基盤研究 (C) 一般

帝国日本と植民地災害 ―日本植民地時代の台湾震災史を中心に―

研究期間:2017年度~2019年度

研究代表者 荒川 章二(本館・研究部)

研究目的

本研究は、日本植民地時代の台湾における震災史の全容を明らかにすることで、植民地での災害とそれに対する植民地権力・本国の対応という分析対象から、一般に内国史的な色彩が強い災害史と日本植民地史(帝国史)、総力戦体制への過程史を接合し、総体としての歴史的意味を問うことにより、それぞれの分野の研究に一石を投じることを目的とする。初期の植民地統治期においては、災害という非常時への対応は、支配の安定・定着に関わる局面であり、国際社会が制度的に形成された第一次世界大戦以降においては、植民地の大災害は、国際的救援・関心を呼び込む広義の外交・国際関係に関わる事態でもあり、本国と植民地が一体となった救済・復興の演出は、総力戦準備の基盤形成にもつながった。以上の諸側面に注目し、災害史像の再構築を試みる。