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岐阜市歴史博物館の「楽市場立体絵巻」について

2005年3月26日に、岐阜市歴史博物館の常設展示がリニューアルオープンしました。

新しい展示の目玉である「楽市場立体絵巻」は、織田信長当時の岐阜城下町をテーマとしており、信長が入城直後に商人の集住をはかるための制札を立てた、「楽市場」(後に「加納」)と呼ばれた市場の一部を実物大で再現したものです。
制作にあたっては私も協力させていただきましたので、ここで御紹介してみます。(もちろん許可を得ていますが、この部分はだれでも撮影自由です。)
時代設定は、信長の入城後2年ほどたった永禄12年(1569)6月で、これは再現のひとつの典拠である詳しい記録を残してくれた、宣教師ルイス・フロイスが滞在した時です。

左手前の家が、フロイスが泊まった宿屋であり、塩屋でもあって、かつ信長の馬廻りでもあったという大脇伝内の家です。この人物が信長のもとで実際の町立てに尽力した商人頭的な人間と考え、そこは市場の中心である市神の榎(えのき)が立つ場所で、信長の制札もそこに立てられていた、と想定しています。

実際にそこまで特定できる考古学的な証拠などがあるわけではないので、このような想定も、また建物などもすべて推測であり、「復原」というよりは、楽市場を語り、想いをはせてみるためのステージ、と割り切って考えていただきたいと思います。
写真1

この展示の一つの特色は、この場所を利用したさまざまな体験ができることで、当時の遊びなどもありますが、なんと言っても人気なのは、実際に衣装を着用できる「コスプレ楽市場」でしょう。「信長」「斎藤道三」「武家の女性」「マント」「よろい」などが考証の上で用意されており、ボランティアの方によって着付けもしていただけます。
写真2   写真3

せっかくなので、私も「信長」を着用させていただきました。 これは、信長に仕えた太田牛一が著した『信長公記』に描かれている、「・・・ゆからびらの袖をはずし、・・・御腰のまわりには猿つかいのように火打ち袋・ひょうたん七つ八つ付けさせられ、虎皮・豹皮四つかわりの半袴をめし・・・」という、斎藤道三に面会に行った時の、若き日の信長の姿を再現したものです。

なんだか、手前の人たちは「あの変な人だれ?」と言ってるみたいですが、この二人(右は塩を運んできた商人です)は、もちろん榎と制札についての話をしているのです。(近づくと会話が聞こえてきます。)

皆様もぜひこの新しい展示をお楽しみください。
写真4

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