特別研究員奨励費

炭素14年代法による韓半島青銅器時代の編年体系の構築

研究期間:2012年度~2013年度

研究代表者 坂本稔 (本館・研究部)
研究分担者 李昌熙 (本館・研究部)

研究目的

炭素14年代法による、韓半島の青銅器時代の実年代と編年体系の新構築を目的とする。韓半島を介在した文化や技術の伝播により、東アジア各地域での考古学的な併行関係が確認されている。炭素14年代法による弥生時代の開始年代を青銅器時代と関連づけるため、同一の方法論を併行する青銅器時代に適用する。また、青銅器時代早期と関わる中国資料の炭素14年代との比較分析を行い、東アジアの中での弥生時代、青銅器時代の位置づけを図る。これにより韓半島の青銅器時代における、実年代に基づく高精度の編年体系を構築する初めての試みになる。考古学的な相対編年と炭素14年代を整合させる方法は、初期鉄器時代~原三国時代(弥生時代前期末~後期)について既に実績があり、同一の方法論で紀元前一千年紀の実年代を決めることができる。また日韓それぞれの国内で議論の続く弥生時代の開始年代、および両国にまたがる青銅器時代の年代観に合意点を導きだす手がかりとなる。得られた編年体系を基盤として周辺地域の遺物を比較することで、紀元前一千年紀の日韓交渉史にみえる出来事を遺物や文献と整合させ、より正確な歴史叙述を進めることができる。したがって申請者の究極的な研究課題である人間の移動、つまり日本列島と韓半島との間の移住と交流の実態を明らかにする上で重要である時間軸を確定することで、移住と交流の歴史的な背景や目的に対する解釈を行う。

以上の一連の作業は考古学者が自然科学的な方法で実年代を獲得するための手引きとなり、炭素14年代法の活用の進展が期待される。自然科学的な分析法に対する考古学者の認識の変化にも寄与できる。