基盤研究

歴史資源開発研究

建築と都市のアジア比較文化史

研究期間:平成21年度~平成23年度

研究代表者 玉井 哲雄 (本館・研究部)
研究組織 大田 省一 (京都工芸繊維大学)
小泉 和子 (昭和のくらし博物館)
藤井 恵介 (東京大学大学院)
布野 修司 (滋賀県立大学)
包 慕萍 (東京大学生産技術研究所)
韓 三建 (蔚山大学校)
黄 蘭翔 (台湾大学芸術史研究所)
佐藤 浩司 (国立民族学博物館)
Mohan Pant (カオーパ工科大学)
岩淵 令治 (本館・研究部)
上野 祥史 (本館・研究部)
大久保 純一 (本館・研究部)
高橋 一樹 (本館・研究部)
仁藤 敦史 (本館・研究部)
広瀬 和雄 (本館・研究部)

研究目的

国立歴史民俗博物館には建築の模型が随所に展示されている。それらは実物を縮尺10分の1で忠実に復元した建築模型と、展示に必要な展示素材として作られた、必ずしも縮尺が一定していない展示模型にわけられる。前者は東福寺三門や根来寺大塔のようにエントランスホールに、そして毎年開催される「日本の建築展」などで建築として展示されるものであり、後者は常設展示の各所に配置され展示内容を充実させるために重要な役割を果たしている。

これら模型そのものについて、その歴史的由来や、構造、意匠上の特色などについて入館者から質問が寄せられることもあり、個々の建築に対しての重要性は十分認識されているとは思われる、しかし、建築相互の関連や、歴史的背景との関係など、建築史の観点から建築を考えるという視点は今までほとんどなかったように思われる。何より、歴博の所蔵する建築模型は必ずしも体系的に建物が選ばれているわけではないし、展示模型は展示の必要上設定されているのであって、建築史的な意味は全く考慮されていないのである。

そのような現状をふまえ、歴博で展示として表現されるべき建築史の体系・全体像をまとめ、広く学界に提示する必要があると考える。歴博展示の目指す内容と、建築史の考え方は密接不可分の関係にあるからである。その場合、日本建築固有の特色をあきらかにすることだけではなく、広くその普遍性に注目する必要がある。日本列島内の建築だけではなく、広く東アジアやさらに外の世界の建築との比較考察を行う必要があるだろう。この様な考え方は、これからの歴博の研究活動の基礎として重要な意味を持つはずであり、このアジアへの視点は究極的には歴博の展示全体に反映させることが可能と考える。

このような日本建築を広い視野から再構築するという目的を実現するために、平成18・19・20年度に共同研究「東アジア比較建築文化史」を行い、現地調査、そして、日本と韓国、日本と中国、そして日本とアジアの比較を主題にしたシンポジウムを開き、研究討議を重ねてきた。今回はこの成果を基礎に、地域を東アジアから外の世界に広げ、なおかつアジア地域の建築をあきらかにするために必要不可欠な都市を視野に入れた共同研究を実現したい。具体的には東アジアの中心である中国文明圏の周縁部に広がるモンゴルやチベット、東南アジアとの接点である台湾・インドネシア・ベトナム、さらに南アジアとのつながりのあるインド・ネパールなどの地域の建築と都市を取り上げて比較研究を目指したい。