基盤研究 (B) 一般

消費社会における民俗と歴史の利用

研究期間:2010年度~2012年度

研究代表者 常光 徹 (本館・研究部)
研究分担者 山田 慎也 (本館・研究部)
小池 淳一 (本館・研究部)
内田 順子 (本館・研究部)
青木 隆浩 (本館・研究部)
岩淵 令治 (本館・研究部)
神野 由紀 (関東学院大学・人間環境学部)
柴崎 茂光 (岩手大学・農学部)

研究目的

近代以降、消費文化は日常の家族生活から通過儀礼、年中行事、祭礼・イベント、エコツアーにまで浸透し、「民俗」と「歴史」は、伝統的な装いのもとに新たな価値を見出され、需要を喚起する役割を果たしている。このような状況に対し、本研究は民俗学を基軸としつつ、歴史学や経済学の視点や分析手法を取り込んで、「民俗」と「歴史」の大衆消費化の過程とそれを生み出す社会的・経済的背景を解明するものである。とくに以下の二点を中心に研究を進めていく。

(1) 百貨店における商品開発の過程で創出される歴史表象を分析し、さらに当時の学問が正統性を与えるなど、その関与の様相を解明する。さらに、商品の地方への浸透とそれを用いた儀礼や家族生活の検証により、中央の百貨店から提示された理想的な家族像・地域像を、地方や各家庭がどのように受容し、新たな民俗を形成していったのか明らかにする。一方、地方での「工芸」や「民芸」、「土産品」の分析を通して、地方文化の都市受容を考察する。これにより「民俗」と「歴史」の商品化の動向を都市と地方の双方向について一体的に把握する。

(2) 文化と自然を観光資源として用いる場合には、従来の経済原理とは異なる、価値観の転換がなされる。その転換がどのような経緯で行われ、かつ住民生活にどのような影響を及ぼすのか、現地調査を中心とした分析を行う。とくに地域開発に伴って文化の保存措置が図られる例や農林水産業や炭鉱業の衰退に伴う地域経済の停滞から、自然と文化を観光開発に利用する道を選ぶ事例など数多く見られる。これらの価値付けには、しばしば文化行政が関与している。そこで本研究では、文化と自然に対する価値観の変化を、観光に対する地域の意見対立や拮抗といった当事者の視点と、そこを訪れる観光客、開発資本、文化行政といった外部からの視点を含め総合的に捉える。