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開催概要展示構成関連の催し刊行物のご案内

開催概要

伝統の朝顔
開催期間2013年7月30日(火)~2013年9月1日(日)
展示物イメージ

朝顔は古くから多くの人々に親しまれてきました。特に江戸時代以降になると、文化・文政・天保期,嘉永・安政期、明治・大正期など、繰り返し朝顔ブームが訪れ、そのたびに葉と花の多様な変化や組み合わせを楽しむ変化朝顔が創り出されてきました。これは今日に遺伝学でいう突然変異を見つけ出し、系統として確立するという、世界的に見ても特異なもので、特に幕末頃にはきわめて多くの品種が創り出されていたようです。しかし、それらの中には、残念ながら単純な大輪朝顔に圧倒されて、あまり知られることなく絶えてしまったものもあります。ただ、広くは栽培されなかったものの、一部の愛好家の努力によって大切に保存され、現在に伝えられたものも少なくありません。

そこで、江戸時代以降の独創的な知識と技術を駆使して創り上げられた伝統の朝顔を広く知っていただき、人と植物との関わりを見るべく、当館では1999年以降にわたり、歴史資料としてこれらの朝顔を展示してきました。今年度の企画も、これまでと同様の目的をもつものです。また今回は、「朝顔の名前」に着目し、おもに名前の変遷や遺伝子を分割する知識との関わりについてのパネル展示もおこないます。

会場 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
料金

個人(高校生以上) 100円 /団体(20名以上) 50円 

※小中学生は入苑無料です。 
※毎週土曜日は高校生は入苑無料です。

開苑時間 9時30分~16時30分 (入苑は16時00分まで) 
※ただし、8月12日(月)~18日(日)は8時30分から開苑いたします。
※開花の特性上、午前中の早い時間が見ごろです。
休苑日 8月5日(月)、19日(月)、26日(月) 
※8月12日(月)は開苑いたします。
主催 国立歴史民俗博物館

展示構成

くらしの植物苑内のハウス、東屋、よしず展示場に、当苑で栽培・育種した鉢植えの朝顔を展示します。なお、展示内容は以下のとおりです。

  • 変化朝顔 正木系44系統,出物系26系統(歴博で2005年に発見された無弁花朝顔を含む)
  • 明治時代以降の大輪朝顔 25系統程度
  • ヨーロッパ・北米産の近縁の朝顔 10系統程度

※植物苑の朝顔の様子は「くらしの植物苑 今週のみごろ」でもご覧いただけます。

青斑入桔梗渦蜻蛉葉白地赤吹掛絞桔梗咲
青斑入桔梗渦蜻蛉葉白地赤吹掛絞桔梗咲(あおふいりききょううずとんぼばしろじあかふっかけしぼりききょうざき)
葉は桔梗渦という遺伝子を持っていることで、肉厚になる。花は花弁の先がとがって桔梗のような花を咲かせるため、桔梗咲又は星咲と呼ばれている。
青打込堺渦柳葉青采咲牡丹
青打込堺渦柳葉青采咲牡丹(あおうちこみさかいうずやなぎばあおさいざきぼたん)
葉が柳の葉のように細く、花はナデシコの花のように細く、先が細かく切れ込んでいる系統。武将が持つ采配に似ているところから、采咲と呼ばれている。
青笹葉黒鳩切石畳咲
青笹葉黒鳩切石畳咲(あおささばくろばときれいしだたみざき)
曜の間が深く切れ込んで、開化後時間がたつとそれぞれの花弁が内側に折り畳まれる。ただしきれいに折り畳まれることは少なく、内側に巻き込まれるようになるのが普通である。
青渦顰葉渦小人紅筒白丸咲
青渦顰葉渦小人紅筒白丸咲(あおうずしかみばうずこびとべにつつじろまるざき)
葉は非常に硬く濃い緑色をしておりサボテンのようである。成長が非常に遅く伸びても20㎝前後にしかならない系統。
松島鍬形葉白地紫時雨絞咲分丸咲(咲き分け)
松島鍬形葉白地紫時雨絞咲分丸咲(まつしまくわがたばしろじむらさきしぐれしぼりさきわけまるざき)(咲き分け)
葉模様が黄葉に緑色の斑点が生じる松島葉と言い、花模様は時雨絞、染分け、咲分けとなる系統。
黄斑入蝉葉青軸白地紅時雨絞咲分丸咲大輪(源平)
黄斑入蝉葉青軸白地紅時雨絞咲分丸咲大輪(きふいりせみばあおじくしろじべにしぐれしぼりさきわけまるざきたいりん)((源平)
花模様が白地に有色の扇形部(セクター)、条班、斑点が生じる。有色部のあらわれかたによって、時雨絞、染分け、咲分けとなる大輪系統。
黄蝉葉栗皮茶丸咲大輪(団十郎)
黄蝉葉栗皮茶丸咲大輪(きせみばくりかわちゃまるざきたいりん)(団十郎)
葉は黄色の蝉葉で、花は柿ともいう茶系統の花色で、市川団十郎好みの色にちなんで団十郎と命名された。
黄握爪龍葉紫総風鈴獅子咲牡丹
黄握爪龍葉紫総風鈴獅子咲牡丹(きにぎりつめりゅうばむらさきそうふうりんししざきぼたん)
株全体がうねり、葉は表面が見えなくなるほど強く内側に抱え込み、爪龍葉又は掬水葉と呼ばれ、花は風鈴と呼ばれる管状の花弁の先端が折り返したものを持つ系統。
マルバアサガオ(紅髭咲き)
マルバアサガオ(紅髭咲き)
マルバアサガオはメキシコ原産と言われ、アサガオの近縁種である。葉は丸葉で、この系統は花が髭咲きと言う花弁の外側に付属弁が付く咲き方である。
ミルキーウェイ
ソライロアサガオ(ヘブンリーブルー)
ソライロアサガオは西洋朝顔として販売されている。アサガオの近縁種で、葉は丸葉で、花は花弁が青、花筒ののど口が白、筒の内側が黄色の3色である。葉や茎に毛がない。

