『もの』からみる近世「和宮ゆかりの雛かざり」(第3展示室)
開催概要
展示名称 | 「和宮ゆかりの雛かざり」 |
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開催期間 | 2015年2月24日(火)~4月5日(日) |
開館時間 | ~2月 : 9時30分~16時30分(入館は16時00分まで) 3月~ : 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで) |
料金 | 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円/中学生以下無料 ( )内は20名以上の団体 ※総合展示もあわせてご覧になれます。 ※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。 |
休館日 | 月曜 (休日の場合は翌日を休館日とします) |
会場 | 国立歴史民俗博物館 第3展示室 副室 |
趣旨
幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁しました。
今回の特集展示で展示する雛人形・雛道具類(当館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれます。
上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めました。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていきました。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようです。当館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重です。
みどころ
- 和宮所用と伝えられる雛人形は、有職雛(直衣雛)という貴族的な面立ちの上品な人形で、幕末期の富裕層における雛人形の典型的な作例です。
- 婚礼調度をミニチュアとして作った雛道具は、約80点を数えますが、当時の流行を反映して、ガラス製の器なども含まれます。江戸上野池之端にあった有名な雛人形店、七澤屋製と推測されます。
- 御所人形・三ツ折(みつおれ)人形には、和宮が兄の孝明天皇(こうめいてんのう)の形見として譲渡された由緒のある人形も含まれます。
主な展示物
内裏雛及雛道具付御所人形より
- 有職雛(直衣雛)
- 御所人形 孝明天皇遺物など 13躯
- 三ツ折人形 孝明天皇遺物のうち 2躯
- 須磨明石図屏風
- 狗張子
- 牡丹唐草文蒔絵雛道具
など約100点
1) 有職雛(直衣雛)(本館蔵) | 2) 唐机と文具(本館蔵) | 3) ギヤマン酒宴道具(本館蔵) |
4) 小倉百人一首(本館蔵) | 5) 牡丹唐草文蒔絵雛道具 〔手拭(てぬぐい)掛・鏡立・櫛台・盥(たらい)・鼻紙台・角盥(つのだらい)・嗽椀(うがいわん)・鉄漿(かね)道具〕(本館蔵) |
6) 牡丹唐草文蒔絵雛道具 〔書棚・厨子棚(ずしだな)・黒棚〕(本館蔵) |
7) 四季棚(本館蔵) |
8) 三ッ折人形(男まげ)(本館蔵) | 9) 御所人形(牛若と弁慶)(本館蔵) | 10) 内裏雛及雛道具(本館蔵) |
ギャラリートーク
日程 | 時間 | 担当者 |
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2015年3月3日(火) | 13:30~ | 澤田 和人 (当館情報資料研究系 准教授) |
『もの』からみる近世「新収資料の公開-江戸の小袖-」
開催概要
展示名称 | 「新収資料の公開-江戸の小袖-」 |
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開催期間 | 2014年12月9日(火)~2015年1月18日(日) |
開館時間 | 9時30分~16時30分 (入館は16時00分まで) |
料金 | 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円/中学生以下無料 ( )内は20名以上の団体 ※総合展示もあわせてご覧になれます。 ※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。 |
休館日 | 月曜 (休日の場合は翌日を休館日とします) |
会場 | 国立歴史民俗博物館 第3展示室 副室 |
趣旨
「林あや染織コレクション」は、まれに見る大規模な近世・近代の染織コレクションです。このコレクションは、一般に公開されたことがなく、研究者にもほとんど知られていません。
このたびの特集展示は、昨年度に本館が「林あや染織コレクション」の寄贈を受けたことを速報し、重要なコレクションの存在を広く知っていただくために企画しました。
コレクションに含まれる資料の種類と時代は多岐にわたりますが、今回は、近世(江戸時代)の展示室の一画で開催しますので、江戸時代の小袖を中心に展示し、「林あや染織コレクション」の紹介の第一弾といたします。
みどころ
展示資料は、すべて初公開です。中には、類例が少ない資料、作行きがとくに優れた資料が含まれます。
