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開催要項展示の主旨展示構成主な展示品

開催要項

平成17年度特別展示 「縄文 VS 弥生」
開催期間2005年7月16日(土)~8月31日(水)※会期中無休
開催期間 2005年7月16日(土)~ 8月31日(水)※会期中無休
会場 国立科学博物館 新館地下2階特別展示会場 (東京・上野公園)
開館時間 9時~17時 ※金曜日は20時まで
料 金 一般・大学生 1300円 (1000円)         
小・中・高校生 600円 (350円)           
※( )内は20名以上の団体料金
主 催 国立科学博物館・国立歴史民俗博物館・読売新聞社
後 援 文部科学省、東京都教育委員会、神奈川県教育委員会、千葉県教育委員会、埼玉県教育委員会

展示の主旨

2003年5月、弥生時代の始まりがこれまでの定説を約500年さかのぼり、紀元前10世紀ごろになる可能性が高まったとする研究成果を国立歴史民俗博物館が発表しました。九州北部で発掘された弥生時代早期から前期にかけての土器などの年代を、放射性炭素(14C)で測定したところ明らかになったものです。また同様の測定をしたところ、縄文中期も約200年さかのぼることがわかりました。日本の先史時代の実年代を根本的に再検討する必要に迫られているといえます。

時代区分についての論争はしばらく続き、さまざまな研究成果が発表されることが予想されます。近年の考古学ブームとあいまって、今後数年は縄文・弥生に対する関心が大いに高まることでしょう。

こうした時機をとらえて、縄文と弥生にスポットを当てた特別展を開催します。これまでとは違った切り口で両者を対比するとともに、体験型の展示を織り込み、楽しみながら理解を深めることができるような展示構成になっています。

また年代測定に限らず、一般の人にはあまり知られていない縄文、弥生に関するさまざまな研究成果を紹介することで、多くの人に「縄文」・「弥生」に対する新しいイメージを持ってもらうことを目指します。 学校の教科書には載っていない縄文、弥生の本当の姿をお見せすることになるでしょう。

展示構成

  • 縄文のかたち・弥生のかたち − 縄文時代・弥生時代の代表的出土品展示
    教科書にも出てくるよく知られた縄文・弥生時代の考古資料を名品として展示し、従来の縄文・弥生時代観を、もう一度思い出してもらいます。
  • 縄文・弥生ワールド − 縄文と弥生の世界を対比しながら体験
    山野を駆けめぐってシカやイノシシを追いかけ、海辺で貝を採るといった、食うや食わずの生活をしていた貧しい縄文時代観と、明るい農村といったイメージで描かれてきた弥生時代観を変えます。堅果類やウルシなどを人工的に管理することで、巨大なクリを実らせることに成功した縄文。戦いがあり、環境汚染が認められる人工的な環境で暮らしていた弥生、といった様子を描いたジオラマで示し、観客の時代・文化観の転換をはかるのがねらいです。計画的な管理が行われていた縄文のムラの施設を実大模型や剥ぎ取りで示し、弥生トシへの人口集中の結果、結核などの疾病や、水回りの環境汚染が弥生時代から始まっていたことなどを具体的に展示します。
  • 縄文人のからだ、弥生人のからだ
    縄文人と弥生人の身体の違いを、従来の人骨による比較展示のほかに、巨大な頭骨拡大模型や、ミトコンドリアDNAの塩基配列などの最先端科学、縄文人と弥生人の運動能力の違いなどで示すことによって、観客にわかりやすく伝えます。
  • 装飾の美
    縄文・弥生の違いを衣服、アクセサリーの観点から徹底的に比較し、体験できます。縄文と弥生の衣服を復元し、モデルに着せた写真などで、当時の衣服を身近に感じることができます。
  • 多彩な食生活
    管理栽培などにより、巨大な実をつけさせることに成功した縄文のクリ、一方で低湿地から出土した食料残滓と糞石をもとに弥生人の食生活を復元することで、縄文・弥生人の常識的な食生活に対する考え方を再検討してもらいます。
  • 昔の子どもたち
    大人の人骨が展示のメインだった従来の展示に対して、更新世から江戸時代までの子どもの人骨を集め、子どもたちの目線に沿った展示を目指し、考古学でも縄文・弥生の子どもに関する資料を展示します。
  • 体験スタジオ
    人類のスタッフが、あなたは縄文、それとも弥生?という質問を子どもたちにして、資料を使ったり質問項目に答えてもらい、自分はどちらに近いのか、体験します。また記念入場者には、DNA鑑定をプレゼントする予定です。
    考古では弥生が、銅鐸の模造品を持ったりならしたりできるほか、鏡の模造品を持ったり、光を反射させてみたりします。縄文は現在検討中です。
    親子クイズ。
  • 縄文から弥生へ−縄文から弥生への移行に関する研究の最先端を紹介
    炭素14年代測定によって、同じ時期に暮らしていたことが確実になった、弥生開始期の、縄文的なくらしをする人びとと弥生的なくらしをする人びとを比較し、弥生時代への転換が、決して在来系の人と新出系の人との対決によっておこなわれたのではなく、両者の共存から融合をへて進行したことが理解できます。具体的には直線距離で20kmぐらい離れたところにある高知県田村遺跡と居徳遺跡の資料を展示します。

主な展示品

  • 夏島貝塚出土土器(明治大学・重文)、森上遺跡火炎土器(十日町市教育委員会)
  • 亀ヶ岡遺跡出土土偶・弥生式土器1号(東京大学総合博物館・いずれも重文)
  • 風張遺跡祈りの土偶(八戸市教育委員会・重文)
  • 宮田遺跡子だき土偶(国立歴史民俗博物館)、集石遺構復元模型(町田市教育委員会)
  • 陥穴復元模型(小平市教委)、有吉北貝塚貝層剥ぎ取り(千葉県文化財センター)
  • 南羽鳥出土人頭型土製品(成田市教育委員会・重文)
  • 八天遺跡顔面パーツ土製品(北上市博物館・重文)
  • 南茅部町足形・手形土製品(函館市教委)、藤岡神社出土耳飾(栃木県立博物館)
  • 目黒区大橋遺跡出土微小石鏃(目黒区教育委員会)
  • 早川天神森遺跡小型土器(かながわ考古学財団)
  • 三内丸山遺跡出土大珠(青森県教育庁)、森吉町出土わらう岩偶(大仙市教育委員会)
  • 加曽利貝塚博物館作成複製土器・土製品(関東地方縄文土器など)
  • 鳥取県青谷上寺地遺跡出土考古・人類資料、高知県居徳遺跡、同田村遺跡出土考古資料
  • 三重県磯山出土絵画銅鐸・武器形祭器コレクション(東京国立博物館蔵)
  • 弥生時代が500年さかのぼるきっかけになった土器(福岡市雀居遺跡)
  • 更新世の乳児全身骨格(沖縄県下地原貝塚)、山口県土井が浜遺跡出土の渡来系弥生人骨
  • 縄文・弥生・江戸の子ども人骨、佐賀県吉野ヶ里遺跡出土絹片
  • 縄文犬と弥生犬の復元模型、日本列島最古の籾痕土器(岡山県南溝手遺跡)
  • 縄文・弥生時代の衣装復元
ポスター写真
合掌土偶(八戸市博物館)
森上遺跡出土の縄文式土器
(十日町市博物館)
最初に見つかった弥生式土器(重要文化財)
(東京大学総合研究博物館)
縄文人の頭骨(国立科学博物館)
渡来系弥生人の頭骨(九州大学)