6) 青森県槻の木遺跡 玉類一括 3200~2800年前
国立歴史民俗博物館蔵

本リリースに関するメディア問い合わせ先

国立歴史民俗博物館 広報事務局(株式会社ユース・プラニング センター内)担当:佐々木・岩川  
〒150-8551 東京都渋谷区渋谷1-3-9 東海堂渋谷ビル3F
TEL:03-3406-3411/FAX:03-3499-0958/Mail:rekihaku@ypcpr.com

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国立歴史民俗博物館
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