研究活動一覧

科学研究費補助金による研究

平成16~20年度 文部科学省・科学研究費補助金 学術創成研究費:
弥生農耕の起源と東アジア-炭素年代測定による高精度編年体系の構築-

東日本の縄文晩期の年代

2005年1月現在、平成17年度学術創成研究の一環として、東日本縄文時代後期から弥生時代中期に該当する試料を、267測定例について行いました。昨年度までに報告した事例は189例であり、合計で測定456例となります。ここでは、晩期の開始(大洞B1式)を入組三叉文の成立とし、東北地方縄文晩期から弥生時代のはじめの暦年代を中心にみていきます。
東北地方晩期初頭大洞B~B-C式では、青森県川原平(1)遺跡や秋田県向様田A・D遺跡の土器付着物を測定し、大洞B式は前1270年(cal BC)以降であることが確認できました。
同様に、大洞B-C式については前1100年~前1000年ころを中心としていることが確認されました。
大洞C1~C2式については、岩手県大橋遺跡において、多数の測定を行いました。土器付着物では、一部に海洋リザーバー効果の影響と考えられるやや古い年代を示す例もありましたが、おおむね型式学的な新旧および層位的な出土状況に対応し、大洞C1式初現は前1000年をやや下る頃で、下限は前880年よりは古いという結果を得ました。
突帯文土器単純期に併行する大洞C2式については、前900年代後半~末頃に大洞C2式が始まると考えられ、前800年頃は大洞C2式の新しい段階に位置づけられます。
大洞A1式~A’式併行期については、今年度は岩手県金附遺跡において良好な結果を得ました。金附遺跡では、下層(3層以下)出土の大洞A’式・砂沢式期の炭化材および土器付着物・漆の年代は整合的で、前350年より古い年代です。
南関東地方晩期については、東京都下宅部遺跡の土器付着物の測定を行い、安行3b・3c式でやや整合的でないなど、まだ検討していく余地が大きいのですが、おおむね併行する大洞系諸型式の年代推定と合致した結果を得ました。
東日本の弥生前期・中期については、南関東弥生前期末と評価される神奈川県中屋敷遺跡土器付着物、千葉県多古町志摩城跡土器付着物、新潟県養海山遺跡土器付着物や、岩手県金附遺跡上層(1-2b層)の山王層相当期の炭化材・土器付着物などを測定し、弥生前期末から中期前半の年代が、紀元前400~200年のなかの一時点である可能性が高いという結果を得ました。
晩期前葉の較正年代上の交差年代については、九州で山の寺式古期が紀元前900年代後半とされるのに対し、大洞C1式とC2式の境は紀元前900年頃、西日本の弥生早期と前期の境は前800年代末葉とされ、それに併行すると考えられる大洞C2式とA1式の境とは、紀元前790から780年までの間に求められ、おおむね一致しています。同様に、弥生前期と中期の境は350年頃に相当する可能性が高く、この時期の西日本と東日本の編年対比上の暦年代は、ほぼ時間差なく一致している、といえそうです。さらに年代測定を重ね、確かさを追究していく予定です。

(文責 小林謙一)

図 岩手県金附遺跡弥生中期前葉土器   
付着炭化物の較正年代