研究活動一覧

科学研究費補助金による研究

2009年度~2011年度科学研究費補助金: 異業種間の職人における技術の伝承と応用性に関する研究

基盤研究 (C) 一般

異業種間の職人における技術の伝承と応用性に関する研究
研究期間:2009年度~2011年度

研究代表者 青木 隆浩 (本館・研究部)
研究分担者 小池 淳一 (本館・研究部)

研究目的

本研究は、伝統産業の技術が近代化・工場化の進展するなかで、位置づけをたえず変化させていく様子を近現代の長期的な視野から明らかにするものである。なお、変化の原因は、必ずしも自産業の内発的な動機に限られない。むしろ現実には、直接的な取引関係や技術提携の有無に関わらず、異なる産業が相互に影響しあって、技術変化の大きなうねりを生み出していることが少なくない。そこで、本研究では研究対象を1つの業種に限定せず、ある技術が存続・衰退・復活する様子を他業種との関連から明らかにする。

具体的な内容としては、研究代表者の青木がこれまで扱ってきた酒造業を事例として、さまざまな雇用の発生と技術伝承の仕組み、さらには他業種への影響を長期的なスパンで調査する。次に、この研究視角の応用性を確認するため、酒造業と同様に伝統的な手作りと工場化が共存している業種について、同じ視点からの分析を試みる。

これらに関連する業種は少なくないが、本研究ではとくに轆轤をめぐる職人のネットワークや技術伝承の仕組みに力点をおく。その理由は、轆轤が本来正確に円形の製品を形作るための道具であり、その意味で旋盤を用いた工場化への連続性を有するにも関わらず、今もなお陶磁器や漆器、文房具といったさまざまな分野の手作りに用いられているからである。以上のの比較により、異業種間で相互に影響しあいつつある職人の技術とその位置づけが、長期的には変化しつつも共存していく様子を明らかにできると思われる。

なお、本研究の特徴的な成果としては、(1)モノを通じて、異業種間における職人の直接的・間接的な相互関係を明らかにできる、(2)家族経営や企業経営の原理とは異なった側面から、職人の雇用が発生している要因と、彼らの技術が変化しつつ伝承されている様子について、共通の原理を見いだすことができる。