開催概要

開催期間 | 2014年3月11日(火)~5月6日(火・振) |
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会場 | 国立歴史民俗博物館 企画展示室 |
料金 | 一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 / ※総合展示もあわせてご覧になれます。 |
開館時間 | 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで) ※開館日・開館時間を変更する場合があります。 |
休館日 | 月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります) |
主催 | 国立歴史民俗博物館 |
趣旨
本展示は、東北地方の歴史上の震災と、近現代の震災という、大きく二つの角度から構成しています。前者が、歴史を大きくさかのぼりながら、長いスパンで、3・11に至るまでの地震災害の連続性を捉えるものであるのに対して、後者は、近い時代の震災の中に、今日と通底する問題を見いだしていこうとするものです。
震災では、多くの人が傷つき、命を失い、あるいは従前の生活基盤が破壊されます。また同時に、震災がきっかけとなって、社会的な混乱が発生したり、社会のあり方そのものが問われたりすることもあります。さらには、被災地のイメージは、最も被害の大きかった地域を中心に形作られるケースが多く、そこから距離のある地域の被害や被災者は、ともすると忘れられがちになります。
また他方で、被災者の救済が、震災では大きな課題になります。今日的にいえば、「復興」のなかには、本来的にこの救済が含まれるのですが、実際にはそのなかで、救済の網の目からこぼれ落ちる人びとを出してしまいがちなのもまた事実です。震災の歴史とは、そうした救済の欠落に向き合おうとしてきた歴史であるともいえます。
本展示では、これら、いわば人や社会によって、震災がどう経験され、何が学ばれ、そして何が忘れられるのかといった点を、時代性や社会史の視点から紐解くと同時に、自然科学的な知見と人文科学を交差させる形で、災害史の研究成果を反映させつつ、震災を立体的に捉え直す場にしたいと思います。
見どころ
前近代の東北の震災
貞観津波、慶長津波をめぐり、当時の記録や、考古学的な知見などを織り交ぜながら展示します。このコーナーの手前では、東日本大震災による津波のシミュレーション映像を放映しています。2011年に東北地方を襲った津波を念頭に置きながら、残された資料が少ない時代の地震・津波について、私たちが今日、どのように接近できるのかをご覧頂こうと思います。
明治・昭和・平成の津波
東北地方太平洋岸は、繰り返し津波に襲われました。明治三陸津波については、当時の調査資料、ならびに数少ない写真資料を中心に展示し、被害の様相をご覧頂きます。また昭和三陸津波・チリ津波は、比較的近い時代の被害であるため、東日本大震災の被災者のなかにも経験された方があるほか、伝承も残っています。岩手県大槌町吉里吉里地区の模型を用いながら、今日との連続性の中で、これら津波を見直します。
関東大震災から北但馬・北丹後地震へ
1923年の関東大震災は、近代日本の首都に甚大な被害をもたらした震災でした。また、この震災は関東一円に被害を及ぼした広域災害でもあり、津波による被害もありました。この震災の被害の多様性と、救援・復興、そして当時の政治や文化の動きといった多角的な視野から、この震災を見直します。
さらに、引き続いて起こった、1925年の北但馬地震、1927年の北丹後地震の復興の背景には、少なからず、関東大震災の経験がありました。これら震災の復興過程も、ここで見直していきます。
戦時下・占領下の震災
戦時下の震災は、戦争の影に隠れて、大きく報道されることもなかったため、あまり強く人びとの記憶に残りませんでした。また、占領下の震災も、空襲被害との混淆や、この時期の混乱の中で、あまり強く意識されませんでした。このことが、高度経済成長期に、近い時代に震災があったことを多くの人が忘れ続けた原因にもなったと考えられます。戦時下の東南海地震、占領下の南海地震・福井地震に焦点を当て、戦時・占領下の忘却、さらには南海トラフ地震の歴史と併せてご覧頂きます。
展示構成
1.東北の地震・津波
(1) 前近代の被災
(2)近現代の地震・津波
2.近代の震災
(1)関東大震災
(2)北但馬・北丹後地震
(3)東南海・南海地震
(4)福井地震
【主な展示資料(予定)】
1.東北の地震・津波
- 貞観地震津波
>日本三代実録(本館所蔵)
>瓦(仙台市教育委員会所蔵) - 慶長地震津波
>駿府記(個人蔵 徳川宗家文書) - 明治三陸津波
>岩手県 青森県 宮城県 大海嘯画報(本館所蔵)
>明治丙甲 三陸大海嘯之實況(本館所蔵)
