年度別学術成果報告

2016年3月31日

『イェール大学所蔵 日本関連資料 研究と目録』刊行

 

編集 : 東京大学史料編纂所

発行者 : 池嶋洋次

発行日:2016年3月31日

イェール大学が所蔵する日本の古代・中世の史料は、日本国外ではおそらく随一の規模を誇る。それは朝河貫一の努力によるところが大きい。朝河は、同大学の歴史学教授と東アジア図書館長を務め、The Documents of Irikiの公刊により欧米における日本中世史の研究に大きく貢献した。史料編纂所は朝河の史料収集に全面的に協力し、亡くなったあとも朝河の研究事業との関係を継続している。偉業を顕彰する目的でThe Documents of Irikiが復刊された際には、朝河の遺志を継いで古文書原文の釈文を全面的に改訂するために、「入来院家文書」原本が史料編纂所に借り出され、所員がこれに協力した。同文書はその後史料編纂所の購入するところとなった。また、朝河が亡くなって五十年になる一九九八年、三年に一度所蔵史料を広く公開する機会である史料展覧会の第三十二回を、「「入来文書」の世界」と題して開催し、二〇〇〇年には『入来院家文書CD―ROM版』を紀伊国屋書店より刊行した。

史料編纂所は、日本前近代に関わる史料集刊行のため、日本各地に所在する歴史史料を複製で蒐集することに努めているが、蒐集の対象は日本国外に所在する日本関係史料にも及ぶ。一九五〇年代から日本学士院などの協力を得て進めている事業はその代表例であり、最近では東アジア諸国の史料の蒐集にも積極的に取り組んでいる。

二〇一〇年度、史料編纂所は、大学共同利用機関法人人間文化研究機構より日本関連在外資料調査研究事業に参加することを委託されて、「イェール大学をはじめとする米国大学所蔵日本関連資料の再活用による日本研究の推進」という課題を掲げて加わることとした。この課題は史料編纂所にとって、在外日本関係史料蒐集という基盤の上に、朝河が関わった日本史料の収集・研究の成果を再認識するという意図も込められている。本書は六年間にわたって行われた同事業による調査の報告書である。

本書により、イェール大学の所蔵する日本関連資料の価値がさらに見いだされ、一層の活用がはかられることを期待している。

2016年2月1日
東京大学史料編纂所長
山家浩樹

(本書序文より転載)


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