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主な著作

これまでに出した主な本を掲げました。機会があれば、手にとっていただければ幸いです。
2019年6月現在

<単書>
[1] 『城と城下―近江戦国誌―』 (新人物往来社、1997年5月、3000円+税)
(再刊:吉川弘文館、2018年11月、2400円+税)

城館や城下町遺跡の調査では、近江の事例を多く手がけてきました。特に、80年代から県が行った中世城館調査事業には、10年間ずっと参加させていただき、その間にいろいろな知見をえることができました。地名や伝承しか残っていないような村の城館から、戦国大名や天下人の城下町まで、現地に即した研究の面白さを伝えたく、さまざまな機会に書いた文章をまとめたものです。

[2] 『イギリスの博物館で―博物館教育の現場から―
 (歴博ブックレット16)』
(歴史民俗博物館振興会、2000年10月、700円)

98年から99年にかけて、博物館教育について学ぶために、在外研究員としてイギリスに滞在しておりました。その際に見てきた彼の地の博物館教育について書き下ろした物です。
先進国であるイギリスの事例を紹介するだけでなく、「博物館教育」や「エデュケーター(教育員)」とは何か、という全体的な問題について、イギリスの例を借りながら、私なりにイメージを作ってみたつもりです。
歴博などの売店で売っているほか、歴史民俗博物館振興会で通信販売も行っています。

[3] 『戦国・織豊期の都市と地域』 (青史出版、2005年11月、8500円+税)
歴史学でのこれまでの主要な論文をまとめた論文集です。日本史の大きな分水嶺であった15世紀から16世紀において、社会がどのように変動し、地域の中から都市はどのように生まれ、そして城下町に集約されていくのかを解明しようとしたものです。城下町の歴史地理的な復元や、楽市令、制札、地域一揆などについての考察が含まれています。
[4] 『信長とは何か』 (講談社選書メチエ、2006年3月、1500円+税)
信長の一代記の形をとりながら、当時の社会が持っていたさまざまな可能性を探ろうとした試みです。「生活史」を標榜する歴博の職員としては、権力者の個人史を書くことに抵抗もあったのですが、結果としては、社会的な背景の中の信長を書くことで、信長自身の論理からは距離を置いた叙述をすることができたのではないかと自負しています。歴博の所蔵資料や、複製・CGなどの歴博での仕事に触れられたのもよかったと思っています。
[5] 『描かれた戦国の京都―洛中洛外図屏風を読む―』 (吉川弘文館、2009年10月、2,200円+税)
現存最古の洛中洛外図屏風である「歴博甲本」など、戦国期の京都を描いた「初期洛中洛外図屏風」の内容を読み解き、その制作目的などを推定したもの。「歴博甲本」には、発注者の細川高国、絵師の狩野元信など多くの「登場人物」が登場し、そこから始まる一連の初期洛中洛外図屏風は、ひとつの大河ドラマとして読むことができる―という見方で、Webギャラリーの高精細画像も眺めてみてはいかがでしょうか。
※初刷の正誤表はこちら
[6] 『洛中洛外図屏風―つくられた<京都>を読み解く―』 (吉川弘文館歴史文化ライブラリー、2016年4月、1700円+税)
洛中洛外図屏風は、室町時代後期、16世紀初めころから作り始められ、19世紀、江戸時代後期まで描き続けられました。なぜこんなにも長い間、京都は描かれたのか。現存する作品を時代順に整理しながら、それぞれが描かれた時代背景を考察しました。江戸時代の終わりまで通した洛中洛外図屏風の通史としては、初めてのものになると思います。作品全体の世界を知るためのガイドブックとして、ご利用いただければ幸いです。
[7] 『中世の古文書入門―読めなくても大丈夫!―』 (河出書房新社、2016年10月、1600円+税)
2013年秋に開催した企画展示「中世の古文書―機能と形―」を書籍化したもので、日本の中世文書にはどんなものがあるかを示した入門書です。主に様式などの「形」を解説して、くずし字を読むのではなく、見た目の面白さで古文書を楽しむ、というコンセプトでしたが、やはり字も読みたい、という要望があるので、本には載せられなかった活字の読み(釈文)をこのページに載せました。 
釈文はこちら
【第1刷の訂正】 94頁「織田信長制札(加納宛)」の「永徳十一年」は、「永禄十一年」の誤りです。
【第2刷における修正について】 こちらをご覧ください。
<編著>
[1] 『城館調査ハンドブック』