>中島待乳(なかじままつじ)写真台帳(日本カメラ博物館所蔵)
>山奈宗真関係資料 - 東日本大震災
>被災衝立(司馬江漢)(仙台市博物館所蔵)
2.近代の震災
- 関東大震災
>大正震災今井町邸内バラック避難者感謝状(三井文庫所蔵)
>帝都震災記念大観(本館所蔵)
>鎌倉大震災絵巻 全6巻/(1)長谷火焼図(2)狼狽避難図(3)材木座海畦図(4)雨中遁鼠図(5)捕海賊船図(6)八幡祠前樹図(鎌倉国宝館所蔵)
>帝都復興展覧会ポスター(後藤・安田記念東京都市研究所所蔵)
>一二九会の幟(東京都復興記念館所蔵) - 北但馬・北丹後地震
>乙丑震災誌 上・中・下巻(豊岡市立図書館所蔵)
> 但馬丹後大震災写真画報(京丹後市教育委員会所蔵)
> 但馬丹後震災画報(京丹後市教育委員会所蔵)
> 「嗚呼悲惨極まる丹後大地震絵葉書(特製十六枚壹組)」(京丹後市教育委員会所蔵) - 福井地震
> 『LIFE』July 12 1948(本館所蔵)
> 友影賢世事蹟(個人蔵)
資料点数約200点
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3) 関東大震災関係チラシ 謹告 大正12年 |
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担当者インタビュー 企画展示「歴史にみる震災」編
企画展示をより楽しく、より深く鑑賞していただくため、担当者が展示の見どころや作り手の気持ちを語ります。
関連の催し
歴博フォーラム
第94回 「歴史にみる震災」
歴博講堂にて開催、入場無料、要事前申込、先着順(定員260名)
日時 | 4月19日(土) 13時00分~15時00分 |
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講師 | 原山 浩介 (本館歴史研究系) 他 |
歴博講演会
歴博講堂にて開催、入場無料、当日先着順に受付、定員260 名
第364回 「関東大震災の記憶-震災後から90周年まで」
日時 | 4月12日(土) 13時00分~15時00分 |
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講師 | 高野 宏康 (小樽商科大学) |
千葉県内被災写真展
会期中 歴博ロビー特設パネルにて展示予定。
東日本大震災での千葉県内の記録写真公募
東日本大震災では、国立歴史民俗博物館のある千葉県でも多くの被害が出ました。身近なところであった様々な形の被害を風化させず、記憶にとどめ、後世に伝えていくために、千葉県内の記録写真を公募し、来館者の方々にご覧頂きます。※公募は2月14日で締め切らせていただきました。
公募についての詳細はこちら
ギャラリートーク
開始時間までに企画展示室入口に集合してください。
※入館料が必要となります。
日程 | 時間 | 担当者 |
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3月15日(土) | 13:30~14:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) 碇川 豊 (岩手県大槌町長) 窪田 順平 (総合地球環境学研究所副所長・教授) |
3月22日(土) | 10:30~11:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) |
3月29日(土) | 13:30~14:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) |
4月5日(土) | 13:30~14:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) |
4月12日(土) | 10:30~11:30 | 高野 宏康 (小樽商科大学 地域研究会 学術研究員) |
4月19日(土) | 15:30~16:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) |
4月26日(土) | 10:30~11:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) |
5月3日(土) | 10:30~11:30 | 原山 浩介 (当館歴史研究系) |
※開催日時、担当者は変更する場合があります。ご了承ください。
図録のご案内
「歴史にみる震災」
価格:1,954円(税込) 送料:450円 ※図録正誤表(PDF)はこちら
- 図録及び販売物についてのお問い合わせ
- 財団法人 歴史民俗博物館振興会
電話:043-486-8011(9時30分から17時00分まで)/ E-mail: shop@rekishin.or.jp
※内容は変更する場合があります。ご了承ください。