類例が少ない資料としては、「浜松模様振袖」が挙げられます。唐織という技法で織られたもので、類例はわずかに他に2点しか知られていません。
作行きがとくに優れた資料としては、「四季柳模様小袖」が挙げられます。江戸時代後期に流行した白上がりという技法で模様が表現されていますが、この資料はとくに洗練されたデザインとなっており、最も優れた白上がりの作例の一つとして数えられるでしょう。
また、「羽衣模様振袖」も作行きがとくに優れた資料の一つです。幕末明治期の友禅染の特徴である渋くて粋な色調で彩られており、なおかつ、施行が丁寧で格調高く、当代の流行の第一線をいくものであったと捉えられます。
【展示代表 紹介】
澤田 和人(さわだ かずと):国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 准教授
主な展示物
※内容は変更になる場合があります。
・浜松模様振袖
・花束団扇模様振袖
・四季柳模様小袖
・松竹梅鶴亀模様帷子
・羽衣模様振袖
・菊団扇模様掛下帯
・仙人模様帯
など約14件(すべて本館蔵)
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ギャラリートーク
日程 | 時間 | 担当者 |
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2015年1月17日(土) | 13:30~ | 澤田 和人 (当館情報資料研究系 准教授) |
『もの』からみる近世「紀州徳川家伝来の楽器-笛-」(第3展示室)
開催概要
展示名称 | 「紀州徳川家伝来の楽器-笛-」 |
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開催期間 | 2014年10月7日(火)~11月16日(日) |
開館時間 | 9時30分~16時30分 (入館は16時00分まで) |
料金 | 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円/中学生以下無料 ( )内は20名以上の団体 ※総合展示もあわせてご覧になれます。 ※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。 |
休館日 | 月曜 (休日の場合は翌日を休館日とします) |
会場 | 国立歴史民俗博物館 第3展示室 副室 |
趣旨
本館が所蔵する紀州徳川家伝来楽器コレクション(161件・233点)は、主として紀州藩の第十代藩主徳川治宝(はるとみ)(1771~1852)によって収集されたものだと伝えられています。雅楽器を中心に、吹きもの(管楽器)・弾きもの(弦楽器)・打ちもの(打楽器)などの各種の楽器や、楽譜、調律具、収納袋や箱などの附属品、さらに楽器にまつわる情報を記した附属文書から構成されており、楽器史や音楽史上きわめて重要な資料とみなされてきました。
今回の特集展示では、本コレクションの中から、各種の笛と笛に関する楽譜をとりあげ、附属品や附属文書とともに展示します。コレクション中の吹きものは、笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき)・高麗笛(こまぶえ)・神楽笛(かぐらぶえ)・能管(のうかん)・一節切(ひとよぎり)・洞簫(どうしょう)・明笛(みんてき)など78管におよびますが、この中には、古管として大切に扱われ多くの付属品を有するもの、笛の演奏をなりわいとする楽家に代々伝来し実際に演奏に用いられた痕跡をもつものや、通常普及した笛とは異なる珍しい形態をしたもの、明清楽(みんしんがく)の流行を受けて収集されたと推測される中国の笛など、貴重な例が含まれています。
これらの資料を公開することで、一般には馴染みのない古楽器への理解をうながすとともに、高度な工芸技術や江戸後期の大名家を中心とした文化の一端を紹介します。
なお、これらの資料は最大級の日本古楽器コレクションとして広く知られており、これまでに特別企画「紀州徳川家伝来の楽器」(平成17年度)や企画展示「楽器は語る-紀州藩主徳川治宝と君子の楽-」(平成24年度)などで、その豊富な資料を公開してきました。「笙」(平成20年度)「琵琶」(平成22年度)に続くこの特集展示においては、企画展示等に出品される機会の少ない資料についても、展示・公開をすすめ、その全貌を紹介することを目的としています。
みどころ
藩主自身が収集した楽器です。
このコレクションの特徴は、他の大名家の伝来品と異なり、藩主徳川治宝が一代で築きあげたという点にあります。楽器や附属文書を通じて、コレクター治宝が、どのように楽器を収集し、愛蔵したかがわかります。
さまざまな種類の笛を比べてみることができます。
日本で伝統に用いられた笛には、縦笛や横笛、リードのある笛ない笛、和音を演奏できる笙など、さまざまな種類があります。形や大きさが微妙に異なる各種の笛を比較しながら、その機能の違いを理解できます。
楽器および附属品の美術工芸品的魅力を堪能していただけます。
楽器や附属品の美しさを鑑賞することは、収集の楽しみの一端でもあったのでしょう。箱・筒・袋などの収納具をはじめとする附属品の多くは、治宝が楽器を入手した後に特別にあつらえたもので、今回の展示では、漆工・染織など、江戸時代の卓越した工芸技術をご覧いただけます。