〔千田嘉博・前川要と共著〕
(新人物往来社、1993年10月、2000円+税)

考古学の立場から中世城館を研究しておられた千田・前川両氏とは、若い頃から全国のいろいろな遺跡を共同調査してきましたが、その体験を元に、中世城館を概観しながら、その調査方法について述べたものです。少し古くなりましたが、中世城館の入門書として需要があり、まだ版を重ねています。
[2] 『天下統一と城(歴博フォーラム)』 (千田嘉博・小島道裕編、塙書房、2002年3月、2800円+税)
2000年秋の企画展示に際して行った歴博フォーラムの記録です。この時に作成した安土城と城下のCGは話題を呼び、今でもテレビなどでよく引用されています。本書では、安土城の発掘に従事された木戸雅寿氏、城郭研究の村田修三氏、中世史の永原慶二氏らも交えて、特に安土城の意味についてはかなり本気で議論しています。その他にも、私の「花の御所の糸桜」など図録に掲載された論文の再録も含めて、城館のさまざまな事例と側面が紹介されています。
[3] 『歴史展示とは何か
 (歴博フォーラム「歴史系博物館の現在・未来」)』
(国立歴史民俗博物館編、アム・プロモーション、2003年11月、2800円+税)
2000年から2004年にかけて、歴史展示と博物館教育のあり方について、科学研究費による共同研究を行いました。このフォーラムは、その一環として開催したもので、歴史展示をめぐる博物館史上の問題や、展示と教育のあり方について、第一線の研究者が報告と討論を行っています。筆者も、歴博の常設展示を事例に報告しました。
[4] 『歴史展示のメッセージ(歴博国際シンポジウム)』 (国立歴史民俗博物館編、アム・プロモーション、2004年12月、3000円+税)
[3]と同じ科研の最終的な集会として開催した国際シンポジウムの記録です。シンポジウムのテーマは、「歴史展示を考える―民族・戦争・教育―」で、三つのテーマに分かれて、日本、オーストラリア、韓国、アメリカの報告者が、それぞれの館の事例を紹介しながら、先鋭的な問題を提起しています。ドイツで行われた戦争責任を問う展示についての調査報告も載っています。特に民族や戦争の問題を通じて、歴史の当事者でなければできない展示と、さらにそれをどのように普遍化していくか、という問題が浮かび上がったように思います。
[5] 『史跡で読む日本の歴史 7 戦国の時代』 (小島道裕編、吉川弘文館、2009年12月、2800円+税)
史跡によって歴史を叙述しようというシリーズの一冊です。城館、都市、生産(窯業・鉱業)といった、この時代を特徴付ける史跡を、それぞれの専門家が執筆しています。私は、総論と、これまで扱ってきた、戦国期の城下町、国人館、寺内町・港町などの問題を取り上げています。混乱と疲弊の時代と見られがちな戦国時代が、実は近世以降の新たな社会を生み出す蓄積を作った時代だったことが、具体的な遺跡を通じて見えてくるように思います。
[6] 『武士と騎士−日欧比較中近世史の研究−』 (小島道裕編、思文閣出版、2010年3月、9000円+税)
フランスの研究者とご縁があって行なってきた、「武士と騎士」をめぐる4回の国際シンポジウムを元に、日仏の研究者が、それぞれの専門分野で執筆した論集です。比較史としてはポピュラーなテーマですが、ヨーロッパのヨーロッパ史研究者と日本の日本史研究者が研究を突き合わせてみたという点で、なかなか面白い本になったのではないかと思います。人間文化機構の連携研究として進めてきた、「武士関係資料の総合化」の報告書でもあり、資料論的な観点の論考が多いのも一つの特色です。


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