基盤研究

歴史資源開発研究

古代の百科全書『延喜式』の総合書物学研究―多分野協働をめざして

研究期間:平成27年度

研究代表者 小倉 慈司(本館研究部)
研究組織

相曽 貴志 (宮内庁書陵部)
荒井 秀規 (藤沢市生涯学習部)
稲田 奈津子 (東京大学史料編纂所)
小口 雅史 (法政大学)
倉本 一宏 (国際日本文化研究センター)
中村 光一 (上武大学)
早川 万年 (岐阜大学)
堀部 猛 (土浦市立博物館)
町 泉寿郎 (二松学舎大学)
小曽戸 洋 (北里大学東洋医学総合研究所)
仁藤 敦史 (本館研究部)
林部 均 (本館研究部)
村木 二郎 (本館研究部)
清武 雄二 (本館研究部)
三上 喜孝 (本館研究部)

研究目的

本研究は、2014年度より開始された国文学研究資料館「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」プロジェクトの内の人間文化研究機構 機構内協働研究の一つとして実施するものである。

本共同研究の研究対象である『延喜式』は、延長5(927)年に完成し、康保4(967)年に施行された、全50巻、条文数約3500条におよぶ古代の法制書である。三度にわたって編纂された式のうち、『延喜式』は古代の基本資料として知られているが、その規定の中には、神社や祭祀、儀礼における調度品や食料など、さまざまな物品が登場し、さながら「古代の百科全書」ともいえる内容を持つものでもある。それゆえ、古代史のみならず文化史、科学史といった他の研究分野からも注目されるべき資料と言える。だがその内容は難解なものが多く、『延喜式』の持つ豊かな情報が多くの研究者によって共有されているとは言い難い状況にある。

本館が所蔵する田中穣氏旧蔵典籍古文書には『延喜式』が含まれている(その他、鎌倉時代写の三条西家旧蔵『延喜式』巻50も蔵する)が、これは土御門家旧蔵で、江戸時代初期に書写された写本である。近世の書写ではあるものの、全巻揃った善写本として価値が高く、現在刊行中の『訳注日本史料 延喜式』(集英社)でも底本として使用されている。

そこで本研究では、同写本を主たる研究対象として総合書物学の観点から研究を進めることとしたい。具体的には、他に蔵される諸写本や版本等の調査を踏まえつつ本文の検討、また『延喜式』の受容史・研究史等にまで及んだ検討をおこない、さらに現代語訳や英訳など、『延喜式』を日本古代史にとどまらない諸分野で活用できるような方法を模索する。将来的にはネットでの情報発信をめざす。なお、言うまでもないことではあるが、単なる過去の研究の公開ではなく、最新の研究成果を踏まえ、かつこれからの研究の発展の礎を築くことが目標となる。具体的には以下の達成を目指す。

1. 田中本『延喜式』のカラーデジタル撮影。
2. 『延喜式』諸写本(書入れを有する版本も含む)のデータ収集・調査研究。
3. 田中本『延喜式』を底本とした校訂本文の検討。全50巻中の二分の一程度の完成を目標とする。
4. 『延喜式』現代語訳の試行(巻17内匠式、巻24・25主計式上下)最低1巻分は完成させ公開する。
5. 4を踏まえた英訳の試行。

なお、これらの作業は将来的なデータベース作成公開を念頭においたものである。