基盤研究

歴史資源開発研究

東アジアの宗教をめぐる交流と変容

研究期間:平成24年度~平成26年度

研究代表者 松尾 恒一 (本館・研究部)
研究組織 Ronald Toby (イリノイ大学)
Alexander Mayer (イリノイ大学)
Brian Ruppert (イリノイ大学)
Elizabeth Oyler (イリノイ大学)
Hank Glassman (ハアヴァフォード大学)
Lucia Dolce (ロンドン大学)
康 保成 (中国・中山大学) 平成24年度まで
王 霄冰 (中国・中山大学)
王暁葵 (中国・華東師範大学)
田兆元 (中国・華東師範大学)平成25年度から
阿部 泰郎 (名古屋大学)
近本 謙介 (筑波大学)
荒見 泰史 (広島大学)
上島 享 (京都大学)
大東 敬明 (國學院大學)
久野 俊彦 (栃木県立学悠館高等学校)
Michael E.Jamentz (学識経験者)
三後 明日香 (米国カールトン大学)
古川 元也 (神奈川県立歴史博物館)
高橋 一樹 (武蔵大学) 平成24年度まで
村木 二郎 (本館・研究部)
小池 淳一 (本館・研究部)

研究目的

古代以来の長期にわたっての漢字の使用、仏教の大きな影響を受けた精神文化といった点で大きな共通性を有する東アジアの宗教をテーマとして、文献のみならず、埋蔵資料・伝承資料に基づいて、その歴史と、民衆文化として変容・定着をして現在に続く様相を考究する。日本のみならず、東アジアを専門とする研究者や、欧米からの国際的な関心からの共同研究を行う。

欧米における、日本仏教は現在なお、禅に代表されるような、東洋の神秘思想としての側面のイメージが強く、研究においても思想(史)研究が主流となってきた。一方、日本においては、この20年ほどの寺院研究の成果はめざましく、権門寺院についての、朝廷や貴族、幕府と結びついた政治・経済的側面を、鎮護国家の祈願のための儀礼といった実践や、仏教行政や寺僧の組織との関係性にも注目しつつ、多くの実態が解明され、その意義が討議されてきた。また、こうした研究とともに、仏教の実践としての儀礼や、儀礼と深くかかわりをもって展開、形成された音楽・舞踊、絵画、口承等の諸文化や、あるいは修験道・陰陽道・神道等、仏教と深くかかわった日本宗教についての研究も大きな進展を見ている。

仏教と関わった日本の民衆文化研究の大きな潮流としては、戦前からの民俗学による漂泊の芸能者による唱導の研究や、その流れをも汲む、日本文学における、中世の語りの起源を寺院における儀礼に探ろうとする研究があるが、美術史における仏教絵画研究や、建築史学からの儀礼空間としての特質を追及する仏堂研究をも統合して新たな「唱導」概念を打ち立てたり、あるいは「法会文芸」なる枠組みを設定しようとする動向が存する。

また、変容を遂げつつも、時代を超えて現在に継続する宗教的な諸現象を「宗教遺産」として認め、現代における価値や意義を見出そうとする文化研究も立ち現われている。

こうした、民俗的な宗教についての新たな研究動向とも連携しつつ、国際的な日本、及び東アジアの伝統宗教や信仰への関心にも応え得る共同研究を推進することを目標とする。

欧米や東アジアの研究者との、それぞれの視点からの共同研究を推進しつつ、宗教を含む精神文化その表象が、国や地域を超えて伝播、錯綜する、現代における信仰や神仏の問題を考える基盤の構築にもつなげてゆきたい。