基盤研究

歴史資源開発研究

建造物古材による木材科学的資料研究

研究期間:平成28年度~平成30年度

研究代表者 坂本 稔 (本館研究部)
研究組織

中塚 武 (総合地球環境学研究所)
大山 幹成 (東北大学学術資源研究公開センター植物園)
横山 操 (京都大学総合博物館)
藤井 裕之 (学識経験者)
中尾 七重 (武蔵大学総合研究所) 平成28年度から
清水 重敦 (京都工芸繊維大学) 平成29年度から
齋藤 努 (本館研究部)
鈴木 卓治 (本館研究部)
箱崎 真隆 (本館研究部)
工藤 雄一郎 (本館研究部)

研究目的

本研究は,歴博が所蔵する建造物古材を対象に、その資料化を図るとともに、最新の木材科学的な調査・分析を適用した新しい資料研究の展開を目的とする。

本館蔵の建造物古材は、これまで企画展示などの機会に一部が展示される以外に有効な活用が図られてこなかった。背景には、建築史学において部材を対象とした研究が必ずしも主流ではないといった事情がある。一方で自然科学的な手法による木材の研究は近年格段の進歩を遂げ、降水量変動の復元や炭素14年代法による高精度の実年代獲得に成果をあげつつある。しかしながら、日本歴史における古代・中世の時期は来歴の判明した木材資料に乏しく、その入手は大きな課題である。本館蔵建造物古材はその目的に合致する資料群の一つである。

本研究では「試料採取を前提とする」木材科学的な手法を本館蔵の建造物古材に適用し、その物理的・化学的特性を明らかにしつつ、未だ研究途上にある樹木年輪による古気候の復元、日本版較正曲線の整備、および産地推定などを最終的な目標とする。その前提として、現状で十分に整理されていない本館蔵の建造物古材の分類とデータ化を行う。

樹木は1年に1層ずつ年輪を形成しながら生育する。年輪には時間情報とともに、生育年の環境や大気の情報が保持されている。最近の研究で、年輪を構成するセルロースに含まれる酸素の安定同位体比が生育時の降水量変動を反映することが明らかになり、年輪の密度と生育時の気温変動の関連について研究が進められている。さらに、生育環境の違いを反映した木材の産地推定へも発展が期待できる。炭素14年代法においては、暦年代を得るための「較正曲線」が樹木年輪をもとに整備されているが、測定精度の向上に伴い、日本産の樹木年輪が北半球で一般的に用いられる欧米産の樹木年輪と異なる挙動を示していることが明らかになりつつあり、データの蓄積が必要である。

研究会等

概要

日程:2017年5月10日(水)
場所:国立歴史民俗博物館 第2研修室/収蔵庫

内容

研究打ち合わせ
公募により今年度から共同研究に参画する清水教授とともに、今年度夏に行う古材調査の進め方について議論した。

成果

収蔵されている古材は、昭和10年以前の修理で生じたものと推定される。収蔵庫内での調査を8月7〜10日に設定した。