開催概要

カナダ文明博物館Canadian Museum of Civilization Corporationと日本国立歴史民俗博物館共同企画 特別展「伝統と革新の国、日本」
開催期間2011年5月20日~10月10日
日程 2011年5月20日~10月10日
会場 カナダ文明博物館

カナダ文明博物館はカナダの首都オタワにあり、カナダを代表する歴史・人類学系博物館。カナダの通史と先住民の文化を中心とする常設展示の他、国際的な連繋をもとに世界の諸文化と歴史に関する特別展示を行っています。博物館の起源は19世紀の地理学研究所に遡り、現在の建物は1989年にオープンしました。展示室面積は約25,000㎡で、デザインや教育的配慮を重視した展示は高い評価を得ています。

2002年2月、カナダ文明博物館のビクター・ラビノヴィッチ館長が歴博を訪問し、特別展開催の意向を表明しました。2009年9月には両館の学術交流協定を締結し、特別展「伝統と革新の国、日本」を共同企画の形で実施するための本格的準備に入りました。

展示の主旨は、現代日本の最先端の技術・デザインをはじめとする文化は、長く平和が続いた江戸時代に花開いた芸術と革新的なものづくりに培われた、というもので、現代と江戸時代に共通する、旅行、ものづくり(ロボットなど)、社会的地位、消費文化、娯楽の5つのテーマから、江戸の歴史と文化がどのように現代日本を形づくってきたかを探ろうとするものです。

2011年5月19日、カナダ文明博物館と日本国立歴史民俗博物館の共同企画による、特別展「伝統と革新の国、日本」の公式オープンセレモニーが実施され、5月20日から一般公開されました。5月20日のプレスリリースで、カナダのマスコミは次のように本展示の意義を述べています。

「3月11日に起きた衝撃的な地震と津波の後、「伝統と革新の国、日本」展は、新たな意味を持つこととなりました。日本人の回復力と創造性を描くことで、国が復興し再建していくための希望を引き起こすことでしょう。この自然災害で影響を受けた人々に支援をしたいと望むカナダ人が多くいます。日本大使館、もしくはカナダ赤十字社まで連絡をお願いします。」

公式オープンセレモニーには、まず石川薫カナダ大使が、本展示を通じて両国の交流がより一層促進されることへの期待を述べられました。つづいて国立歴史民俗博物館・平川南館長は、「この展示では、未来に向かって前進しようとする日本が江戸時代に多く学び、現代において新たな文化を形づくり、世界に影響を与えるようになっていく過程を見ていただきたい」そしてあいさつの最後に「この度の大震災に際しましてカナダの多くの皆様から暖かい励ましと多大なご援助をいただきましたことに深く感謝申し上げます」とオープンセレモニー出席の約650人近い市民にお礼を述べました。

なお、特別展示場の入り口近くに現在、国立歴史民俗博物館が宮城県気仙沼市で実施している被災文化財等救出支援活動の状況を4枚のパネルで公開し、反響を呼んでいます。

展示場入口
オープニングレセプション会場
オープニングレセプション会場
 
プロローグ
江戸図屏風と反対側には、洛中洛外図屏風(江戸時代のもの、実物)が展示されている
展示室
展示全体は、旅行、ロボット、地位、消費文化、娯楽の5つのセクションにわかれ、江戸時代と現代の資料が並べられている