変化朝顔の名称

江戸時代に育まれた園芸植物の中で、変化朝顔には特異な名称がつけられています。第一次ブーム(文化・文政期)の番付表にはその走りが見られますが、第二次ブーム(嘉永・安政期)に基本ができあがります。それは葉の色、模様・質・形、茎の形、花の色・模様・花弁・咲き方・花弁の重ねを順番に記述し、必要に応じて付加してゆく命名法で、現在の遺伝学から見ても非常に理にかなったものです。

たとえば「青水晶斑入弱渦柳葉淡藤爪覆輪采咲牡丹」を見てみましょう。まず始めに、葉についての記述です。青(葉の色)・水晶斑入(模様)・弱渦(質)・柳葉(形)に分解できますが、これは青葉の水晶斑入で、「渦」と「柳」の突然変異が入った葉であることを示しています。次に、花についての記述です。葉の記述と同様に、淡藤(花の色)・爪覆輪(模様)・采咲牡丹(咲き方)に分解できますが、淡藤の地に覆輪が入った花色で、撫子のような花弁で、采咲という細かく切れた咲き方であることを示しています。

朝顔苗有償頒布のご案内

日時 6月22日(土)・7月27日(土)は9:30 ~13:30
7月30日(火)の展示解説会当日は9:30 ~10:30に行います。
場所 くらしの植物苑
価格 1ポット300円~(税込)
備考 * お一人様あたりの苗の数を制限させていただく場合があります。 
* 数量に限りがあります。品切れの節はご容赦ください。
* 別途、入苑料が必要となります。
* 植物苑内のみでの頒布となります。予約・取り置き・通販等は承っておりませんのでご了承ください。

くらしの植物苑観察会

※くらしの植物苑にて開催、事前申込み不要、要入苑料

第173回 「朝顔の名前からわかること」

日時 8月24日(土) 10時00分~
講師 仁田坂 英二 (九州大学大学院)

第174回 「伝統の朝顔展の裏側」

日時 9月28日(土) 13時30分~
講師 山村 聡 (くらしの植物苑)

刊行物のご案内

刊行物

・ 『朝顔図譜をよむ-あさかほ叢-』2008年 500円
・ 朝顔を語る-歴博ブックレット- 2001年 800円
・ 伝統の朝顔Ⅲ-作り手の世界- 2000年 1200円
・ 伝統の朝顔Ⅱ-芽生えから開花まで-2000年 950円
・ 伝統の朝顔 1999年 950円

くらしの植物苑関係の図録・絵葉書等の刊行物についてのお問い合わせ
財団法人 歴史民俗博物館振興会
電話:043-486-8011(9時30分から17時00分まで) / E-mail:shop@rekishin.or.jp

※内容は変更する場合があります。ご了承ください。