基幹研究

歴史文化資料に基づく日本中世社会像の再構築

(総括研究代表者 本館・研究部 小島 道裕)

【広領域歴史創成研究】中世文書の様式と機能および国際比較と活用に関する研究

研究期間:平成28年度~平成30年度

研究代表者 小島 道裕 (本館研究部)
研究組織 丸山 裕美子 (愛知県立大学)
川西 裕也 (新潟大学大学院)
佐藤 雄基 (立教大学)
高橋 一樹 (武蔵大学)
桃崎 有一郎 (高千穂大学)
横内 裕人 (京都府立大学)
金子 拓 (東京大学史料編纂所)
朴 竣鎬 (国立ハングル博物館)
文 叔子 (ソウル大学法学研究所)

古川 元也 (神奈川県立歴史博物館)
長村 祥知 (京都府京都文化博物館)
松尾 恒一 (本館研究部)
仁藤 敦史 (本館研究部)
小倉 慈司 (本館研究部)
荒木 和憲 (本館研究部)
鈴木 卓治 (本館研究部)
田中 大喜 (本館研究部)

研究目的

古文書は、そこに書かれた内容が歴史学に有用なだけでなく、それ自体が重要な歴史資料である。歴博は、既に数千点の中世文書を収蔵し、多様さにおいては全国有数のコレクションを形成している。2013年には企画展示「中世の古文書―機能と形―」を開催し、各ジャンルの文書200点以上をまとめて展示したが、多様な収集文書による総合的な展示では、家わけ文書の内在的な論理を超えた、客観的な外在的論理によって内容を組み立てる必要があった。しかし、このような総合的中世文書展は、実はこれまで一度も行われたことがなく、そのバックボーンとなりうるような、各ジャンルにまたがる多様な様式と機能を歴史的に扱うことのできる総合的な古文書学も十分発達していないことが痛感された。

学界的に見ても、日本における古文書学は、近年全体的な体系の再構築が求められており、特に古代文書と中世文書の連続性と変化をどのように理解するかがひとつの課題となっている。そこで、前後の時代や関連分野も含む研究会を組織して、多様な古文書を所蔵し、それを用いて歴史資料として歴史叙述を行なう博物館の立場から、中世文書についての新たな体系の構築をめざす。また、文書という存在の持つ社会的な意義についても検討を行い、それがモノとしてどのように機能したかを、歴史学以外の研究者も交えて考察することで、社会史の中に位置づける。

日本の文書の特質を明らかにするためには、国際的な比較、特に日本と同様に、中国の文書様式を元に独自の文書体系を築いた韓国(高麗・朝鮮)の文書との比較が有効であり、社会的背景と文書の関係、すなわちそのような文書と文書体系を生み出したそれぞれの社会自体の特質についても、これまでにない考察が可能になる。これらの点について、韓国の研究者の協力を得て、実物の比較による研究を行なう。研究期間中には、中国との比較にも道を開きたい。

以上の研究に基づいて、企画展示等において広く成果の普及を図り、また博物館資料と連動して、大学等における古文書の基礎教育にも用いることができるようなコンテンツの開発を行う。

研究会等

概要

日程:2017年6月9日(金)~6月10日(土)
場所:国立歴史民俗博物館 第1会議室・第2修復室

内容

<館蔵古文書の閲覧>
<研究発表>
古川 元也(日本女子大学) 「モノとしての古文書-鎌倉寺社文書を中心に-」
横内 裕人(京都府立大学) 「平安時代における東大寺大衆の発給文書某その変遷と背景―」
高橋 一樹(武蔵大学) 「日本中世地域社会の“文書リテラシー”をめぐる諸相」 
丸山 裕美子(愛知県立大学) 「唐の告身と日本の位記―古文書学的比較研究―」

成果

館蔵文書に基づく討議と各分野からの研究発表によって、特に寺院史料や、地域社会における文書の問題を深め、また官位に関わる文書の国際比較を行うことができた。