開発型共同研究

縄文時代の人と植物の関係史

研究期間:平成22年度~平成24年度

研究代表者 工藤 雄一郎 (本館・研究部)
研究組織 小畑 弘己 (熊本大学)
佐々木 由香 ((株)パレオ・ラボ)
渋谷 綾子 (広島大学総合博物館)
鈴木 三男 (学識経験者、平成23年まで東北大学学術資源研究公開センター植物園)
千葉 敏朗 (東村山ふるさと歴史館)
辻 誠一郎  (東京大学)
那須 浩郎 (総合研究大学院大学葉山高等研究センター)
能城 修一 (森林総合研究所)
吉川 昌伸 (古代の森研究舎)
吉川 純子 (古代の森研究舎)
篠崎 茂雄 (栃木県立博物館)
百原 新 (千葉大学大学院)
小林 和貴(東北大学学術資源研究公開センター植物園)
坂本 稔 (本館・研究部)
永嶋 正春 (本館・研究部)
西本 豊弘 (本館・研究部)

研究目的

1980年代以降、低湿地遺跡の発掘調査事例が増加したことから、通常の遺跡では残りにくい植物遺体の検出例やその研究が蓄積されてきている。その結果、この20年で縄文時代の植物利用に関する研究が著しく進展し、植物利用の実態が解明されてきた。特に、縄文時代早期の段階でウルシやアサ・ヒョウタンといった外来植物が存在していたことや、縄文時代前期以降の東日本では、定住的な集落遺跡周辺にクリなどの人為的な生態系が維持され、野生植物を利用するだけでなく、植物の生育環境にも積極的に働きかけた植物利用が行われていたことなどが明らかになってきた。この中には、食料資源として利用したものだけではなく、建築・土木用材、塗料、繊維など、様々な形で利用されていた植物が含まれている。

縄文時代の人々が高度な植物利用技術を有していたことは一般的に理解されつつあるが、それぞれの種の利用が「いつ」、「どのように」始まったのか、また、縄文時代以降の環境変動史とどのように関係していたのか、またどの程度、縄文時代の人々が生態系を改変し、人為的な環境が作られていたのか、これらの諸点が正確には把握されていない。それにも関わらず、これまでの考古学研究では、特定の植物のみに言及して、「栽培」、「栽培植物」、あるいは「縄文農耕」といった点が追及されてきた。

本研究の目的は、縄文時代の人と植物利用の関係史を生態学的に明らかにすることである。そのため、縄文時代の植物利用の実態について、現在明らかになっている遺跡出土資料を再検討し、人が積極的に働きかけたと思われる種の時空間的分布傾向を整理する。検討の主な対象とする植物は、縄文時時代の人々と関わりが特に深い、クリ、ウルシ、トチノキ、アサ、ヒョウタン、ササゲ属やダイズ属などのマメ類、ヒエなどである。単に出土資料からその利用方法を検討するだけでなく、現在の植物利用との比較や、それぞれの種の生態的特徴や分布などを検討し、年代測定、木材化石分析、花粉分析、種実遺体の分析、デンプン分析、DNAの分析などの最近の研究成果を融合して、縄文時代の植物利用の在り方を体系的に示すことを目的とする。