年度別学術成果報告

2016年3月30日

『ライデン国立民族学博物館蔵 ブロムホフ蒐集目録 ――ブロムホフの見せたかった日本』刊行

 

責任編集: 松井洋子/マティ・フォラー

編集: 大学共同利用機関法人人間文化研究機構、国立歴史民俗博物館、ライデン国立民族学博物館

発行: 臨川書店

発行日:2016年3月30日

本書は、江戸時代後期に日本を訪れ、長崎出島のオランダ商館の荷倉役、商館長を歴任したヤン・コック=ブロムホフ(Jan Cock Blomhoff, 1779―1853)による収集品の手稿目録を翻刻・翻訳して刊行するものである。

西洋人による日本関係資料の収集としては、出島勤務の医師フィリップ・フランツ・バルタザル・フォン・シーボルト(Philipp Franz Balthasar von Siebold, 1796―1866)のコレクションがよく知られるが、ブロムホフは、シーボルトに先だって日本の物品の収集に着手した人物である。ブロムホフが持ち帰った日本関係資料は、同時期に出島に勤務した商館員ヨハネス・フレデリック・ファン=オーフェルメール=フィッセル(Johannes Frederik van Overmeer Fisscher, 1800―1848)のコレクションや、シーボルトの第一次訪日時のコレクションとともに、オランダのライデン国立民族学博物館に所蔵され、当該館の日本コレクションの中核をなす資料として今なお重要な位置を占めている。

ブロムホフが自らのコレクションについて語った目録を残していることは、ブロムホフ・コレクションの価値をさらに高めている。今回初めて紹介する目録は、彼が個々の日本関係資料をどのように理解し、どのような自身の分類で叙述したのかを示す一次史料であり、そこには、多様なモノを素材に、当時の異文化理解の具体的様相が、誤解や思い込みまで含めて、生き生きと描き出されているのである。江戸時代後期のブロムホフによる日本資料収集、日本紹介における先駆的役割は、注目されてしかるべきであろう。

人間文化研究機構では、「日本関連在外資料の調査研究事業」の一環として、国立歴史民俗博物館を中心に、「シーボルト父子関係資料をはじめとする前近代(19世紀)に日本で蒐集された資料についての基本的調査研究」(2010~2015年度)を推進してきた。このプロジェクトは、欧米に数多く所在する日本関係資料のうち19世紀のコレクションに焦点をあて、収集された時期や経緯がほぼ明確である資料群の詳細な調査をおこなうとともに、そのデータ共有化のための有効な手段を追求する目的で計画されたものである。

ブロムホフ・コレクションは、19世紀前半の日本文化や歴史を表象しうる、時代の「規準」資料として貴重であるとともに、フィッセルやシーボルトの収集品との比較を通じた総合的な評価によって、その後の欧米におけるさまざまな日本コレクションの形成や、日本への関心の高まりへの経緯をたどる手がかりとなることから、研究対象のひとつとして
選択された。

このたび、ライデン民族学博物館と国立歴史民俗博物館との間で締結された学術協力に関する覚え書きにもとづき、オランダおよび日本の研究者の協業の成果としての本目録が刊行されるはこびとなった。日本研究の著書を出版していないためほとんど知られてこなかった、商館長ヤン・コック= ブロムホフの、最初の系統的収集の実践者として日欧文化交流史上に果した役割を再評価することが可能となることは喜ばしい。本研究の遂行に際して惜しみない協力をたまわり、成果の公刊を快諾してくださった所蔵機関および関係者に深く御礼申し上げたい。

2016年3月
人間文化研究機構「日本関連在外資料の調査研究」プロジェクト
カテゴリーA「シーボルト父子関係資料をはじめとする前近代
(19世紀)に日本で蒐集された資料についての基本的調査研究」
総括責任者
人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
日高 薫

(本書序文より転載)


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