主な展示物
※内容は変更になる場合があります。
・笙(銘「真具寿」) 1管
・篳篥(銘「思月」) 1管
・龍笛(銘「青柳」) 1管
・連管(銘「青海波」) 1管
・連管(銘「金龍」) 1管
・神楽笛(銘「千歳丸」) 1管
・能管(銘「男女川」) 1管
・一節切(銘「山風」) 1管
・洞簫(銘「含和」) 1管
・楽譜・調子笛・律管
など約60点(すべて本館蔵)
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連管(銘「金龍」) |
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能管(銘「男女川」) |
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洞簫(銘「含和」) |
『もの』からみる近世「江戸図屏風と行列」(第3展示室)
開催概要
展示名称 | 「江戸図屏風と行列」 |
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開催期間 | 2014年8月5日(火)~ 2014年9月15日(月・祝) |
開館時間 | ~9月:9時30分~17時00分 (入館は16時30分まで) 10月~:9時30分~16時30分 (入館は16時00分まで) |
料金 | 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円/中学生以下無料 ( )内は20名以上の団体 ※総合展示もあわせてご覧になれます。 ※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。 |
休館日 | 月曜 (休日の場合は翌日を休館日とします) ※8月11日は開館します |
会場 | 国立歴史民俗博物館 第3展示室 副室 |
趣旨
近代になって、江戸時代を懐古的に表像するとき、しばしば用いられたモチーフが「整然と往来する武士たちの行列」です。近世の日本では、列島上を参勤交代の行列が、江戸に定期的に往来しただけでなく、朝鮮通信使や琉球王国の使節、オランダ商館長などの外国使節の行列も江戸をめざし、大小さまざまな規模の行列が往来していたことは、2013年度の企画展示『行列にみる近世』でも紹介しました。
全国的な広がりをもって行列が往来したのは、近世の時代の特色であり、「徳川の平和」を表しているともいえます。
本展示では来館者の皆様に、行列から近世社会を想像していただきたいと考えています。とくに、寛永期に将軍徳川家光が実質的な「天下人」となったことを祝して作成されたと考えられる『江戸図屏風』を中心に、そこに描かれている将軍や武士たちの行列をピックアップして、行列はなぜに描かれるのかという疑問から近世社会像を紹介します。みどころ
「江戸図屏風」実物 8月5日~17日の間 登場!
「江戸図屏風」は当館所蔵資料のなかでは、もっとも利用頻度が高いものです。社会科(歴史)や日本史の教科書では、日本橋のところか朝鮮通信使が江戸城に入るところのいずれかが使われています。この屏風は、三代将軍家光が父の大御所秀忠の死後、名実ともに天下人になったことを祝して制作されたものと考えられており、家光が、姿を見せない場面も含めて全部で18カ所に出て来ます。とくに、家光が好きだった狩りの場面が多く、鷹狩り、鹿狩り、追鳥(雉狩り)、川狩りの場面がかなりのスペースを占めます。
しかし今回は家光を巡る行列に注目していただきたいと思います。家光の時代の平和と繁栄はいくつかの象徴的な行列で示されていると言うこともできるからです。第一の行列は、父秀忠の法事を行うために増上寺に向かう家光の行列です。第二は、紅葉山東照宮から帰る家光の行列です。三つめは、鷹狩りに行く行列と、鷹狩りから帰る行列です。4つめは、朝鮮通信使の一行が、今まさに江戸城内に入ろうとしているところです。これ以外にも、江戸城へ登城する大名行列や行列を整えた武士たちの行列がたくさん描かれています。屏風に中にこのような行列をさがしてみましょう。
なお、「江戸図屏風」は会期最初の2週間のみ実物が展示され、残りの期間は精巧な肉筆模写となります。
主な展示物
※展示換えがあります。また、内容は変更になる場合があります。
・江戸図屏風
・江戸城登城風景図屏風
・有君之御方御下向御行列之図
・松山藩参勤交代絵巻
・錦絵「東海道名所風景」から数点
など約20点(すべて本館蔵)
文久3年(1863) |
江戸図屏風(部分) 朝鮮通信使の登城 |
鷹狩りに向かう家光の行列 |
17世紀前期 |
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17世紀前期 |
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江戸時代・18世紀中ごろ |
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天保5年(1834) |
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弘化4(1847)年 |