このページの目次
「近世の風俗画」「雅楽を伝える-南都楽人辻家資料-」「伝統の古典菊」「元禄二年堺大絵図」「和宮ゆかりの雛かざり」

館蔵資料を通して近世のようすにせまります。

  • 「近世の風俗画」2012年4月17日(火)〜 5月20日(日)
  • 「雅楽を伝える-南都楽人辻家資料-」2012年7月10日(火) 〜 9月2日(日)
  • 「伝統の古典菊」2012年11月6日(火) 〜 12月2日(日)
  • 「元禄二年堺大絵図」2012年12月18日(火)〜 2013年1月27日(日)
  • 「和宮ゆかりの雛かざり」2013年2月13日(水) 〜 3月31日(日)

「近世の風俗画」

開催概要

展示名称 「近世の風俗画」
開催期間 2012年4月17日(火)~5月20日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

人々のくらしを主題とした風俗画は、歴史資料としても重要な素材です。当館は中世末から近世にかけてのすぐれた風俗画を所蔵しており、企画展示「洛中洛外図屏風と風俗画」(3/27~5/6)でも展示いたしますが、企画展示室のみでは展示しきれない資料があり、会期を重ねる形で、特集展示としても館蔵資料を公開いたします。

テーマとしては、特に遊楽や祭礼・行事に関わるものを中心に扱います。豊臣秀吉を描いた絵画として名高い「醍醐花見図屏風」をはじめとして、江戸時代前期~中期の京都の名所や祭礼行事を扱った「京都名所祭礼押絵貼屏風」と「十二ヶ月都風俗絵巻」、江戸後期の活気あふれる庶民世界を描いた「祇園祭礼風俗図絵巻」と「蝶々踊り図屏風」の出品を予定しており、時代的にも近世を通観する展示となります。

みどころ

重要文化財「醍醐花見図屏風(だいごのはなみずびょうぶ)」は、晩年の豊臣秀吉と北政所(きたのまんどころ)(おね)を描いた絵画として広く知られています。実物を御覧いただく貴重な機会です。

「十二ヶ月都風俗絵巻」と「蝶々踊り図屏風」は本館が平成23年度に購入した新出の資料であり、初めての公開となります。共に風俗資料としてすぐれた作品です。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

◎は重要文化財

  • ◎醍醐花見図屏風 六曲一隻(安土桃山時代 当館蔵)
  • 京都名所祭礼押絵貼屏風 六曲一双(江戸時代前期 当館蔵)
  • 十二ヶ月都風俗絵巻 二巻の内一巻(下巻)(江戸時代中期 当館蔵)
    (「十二ヶ月都風俗絵巻」上巻は、企画展示「洛中洛外図屏風と風俗画」で展示いたします)
  • 祇園祭礼風俗図絵巻 一巻(江戸時代後期 当館蔵)
  • 蝶々踊り図屏風 六曲一隻(江戸時代後期 天保10年<1839> 当館蔵)
 
◎醍醐花見図屏風(全景)(当館蔵)
 
◎醍醐花見図屏風「秀吉と北政所」 (当館蔵)
 
十二ヶ月都風俗絵巻(七月の盆踊り)(当館蔵)
 
祇園祭礼風俗図絵巻(神輿付近の作り物)(当館蔵)
   
蝶々踊り図屏風(部分)(当館蔵)
   

「雅楽を伝える-南都楽人辻家資料-」

開催概要

展示名称 「雅楽を伝える-南都楽人辻家資料-」
開催期間 2012年7月10日(火) - 9月2日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

本資料群は、雅楽関係の楽書・楽譜・文書・記録など438点、楽器(在銘のものを含む)など30点からなり、なかでも江戸時代初期から近代にいたる歴代当主や楽人たちの日記・覚書は内容も豊かできわめて貴重なものです。

本特集展示では、「左舞・笙の家としての辻家」「諸寺社への出仕」「宮廷儀式への出仕」「幕府儀式への出仕」「近代の雅楽研究・教育の営み」の5つのコーナーに分けて、それぞれ特徴的な資料を展示いたします。企画展示「楽器は語る-紀州藩主徳川治宝と君子の楽-」の理解を深め、近世の楽人の生活の一端について具体的に知って頂ければ幸いです。

みどころ

辻家の日記のなかには江戸下向に関するものも含まれており、朝廷や諸寺社での雅楽演奏のほか、これまで十分には研究されてこなかった近世の幕府の儀礼への関わり方や、日光東照宮の楽人への稽古など、近世の南都楽人が果たした役割や彼らの身分・生活について知ることができます。

