データベース概要

日本民謡データベース

Japanese Folk Song Database

公開年月:2007年3月


 このデータベースは、昭和54(1979)年度から平成元(1989)年度まで文化庁による国庫補助事業として全国の都道府県で行われた「民謡緊急調査」の成果の一つである『民謡緊急調査報告書』を基本としている。
 この調査の成果は各都道府県の報告書と録音テープの形で文化庁に提出されたが、国立歴史民俗博物館はその成果の活用を計るため、データベース化を計画、文化庁及び各都道府県教育委員会の許可をえて整理にあたってきた。今回はそのうちの文字情報について公開するものである。
 「民謡緊急調査」はデータベース化の可能性が予測しえない時点で行われた。このために各都道府県の報告書の様式は極めて多様で、調査項目の数量、内容の選択なども自由な形をとっている。このような報告書の性格を考慮し、本データベースは各報告書に盛られた情報を最大限収めることができるように項目を選定した。したがって、県によっては空白となる項目も少なくなく、統計的に利用できる範囲は限定されている。

 民謡は人々の生活のなかの喜怒哀楽が率直に表現されているものである。しかし同時に、歴史の刻印を深く刻みながら伝承されてきたものなので、今日の視点から見るならば、不適切な表現がとられている場合も少なくない。民謡の歌詞のなかには、身分的差別、外国人、他民族にたいする差別、身体障害者にたいする差別、性的差別などを助長しかねない表現が含まれ、職業の貴賎を肯定するような歌詞や卑猥な言葉もみられる。
 本館では、このような民謡を学術資料として公開するにあたり、慎重に検討を重ねた結果、前述の差別的な表現にみられる負の歴史的事実をも、厳粛に受けとめるべきであると考えるに到った。そして、これらも含めて学術研究の対象とすることによって、民衆文化を深く内側から検討し、差別問題を積極的に乗り越えうる研究が可能になると考えたのである。

 以上の観点から、本データベースは原データを尊重することとし、各都道府県の報告書に盛り込まれた報告内容になんらの加工も加えなかった。本データベースを利用する研究者は、積極的な人権擁護の観点に立つ研究姿勢を堅持し、検索結果の活用にあたっては、この主旨を十分に反映させていただきたく願うものである。

 なお、このデータベースは、「民謡の分類法とそのデータベース化に関する総合的研究」(科学研究費補助金(総合研究A)昭和62~63年度 研究代表者・小島美子)によって基礎的研究を行い、「科学研究費補助金研究成果公開促進費(データベース)」(平成3~5年度 日本民謡データベース作成委員会 委員長・小島美子)の成果を活用し、作成、整理、公開されるものである。
 データベースの作成・校正・整理にあたっては、以下の方々の協力を得た(敬称略・順不同)。
内田敦、直川礼緒、鈴木秀明、細田明宏、高安清子、増野亜子、中村仁美、黒川洋子、谷川真祐子、東後昌弘、敖徳波楽(オドバル)、島添貴美子、中島寿美枝、川久保浩志、熊本圭吾、倉田量介、澤妙子、片桐理恵子、坂本麻実子、薗田真木子、藤城智子、佐藤旬、鈴木亜紀子、吉田弘美、西原詩絵、飯田幸代、遠山敦子、井上晶宏、李明姫、伏木香織、小島夕佳、石村由佳、永井真紀、吉田幹子、戸祭哲子、栗橋寛子、上西律子、河合美帆、前島美保


