公開年月:2017年3月
中近世の日本では、「職人」とはモノを作る人ばかりでなく、広く様々な職業に従事する人々(諸職)と同じ意味でした。このデータベースは、17~19世紀にわたる近世(江戸時代)の日本で商業出版された版本(はんぽん 「板本」とも)27タイトル(29種)の挿絵から、「職人」(諸職)の描かれた約3,000の画像を抜き出して、様々な角度から検索できるようにしたものです。たとえば「名称」欄に「うどん屋」・「蕎麦屋(そばや)」を入力し、画像と項目の説明を合わせて見ていただくことで、これらが江戸時代のいつごろ、どの土地で、どのように営業しているのかを、挿絵の描かれた年代に沿って知ることができます。
このデータベースは、人間文化研究機構に所属する国文学研究資料館・国立歴史民俗博物館の研究者を中心に活動した連携研究「都市風俗と「職人」-日本中近世の絵画資料を中心に-」(平成25~27年度)の成果として作成し、両館と参加メンバーが所蔵する和古書の中から、できるだけ質の良いテキストを選んで画像化するように心がけました。今の時点では、必要な資料・テキストを網羅的に押さえているとはまだ言い切れないのですが、近世「職人」の姿をイメージしていだだくのには十分な量と質に達しているのではないかと考える次第です。
なお、このデータベースの画像・詞書の中には、今日の人権意識に即して不適切なものが含まれていますが、諸職の経てきた歴史性を考慮して手を加えなかったことをご理解いただけますようお願いいたします。
項目名 | 内容 |
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【名称】 | 「職人」の名称。できるだけ掲載資料に出ている名称をはじめに置き、全角・現行の仮名づかいでふりがなをつけた。 「鍛冶屋(かじや)」・「鍛冶師(かじし)」・「刀鍛冶(かたなかじ)」・「鉄砲鍛冶(てっぽうかじ)」のように関連する職種については、「鍛冶」を入力すれば一括検索が可能なようにした。 また同一画面に異なる職種が描かれる場合、備考欄から関連画像を検索できるようにした。 必要に応じて名称欄に両方の職名を入れたものもある。 |
【所蔵】 | 概要に説明したように、主として国文研・歴博・個人蔵。 著作権の成立しない複製本による画像は「その他」とした。 |
【成立・刊行】 | 元号及び刊年(半角数字)。 | 【成立・刊行 西暦】 | 半角数字。 | 【巻冊数】 | 原則として、「第一巻第一冊」を「1巻1冊」(数字は半角)のようにした。 ただし、「第一巻上(下)冊」のような場合、実際に何冊目にあたるかを、「1巻上冊01」・「1巻下冊02」のように、フォントを落とした半角2桁数字で示した。 |
【丁付】 | 原則として「二十(廿)丁表」は「20ォ」、また「三十(卅)丁裏」は「30ゥ」のように、半角数字とフォントを落としたカタカナにした。 また、「十一ノ十二」や「又十三」のように、原資料に丁付の誤りを訂正した箇所が見られる場合などは、そのまま残した。 |
【詞書】 | 原則として挿絵の丁に記された詞書を横書きに翻刻し、適宜「 」を付け、漢字は現行字体とし、句読点を付けて読みやすくした。 振りがなや漢文の訓読は( )に入れた。 また、画像とは別の丁に書かれた本文でも、画像の理解の補助となるものは丁数と共に詞書欄に入れた。 |
【キーワード】 | 画像の細部や背景を理解するために必要と考えられる単語(ただし「名称」で用いたものは除く)をできるだけ多く加えた。 | 【掲載資料書誌】 | 資料全体の巻冊数。 ジャンル名。著者・画工。出版書肆(原資料の奥付による)。必要に応じて資料の特性を簡略に記した。 |
【備考】 | 上記項目の補いになる点や、不明な点を記した。 | 【画像番号】 | 例、『七十一番職人歌合』 1(ジャンル番号【職人歌合(狂歌合・俳諧合)】) +01(ジャンル内の連番01 以下半角数字) +巻冊数(01~03) +資料内での連番(0001~0142) 9桁半角数字(『七十一番職人歌合』は101010001~101030142の142項目となる。)
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