辻家は明治以降、天皇とともに京都から東京へ移り住み、前当主まで雅楽の教育・後継者養成をしていました。雅楽界の中枢を担ってきたことを反映して、近代以降の資料も現存しており、大変興味深いものになっています。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

  • 「舞譜」(天文24年9月)
  • 「鳳管譜(笙譜)」3冊
  • 「言上 春日楽人」(寛永11年7月25日)
  • 「一乗院宮興福寺維摩会日記 下行米支配別長有之」(正徳4年9月19日~10月4日)
  • 「御装束新調奉行之記」(宝永5年9月19日~6年7月9日)
  • 「日光楽人東遊相伝師家下向之記」(寛延2年9月16日~10月29日)
  • 「琴唐楽譜」(宝暦4年12月)
  • 「音楽史 従第1回至第10回」(明治16年9月29日~11月19日)
  • 「祝日大祭日用唱歌撰定書類」(明治25年4月30日) など約30点(すべて本館蔵)
 
鳳管譜(ほうかんふ)(当館蔵)
 
言上 春日楽人 
寛永11年(1635)7月25日 (当館蔵)
 
一乗院宮興福寺維摩会(ゆいまえ)日記
正徳4年(1714)9月19日~10月4日 (当館蔵)
 
御装束新調奉行之記
宝永5~6年(1708~1709)(当館蔵)
   
雅楽小辞典 一 ~ 三(当館蔵)
   

「伝統の古典菊」

開催概要

展示名称 「伝統の古典菊」
開催期間 2012年11月6日(火) -12月2日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

菊は、日本在来の植物ではありませんが、わが国を代表する園芸植物のひとつです。平安時代の宮廷で、すでに菊花の宴が流行していることから、律令期に他の文物とともに中国からもたらされたと考えられています。支配者層のあいだで不老不死を象徴する花として愛でられました。

平安・鎌倉時代からは、支配者層の中で日本独特の花が作り出されました。品種の育成が行われ、筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊」は伊勢の国司や伊勢神宮との関わりで栽培されました。近世中期頃以降になると、菊作りは度々大流行をみせ、丁子菊や「肥後菊」「江戸菊」の系統が成立しています。また、菊花壇や菊細工といった見世物の興行がなされ、人々は菊見物に興じるようになり、菊は大衆化していったのです。

本特集展示では、江戸時代の菊栽培および菊細工の流行を紹介するとともに、その中で生み出された変化に富む菊花のかたちが、いかに模様のデザインに映し出されているのかを、小袖の菊模様を通じてみていきます。

展示構成

くらしの植物苑の特別企画「伝統の古典菊」と連動しており、展示室では、植物苑にてパネルで紹介している菊の栽培書など、資料の実物が見られます。また、展示室で紹介する古典菊は、植物苑に足を運んでいただけますと、花の実物をご覧いただけます。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

  • 増補地錦抄
  • 流行菊花揃
  • 菊番附道順独案内
  • 藍平絹地流水菊模様友禅染小袖
  • 藍平絹地流水柳薔薇菊模様友禅染幕(小袖裂)
  • 白麻地雪華菊尽模様染縫帷子
  • 水浅葱縮緬地菊籬模様友禅染縫振袖

など約25点(すべて本館蔵)

 
紅綸子地菊模様絞縫小袖
 
白綸子地菊松模様絞縫小袖
 
藍平絹地流水柳薔薇菊模様友禅染幕
 
納戸綸子地菊岩笹模様染縫振袖
 
流行菊花揃
 
百種接分菊

「元禄の堺大絵図―巨大都市図を歩く―」

開催概要

展示名称 「元禄の堺大絵図―巨大都市図を歩く―」
開催期間 2012年12月18日(火)~2013年1月27日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

大阪府堺市堺区の堺は、戦国時代から江戸時代の初めにかけて、対外貿易の拠点として繁栄していました。町は、豪商などからなる会合衆によって自治的に運営され、周囲には防御の役割も果たす環濠がめぐらされていました。1615(慶長20)年の大坂夏の陣では町は焦土と化しますが、江戸幕府の構想の下で環濠と町割りは作りなおされて、堺の町は生まれ変わります。

この新しい堺の町を詳細に描いているのが、本館に所蔵される1689(元禄2)年の『堺大絵図』です。しかも、この絵図には、その後の町の変化も張り紙や付箋によって幾重にも記録されています。このたび、本館の共同研究「元禄『堺大絵図』に示された堺の都市構造に関する総合的研究」では、これらの張り紙や付箋をはがして、およそ300年以上前の姿をよみがえらせました。

