年度別学術成果報告

2016年3月31日

『オランダ・ドイツに所在するシーボルト関係地図資料―ライデン・ミュンヘン・ブランデンシュタイン城を中心に―』刊行

人間文化研究機構「日本関連在外資料の調査研究」プロジェクト カテゴリーA
「シーボルト父子関係資料をはじめとする 前近代(19 世紀)に日本で収集された資料についての基本的調査研究」ライデンB チーム(地図班)研究成果報告書

 

発行者 : 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
編者 : 青山宏夫
著者:青山宏夫・三河雅弘

発行日:2016年3月31日

大学共同利用機関法人人間文化研究機構は、2010(平成22)年度から6 カ年計画で「日本関連在外資料調査研究事業」プロジェクトを推進した。そのなかのカテゴリーA として、大型共同研究「シーボルト父子関係資料をはじめとする前近代(19 世紀)に日本で収集された資料についての基本的調査研究」(総括研究代表者 久留島浩〔2010 から2013 年度まで〕、日高薫〔2014 から2015 年度まで〕)が実施された。本報告書『オランダ・ドイツに所在するシーボルト関係地図資料―ライデン・ミュンヘン・ブランデンシュタイン城を中心に―』は、その大型共同研究を構成するライデンB(地図・絵画など)チーム「オランダ(ライデン大学・ライデン国立民族学博物館等)所在日本コレクションの画像付目録の作成」(研究代表者 青山宏夫)のうち、シーボルト関係地図資料を調査対象とした同チーム(地図班)の研究成果をとりまとめたものである。なお、ライデン国立民族学博物館が所蔵する「死絵」を主たる調査対象とした死絵班の研究成果については、別に図録として刊行する。

ライデンB チーム(地図班)は、オランダにおける日本関連の地図資料として一大資料群を形成しているシーボルト(Philipp Franz von Siebold)関係の地図資料について、ライデン大学およびライデン国立民族学博物館などを主たる対象にして、原本調査に基づく資料目録を作成することを目的とした。あわせて、ライデン以外に所在するシーボルト関係地図資料の調査も実施し、その資料目録を作成することを計画した。

ライデン大学の大学図書館をはじめとして、ライデンに所在するシーボルト関係地図資料は、これまでにも多くの研究者によって調査され、その一部はすでに写真等により広く知られている。しかし、1 点1 点の地図資料について、原本調査に基づく資料学的データは必ずしも広く提供されているわけではない。また、ミュンヘン五大陸博物館(旧国立民族学博物館)や、ブランデンシュタイン城(ドイツ・ヘッセン州シュリュヒテルン)すなわちシーボルトの末裔であるブランデンシュタイン=ツェッペリン家には、シーボルト関係地図資料がまとまって所蔵されているものの、これらの原本調査に基づく資料目録の作成や、これらの地図資料とライデン所在の地図資料との比較検討はほとんど行われていない。これらのことは、シーボルト関係地図資料を総体的に把握するためには不可欠の過程であり、この点に本研究の意義がある。

ライデンに所在するシーボルト関係の地図資料については、ライデン大学の大学図書館および東アジア図書館とライデン国立民族学博物館、さらにはそれらの地図資料の一部が貸出・展示されているシーボルトハウスにおいて、2010(平成22)年度、2013(平成25)年度、2014(平成26)年度に原本調査を実施した。この調査では、シーボルトが第1次来日時に収集した地図の特定につとめ、とりわけシーボルト著(ホフマン解説)『フィリップ フランツ フォン シーボルト蒐集並ニヘーグ王立博物館所蔵日本書籍及手稿目録』(以下、シーボルト・ホフマン目録とする)に掲載された地図資料の原本調査を中心に実施した。その調査結果を、「シーボルト・ホフマン目録とライデンに所在するシーボルト関係地図資料一覧」として、本報告書第2 章に掲載する。

また、ミュンヘン五大陸博物館に所蔵されているシーボルト関係地図資料については2010(平成22)年度と2012(平成24)年度に、ブランデンシュタイン城に所蔵されているシーボルト関係地図資料については2010(平成22)年度に、それぞれ原本調査を実施して資料目録を作成した。それらの調査結果を、前者については「五大陸博物館所蔵シーボルト関係地図資料一覧」として本報告書第3 章に、後者については「ブランデンシュタイン=ツェッペリン家所蔵シーボルト関係地図資料一覧」として本報告書第4 章に、それぞれ掲載する。

五大陸博物館に所蔵されているシーボルト関係地図資料は、シーボルトが第2 次来日時に収集した地図資料を中心とするものであり、第1 次来日時に収集した地図資料を中心とするライデン所在のシーボルト関係地図資料群とは、収集の経緯が異なる。また、ブランデンシュタイン=ツェッペリン家所蔵のシーボルト関係地図資料は、全79 点(第4 章参照)のほとんどがシーボルト自身の手になるトレース図や草稿・校正図などであり、収集した完成品を主体とするライデン大学・ライデン国立民族学博物館・五大陸博物館などの所蔵する地図資料とは、資料的性格がまったく異なる。

これら三者三様のシーボルト関係地図資料の目録が作成されたことで、シーボルト関係地図資料の総体的な把握が可能となる。また、それらを相互に比較検討することで、たとえば第1 次来日時と第2 次来日時での地図収集の相違を検討できるほか、これまでほとんど検討されることのなかったシーボルトによる地図分類法とその変遷やシーボルトによる地図編纂過程を具体的に明らかにし、さらにはシーボルトの地図観を窺い知る環境が整うことになる。

このほか、五大陸博物館およびブランデンシュタイン=ツェッペリン家所蔵のシーボルト関係地図資料に関する研究成果は、2016(平成28)年7 月から国立歴史民俗博物館で開催する予定の国際企画展示「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」で公表する計画である(東京、長崎、名古屋、大阪でも巡回開催の予定)。また、五大陸博物館所蔵のシーボルト関係地図資料については、画像付き目録として日本語と英語によりWeb 上で公開する。

最後に、ライデン大学の大学図書館ならびに東アジア図書館、ライデン国立民族学博物館、シーボルトハウス、ミュンヘン五大陸博物館、コンスタンティン=フォン=ブランデンシュタイン=ツェッペリン氏には、貴重な資料を調査する機会を与えていただいたことに感謝します。とくに、ライデン国立民族学博物館のマティ=フォラー氏ならびにシーボルトハウスの邦子=フォラー氏には、ライデンにおける調査全般にわたって格別のご協力を賜ったことを記して謝意を表します。

青山宏夫

(本書序文より転載)


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