若手研究(B)

国家の開発政策・環境保護政策への地域住民の対応:中国海南島における調査研究

研究期間:2009年度~2010年度

研究代表者 蒋 宏偉

研究目的

本研究は、(1)人間集団が政府の開発及び環境保護政策にどのように対応するかという地域研究にとって重要な課題と、(2)環境保全と両立する持続可能な農村開発モデルの提示という農村開発学にとって重要な課題に挑戦するものである。

中国農村地域においては、国家がいろいろな側面において政策的介入を行っている。代表的なものは、換金作物の導入による市場経済化であり、パラゴム・バナナ・リュウガン・コショウなど市場価値の高い作物が特に中国南部の農村地域でひろく栽培されるようになった。一方、1990年代に本格化した環境保護政策によって農村地域における森林保護が全国的に展開されている。

マクロな視点からみれば、地域住民が国家政策の影響を一方的に受ける立場であるのは間違いないにしても、村落レベルでみれば、住民は政策を解釈し、彼らの社会に取り込む努力をするはずで、そのダイナミズムに焦点をあてた調査は現代の地域研究におけるフロンティア領域であるといえる。

本研究の目的は中国海南島に居住する漢族の3つの村落を主な対象にして、それぞれの村落が換金作物の導入による農村開発政策、大都市の購買力に依存した勇気農耕開発政策、華僑資本の導入による農村開発政策などに対してどのように「適応」してきたかを具体的に明らかにすることである。