この特集展示「元禄の堺大絵図―巨大都市図を歩く―」では、共同研究の成果の一部として、中世の堺と近世の堺を比較しながら、元禄2年の『堺大絵図』を読み解きます。

みどころ

本絵図で、升目のように見えるのは、都市としての堺を構成する要素である土地区画であり、1区画毎に描かれています。縮尺は約300分の1で、短辺でも4mを超す巨大さです。共同研究ではまず、本絵図に修理を施して、平面を確保したのち、デジタル写真を撮影しました。デジタル画像は伸縮自在であり、現在の地図と重ねることもできます。発掘データも、その位置関係で詳細に検討でき、考古学が、歴史地理学・文献史学・建築史学と協働できる基盤になるでしょう。今回の展示では、絵図上の張り紙を全て取り払った状態で床に提示していますが、デジタル写真のメリットとして、順次、張り込んだ図も提供できます。張り紙に付された年次から、実際に数十年間は使用され続けたらしいことがわかっています。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

  • 「堺大絵図」(10点のうち5点)
  • 「テイセラ日本図」(1595年 銅版手彩色)
  • 「和泉名所図会」(寛政8=1796年刊行 木版)
  • 「嘉永改正堺大絵図」(嘉永4=1851年版 木版色刷)
  • 「嘉永改正堺大絵図」(文久3=1863年版 木版色刷)

など約10点(すべて本館蔵)

 
堺大絵図 全体
元禄二年(1689)『堺大絵図』は、土地所有の単位としての1筆レベルに至るまで詳細に描いています。 (当館蔵)
 
山口家住宅「堺大絵図」
町屋の土地区画と山口家住宅:都市としての堺を構成する要素である土地区画は1筆毎に描かれています。縮尺は約300分の1。本展では絵図に表現された土地区画の1例として国の重要文化財「山口家住宅」が建つ敷地を取り上げます。
赤枠の部分が元の敷地、影の部分が近世中期から後期にかけて増改築したといわれる敷地です。 (当館蔵)
 
南の環濠と南宗寺「堺大絵図」
周囲を取り巻いた環濠のうち、南端付近。東の環濠は、阪神高速道路堺線の建設時に埋め立てられてしまいましたが、南は今も残されています。濠から右下の区画は南宗寺で、建物の方向が他の街区と違って、ほぼ正南北になっているのは現況と同じです。 (当館蔵)
 
戎島「堺大絵図」
戎島とその周辺:環濠が穿たれた西部の港湾地区では1664年に隆起して戎島ができたと伝えられています。その周辺に張り紙が多くあります。 (当館蔵)
   
大仙陵「堺大絵図」
「大仙陵」:いわゆる仁徳天皇陵です。元禄二年の作成当初には描かれておらず、張り紙で加えています。実際には張り紙の位置よりもう少し外側で絵図の範囲外にはみ出ます。 (当館蔵)
   

「和宮ゆかりの雛かざり」

開催概要

展示名称 「和宮ゆかりの雛かざり」
開催期間 2013年2月13日(水)~3月31日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁しました。

今回の特集展示で展示する雛人形・雛道具類(当館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれます。

上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めました。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていきました。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようです。当館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重です。

みどころ

和宮所用と伝えられる雛人形は、有職雛(直衣雛)という貴族的な面立ちの上品な人形で、幕末期の富裕層における雛人形の典型的な作例です。

婚礼調度をミニチュアとして作った雛道具は、約80点を数えますが、当時の流行を反映して、ガラス製の器なども含まれます。江戸上野池之端にあった有名な雛人形店、七澤屋製と推測されます。

御所人形・三ツ折(みつおれ)人形には、和宮が兄の孝明天皇(こうめいてんのう)の形見として譲渡された由緒のある人形も含まれます。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

内裏雛及雛道具付御所人形より

  • 有職雛(直衣雛)
  • 御所人形 孝明天皇遺物など 13躯
  • 三ツ折人形 孝明天皇遺物 2躯
  • 須磨明石図屏風
  • 狗張子
  • 牡丹唐草文蒔絵雛道具

など約100点

 
有職雛(直衣雛)
 
唐机と文具
 
茶弁当
 
小倉百人一首

ギャラリートーク

日時 2013年3月2日(土) 13時30分~(40分程度)
解説 日高 薫 (当館情報資料研究系)

※開始時間までにエントランスホールに集合してください。