開催概要
菊は、日本在来の植物ではありませんが、わが国を代表する園芸植物のひとつです。平安時代の宮廷ですでに菊花の宴が流行していることから、律令文化とともに中国からもたらされたと考えられています。
平安・鎌倉時代からは、日本独自の美意識により、支配者層の中で独特の花が作り出されました。筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊」は伊勢の国司や伊勢神宮との関わりで栽培され、宴に、美術工芸品に、不老不死のシンボルに特権的な地位を築いていきました。それが、近世中頃以降になると大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行したと言われています。それらの流行を支えたのが、花弁のまばらな「肥後菊」と花弁が咲き始めてから変化していく「江戸菊」です。これらに花の中心が盛り上がって咲く「丁字菊」を加えた伝統的な中輪種は、「古典菊」と呼ばれています。
くらしの植物苑ではこのような「古典菊」を1999年から収集・展示してきました。今年度は特別企画「季節の伝統植物」の統一テーマとして「育て方と楽しみ方」を掲げておりますが、「古典菊」の特別企画では育て方の歴史をたどるため、菊の栽培書をいくつかの系統に分けたパネルを作成します。また、「楽しみ方」の一例として、伝統的な包み方に基づいた花束の作り方を紹介します。
会場 | 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑 |
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料金 | 個人(高校生以上)100円 / 団体(20名以上)50円 ※小中学生は入苑無料です。 ※毎週土曜日は高校生は入苑無料です。 |
開苑時間 | 9時30分~16時30分 (入苑は16時00分まで) |
休苑日 | 11月9日(月)・ 16日(月)・ 24日(火) |
主催 | 国立歴史民俗博物館 |
展示構成
くらしの植物苑で収集・寄贈され、栽培・育種した古典菊(嵯峨菊10品種、伊勢菊10品種、肥後菊30品種、江戸菊33品種、丁字菊10品種)と、江戸菊や肥後菊と同じく近世中頃から作られている奥州菊を7号もしくは9号鉢に植栽し、苑内の東屋周辺、ハウス、よしず展示場に展示します。また、古典菊の特徴をまとめた解説パネルや、「育て方と楽しみ方」のテーマに即した菊の栽培書や包み方に関するパネルを展示します。
※植物苑の古典菊の様子は「くらしの植物苑 今週のみごろ」でもご覧いただけます。
関連の催し
古典菊の有償頒布のご案内
日時 | 10月24日(土)、11月3日、11月5日(木) 9時30分~12時30分 |
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場所 | くらしの植物苑 |
価格 | 1鉢1000円~(当苑で栽培している古典菊) |
備考 | * お一人様あたりの鉢数を制限させていただく場合があります。 * 数量に限りがあります。品切れの際にはご容赦ください。 * 別途、入苑料が必要となります。 |
企画展示室内に、和様(わよう)と大仏様(だいぶつよう)
くらしの植物苑観察会
第128回「菊の栽培書」
日時 | 11月28日(土) 13時30分~ |
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講師 | 平野 恵 氏(明治大学兼任講師) |
場所 | くらしの植物苑東屋 |
備考 | 事前申し込み不要、要入苑料 |
※内容は変更する場合があります。ご了承ください。