基盤研究

高度歴史情報化研究

【公募型】元禄『堺大絵図』に示された堺の都市構造に関する総合的研究

研究期間:平成22年度~平成24年度

研究代表者 藤田 裕嗣 (神戸大学大学院)
研究組織 鳴海 邦匡 (甲南大学)
松尾 信裕 (大阪城天守閣)
嶋谷 和彦 (堺市文化財課)
大澤 研一 (大阪歴史博物館)
高屋 麻里子 (筑波大学大学院)
青山 宏夫 (本館・研究部)
小島 道裕 (本館・研究部)
岩淵 令治 (本館・研究部)
玉井 哲雄 (本館・研究部)

研究目的

堺環濠都市(大阪府堺市堺区)は、戦国期から近世前期にかけて日明貿易や朱印船貿易の拠点となり、会合衆により自治的に運営されるなど、輝かしい歴史の舞台として知られている。本館所蔵、元禄『堺大絵図』に示されている堺の環濠内が「堺環濠都市遺跡」とされ、その発掘調査は1,000件を越した。地中に眠った戦国期までの都市像について、発掘事例が増えた近年では数少ない発掘成果を強引に結びつけることなく、発掘された遺構と遺物自体に素直に対峙する態度が重要となっている。その際、近世初期の状況を1筆レベルの詳細さで示す同絵図は、貴重である。写真複製版も刊行され、近世史学や建築史学など、様々な立場から研究が進められてきたとはいえ、1977年の出版と古いうえに、絵図自体が大型過ぎて、細部までは読みにくい難点があった。この難点は、画像処理技術の進歩により克服できると期待される。本研究は、まず、写真を撮影して、絵図に描かれた土地区画とそこに盛られた文字注記に関する基礎的なデータを確認・共有することから始める。本絵図のデジタル画像を用いれば、発掘データをそれとの位置関係で詳細に検討でき、考古学が、歴史地理学・文献史学・建築史学と協働できると期待される。同絵図に示されている堺の都市構造は、大坂夏の陣で全焼の被害を蒙った後、江戸幕府が堺に込めた総意の表現と考えられ、それを理解するためにも、その前提となる戦国期の復原が望まれる。さらに、17世紀になると大坂が、江戸幕府の肝いりで天下の台所として大規模土木工事も伴って整備された。その中で、兵庫と尼崎を含む大阪湾、引いては瀬戸内や日本列島全体との流通関係をも念頭に置きつつ、流通の拠点としての堺が描かれた同絵図に新しい光を当て、再評価を試みる。