基盤研究

多元的フィールド解析研究

海の生産と信仰・儀礼をめぐる文化体系の日韓比較研究

研究期間:平成27年度~平成29年度

研究代表者 松田 睦彦(本館研究部)
研究組織

崔 銀水 (韓国国立民俗博物館)
呉 昌炫 (韓国国立民俗博物館)
磯本 宏紀 (徳島県立博物館)
川島 秀一 (東北大学災害科学国際研究所)
金 賢貞 (亜細亜大学国際関係学部多文化コミュニケーション学科)
昆 政明 (神奈川大学)
島立 理子 (千葉県立中央博物館)
関 周一 (宮崎大学)
宋 奇泰 (木浦大学校島嶼文化研究院)
崔 仁香 (中央大学校日本研究所)
鄭 明燮 (韓国国立民俗博物館)平成28年12月31日まで
鄭 然鶴 (韓国国立民俗博物館)
李 智喜 (韓国国立民俗博物館) 平成28年度から
李 官浩 (韓国国立民俗博物館) 平成29年1月1日から
飯田 卓 (国立民族学博物館) 平成28年度から
川村 清志 (本館研究部)
松尾 恒一 (本館研究部)
三上 喜孝 (本館研究部)
村木 二郎 (本館研究部)
小池 淳一 (本館研究部)

研究目的

本共同研究は日本と韓国それぞれにおける海を媒介した民俗の有機的連関を、とくに生業と信仰・儀礼との関係に注目しながら抽出したうえで、その連関の論理、すなわち海の文化体系を比較し、日韓双方の海をめぐる生活文化の類似と相違およびその要因を明らかにすることを目的とする。さらにその成果は韓国国立民俗博物館との共催で行なう国際企画展示として発表する。

列島を形成する日本と半島を形成する韓国とはともに長い海岸線を持つ。また、日本海(韓国名:東海)という同じ海を囲むことはもとより、多島海や遠浅の海といった共通する海洋環境も多く、生息する生物の種類にも共通点が多い。さらに、日本列島と朝鮮半島との間では国家レベル、民衆レベルを問わず、歴史上現代にいたるまで盛んに交流が行なわれてきた。こうした自然的・歴史的要因を背景として、日韓双方における海と向きあう生活文化には多くの共通点を見出すことができる。その一方で、こうした共通の背景にもかかわらず、漁法や漁撈具、魚介類の嗜好、儀礼に供される魚介の種類、海をつかさどる神霊への信仰などには大きな違いが見られ、日韓双方における独自の技術的発展や文化的展開があることが予想される。

一般的に複数文化間での比較研究は生業技術や信仰といった形で研究テーマを絞って行なわれることが多い。こうした手法は個別テーマの研究を深化させる意味で効果的ではあるが、各テーマ間の連関について議論されることは少ない。しかし、ひとつの文化事象が他の事象の影響を受けずに単独で成立・存在するということはありえず、文化事象間の連関の様相を見る必要がある。そこで重要となるのは比較の枠組みの拡大である。

本共同研究では海を媒介した民俗を一つの文化体系として抽出し、日韓比較を試みる。たとえば、日本に比べて韓国では日常的なワカメの消費量が多く、出産にともなう儀礼食としても重要な役割を果たす。一方で祭祀にはメンタイが多く用いられ、贈答品としてはイシモチが珍重される。こうした韓国の魚介類をめぐる民俗の背景には、食物の嗜好性、漁撈技術や流通、そして歴史的に築かれてきた文化的意味などのさまざまな要素が複雑に絡み合っており、そこには一つの文化体系を見出すことができる。当然、こうした海をめぐる文化体系の解析と抽出は日本でも試みられる。

本共同研究では、生業・信仰・儀礼・芸能・衣食住・口承文芸等、日韓双方から多分野の研究者が集い、両国のフィールドを共有しながら海をめぐる生活文化の比較研究を行なう。また、文献史学や考古学の協力を仰ぎ、日韓文化の類似と相違の要因を歴史的アプローチからも検証する。

研究会等

概要

日程:2017年4月8日(土)~4月9日(日)
場所:国立歴史民俗博物館 第3会議室

内容

三上喜孝(歴博)「日韓の古代史料にみえる海産物とその加工法―木簡と延喜式を中心に―」
菊地則雄(千葉県立中央博物館海の分館)「日本と韓国における海藻養殖の比較―全羅南道で見てきたことから―」
崔銀水(韓国国立民俗博物館)「万祝に現れた紋様の種類と意味」
川島秀一(東北大学)「漂泊するエビスたち」

成果

日韓の海藻利用の文化を理解するために藻類学の研究者も参加し、文理融合での活発な議論が行なわれた。