※ 本データベースは来館利用となっており、事前に申請が必要です。>>利用申請


凡例

1. 全項目に共通する事項

2. 項目の内容

データ項目 内容
【民謡ID】 1演唱者(複数、グループも含む)の1演唱に1コードが付いている。
コードは8桁で、最初の2桁が都道府県コード、次の4桁が都道府県内の整理番号、最後の2桁が枝番である。
枝番は決まった手順で行われる作業や芸能の一連の歌に付ける。
例:13057901
13(都道府県コード)0579(都道府県内の整理番号)01(枝番)
【分類】 民謡分類は基本的にその歌がどのような機会に歌われるかによって分けている。
分類は大分類、中分類及び小分類に分かれており、大分類は、A:労作歌、B:祭り歌、C:踊り歌、D:座興歌、E:語り物、F:子守歌、G:わらべ歌、H:アイヌの歌である。
なお、D:座興歌は、歌われる機会によって下位分類ができないので、歌の系譜などによって分類した。
その他詳細は別表1を参照のこと。
【市町村コード】 自治省による市町村コード(平成元年度版)にもとづく。
コードは、5桁で、最初の2桁は都道府県コード、残りの3桁は市町村コードである。
【集落名】 大字名、字名など記入する。
【名称フリガナ(1)~(3)】 民謡の名称のフリガナを示す。フリガナは表音式カナヅカイによる。民謡の曲名には方言の発音が混じることがあり、発音通りに表記する方が誤りが少ないからである。
従って、助詞の「ハ」「ヘ」「ヲ」は、「ワ」「エ」「オ」となる。
また、現地の発音をできる限り尊重したが、「越後」は「イチゴ」とは書かず、「エチゴ」と書くなど、一般的な読みに従ったところもある。
【名称(1)~(3)】 名称は、原則的に各都道府県の緊急民謡調査の報告書や収録記録表、テープインデックス、収録テープのクレジット等(以下、「報告書等」と略す)に従った。
そのため、様式は一定していない。盆踊り、くどき、鈴木主水など、いくつもの名称で呼ばれていることも少なくなく、また、「盆歌」や「まりつき歌」など分類名がそのまま曲名として用いられている例もある。
なお、わらべ歌の一部(民謡分類コードGa遊び歌)と子守歌、及び、名称が不明な曲は、歌いだしを名称として記入する。
名称が3つ以上在る場合は、名称3に列記する。
【歌う機会】
【歌う日時】
【歌う場所】
報告書等のデータに基づき、自由な形で記入する。
【歌う人の性別】 報告書等のデータに基づき、特別に問題になる場合にのみ記入する。
1:男、2:女、3:男と女、4:関係なし
【年齢層】 報告書等のデータに基づき、特別に問題になる場合にのみ記入する。
1:子供、2:大人、3:子供と大人、4:老人、5:関係なし
【資格の有無】 報告書等のデータに基づき、特別に問題になる場合にのみ記入する。
【資格の内訳】 【歌う人の資格の有無】が「1:有」の場合にのみ記す。
例:「氏子総代」「仲人」
【録音の歌の編成】 実際に録音されている歌の編成を記す。
1:1人、2:多数、3:1人対1人、4:1人対多数(音頭一同形式)、5:多数対多数、6:その他(楽器のみの演奏など)
【報告書の歌の編成】 報告書等に記載されている歌の編成を記す。報告書に記載がない場合は空欄である。
1:1人、2:多数、3:1人対1人、4:1人対多数(音頭一同形式)、5:多数対多数、6:その他(楽器のみの演奏など)
【録音の楽器の有無】 実際に録音されている歌の伴奏楽器の有無を記す。
1:有、2:無
【報告書の楽器の有無】 報告書等に楽器が記載されている場合に、その有無を記す。
1:有、2:無
【録音の楽器及び数】 【録音の楽器の有無】が「1:有」の場合にのみ、楽器名と数を記す。
例:「太鼓、笛2」
【報告書の楽器及び数】 【報告書の楽器の有無】が「1:有」の場合にのみ、楽器名と数を記す。
例:「ささら2、笛3」
【録音データの有無】 民謡緊急調査において、この歌が録音されて提出されているかどうかを記す。
1:有、2:無
【収録年】 民謡緊急調査において調査記録された年を和暦で記す。
例:昭和55年収録→S55
調査記録年が特定できない場合は、民謡緊急調査が行われた期間を記す。
例:昭和55年度から昭和56年度→S55S57
【演唱時間】 録音されている時間を記す。
例:2分37秒→02:37
【その他の音楽的情報】 データベース作成者が、録音を聞いて、気が付いた音楽的特徴を記す。
例:手拍子あり
【報告書の音楽的情報】 報告書等に音楽的特徴を記してある場合に、この項に記す。
ここには、データベース作成者の判断は一切加えていない。
【歌に伴う身体の動き】 歌に伴って体が動き、あるいは体の動きに伴って歌が歌われる場合が多い。
踊り、作業、遊びなど、それらの動きについて報告書等に記載がある場合に記す。
【詞型】 歌詞の詞型を記す。言葉の拍数は厳密なものでなく、基本的な歌詞のリズムの型を捉えて判断している。
1:7775調、2:7775調反復あり、3:77調、4:75調、5:57577調、6:57577調反復あり、7:5、6以外の57調系、57575調を含む、8:8886調、9:88調、0:その他
【詞型の内訳】 【詞型】のうち、反復のある2と6、色々な詞型が想定される7と0など、具体的な詞型を必要に応じて記す。
例:反復のある型の場合 77755,ABCDD
  一部反復の場合 37775,aABCD

【歌詞】 報告書等に歌詞が記載されているものは、そのまま記す。実際の演唱とは若干異なる場合もある。
報告書等に歌詞の記載がない場合は、録音テープから、歌詞を聞き取って記した。歌詞の聞き取りは、方言も多く、録音条件から聞き取りにくいものもあり、誤りもあると思われる。
歌詞は、句ごとに「,」をふっている。
【演唱者(1)~(5)】 演唱者の生年、性別を5名まで記す。
報告書等に記載されたものを記しているため、実際の録音と必ずしも演唱者の人数が一致するとは限らない。
【報告書及び調査票による情報】 曲の由来、系譜、その歌の歌われる生活背景、祭りの状況など報告書等に記されている情報を記す。
公開されている報告書に記載がない場合、Hを記す。(報告書に記載がなくても、収録記録票等、公開されていない文字資料に記載がある場合がある。)
【録音時等の情報】 データベース作成者が、録音を聞いた際に書き加える項目で、情報は2種類ある。
1 録音状況についての情報
例:録音が途中で切れている。
歌われている歌詞が、報告書に書かれている歌詞と若干異なる。
2 収録されているクレジットで、明らかになった情報
例:太鼓をたたく人がこの歌を歌う
【DAT】 データベース作成時に、この曲の音源をDATに保存した場合、保存したDATの整理番号と開始時間を記す。
例:DAT整理番号 21-011、開始時間 110分37秒
→21-011/11037
【報告書頁】 報告書に記載がある場合は、記載がある最初の頁を記す。
例:54~57頁→54


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