特別研究員奨励費

日本アニメーション産業確立期に関する基礎的資料の調査と研究

研究期間:2013年度~2015年度

研究代表者 木村 智哉 (本館・研究部)

研究目的

従来の商業アニメーション史研究は、後に有名になり注目を集めた作家・作品(たとえば宮崎駿など)への関心からなされることが多く、そのため注目度の高い「巨匠」や「傑作」などの諸点を線で繋いでいく、単線的な記述にならざるをえなかった。結果、1950年代末から60年代にかけてアニメーション製作が産業として確立し、また70年代にはテレビを中心として作品数を拡大させていく間におこった、映像表現や物語表現上をめぐるクリエイター間での価値観の相違と衝突、さらに製作スタジオ、映画会社やテレビ局、広告代理店やその他のスポンサーなど、諸企業の経営路線の折衝の複雑な過程は、それぞれ作品が生み出される際の「秘話」のような形で断片的なエピソードが伝わるにとどまり、その実証的な検証や、歴史的意義の位置づけなどは、ほとんどなされてこなかった。

これに対し申請者の研究は、アニメーションという映像文化が商業的な製作の現場で創造されてきた経緯を、より実証的に考察するため、まずは基礎的な資料(関連雑誌、年鑑等に掲載された報道記事と、製作された映像作品そのもの)の体系的な把握と検証を行う。特に、映画に比して未整理の領域が多々残されている、国産テレビアニメの草創期(1963年以降、80年代初頭まで)の諸動向を把握し、映画からテレビへという主要な商業映像メディアの転換が、アニメーションの制作現場と、その映像表現とにどのような変化と影響をもたらしたのかを実証的に検討する。分析対象は、1950年代後半~70年代初頭にかけて設立された、テレビ番組制作においては元請けとなる諸スタジオ(東映動画株式会社を中心に、虫プロダクションほか数企業)と、その作品および関連・取引先企業とする。