研究活動一覧
科学研究費補助金による研究![]()
平成16~20年度 文部科学省・科学研究費補助金 学術創成研究費:
弥生農耕の起源と東アジア-炭素年代測定による高精度編年体系の構築-
宇治市街遺跡下層出土の古墳時代遺物の年代測定成果
研究会の概要
平成18年3月22日、京都府宇治市中央公民館にて、宇治市街遺跡下層の韓式土器が出土した遺跡の年代判明に関する記者発表が行われました。 宇治市街遺跡は、基本的に平安から江戸時代にかけての大規模遺跡で、東西1500m、南北500mほどの広がりを持っています。平成16年の調査では平安時代の邸宅遺構の下層から古墳時代の溝跡が見つかりました。この溝跡からは初期の須恵器や在来の土器を伴って多量の韓式土器が発掘され、木製品も多く見つかりました。これらの遺物は出土状況から見て一括性(同時性)が高く、木製品の原木伐採年がわかれば考古学に重要な年代の定点を与えるものとして注目されています。 出土した木製品の中で、伐採年を特定できる面皮を残すヒノキの板材があり、奈良文化財研究所・古環境研究室の光谷拓実室長によって年輪年代測定が行われました。その結果、年輪数が少なく断定的な結論としないながらも西暦389年という値が得られました。我々は、この木製品を5年輪ごとに細分し、炭素14年代測定を行い、IntCal04とのパターンマッチングであるウィグルマッチングによる年代測定を行った結果、西暦294~326年または359~395年という結果を得ました。これは年輪年代法により得られた年代値を補強するものとなりました。年輪年代法と炭素14年代法という異なる年代決定法によりこの木製品の伐採年が特定され、共伴した土器群の廃棄時期に西暦389年前後という年代値が与えられました。この成果により、須恵器の生産開始そして韓半島から渡来人が移住してくる時期が4世紀後半まで遡ることが明らかとなりました。 この成果は、須恵器生産の開始期、渡来人の移住時期など、考古学的な年代観に大きな影響を与えただけでなく、年輪年代法と炭素14年代法のcolaborationによる考古遺物の精確な年代決定の非常に興味深い一例となるものです。
(尾嵜大真)

記者発表の模様

389年という伐採年の得られた木製品
































