基盤研究

先端博物館構築研究

洛中洛外図屏風歴博甲本の総合的研究

研究期間:平成21年度~平成23年度

研究代表者 小島 道裕 (本館・研究部)
研究組織 岩崎 均史 (たばこと塩の博物館)
岩永 てるみ (愛知県立芸術大学)
神庭 信幸 (東京国立博物館)
佐多 芳彦 (立正大学)
末柄 豊 (東京大学史料編纂所)
鋤柄 俊夫 (同志社大学)
古川 元也 (神奈川県立歴史博物館)
安達 文夫 (本館・研究部)
井原 今朝男 (本館・研究部)
大久保 純一 (本館・研究部)
小瀬戸 恵美 (本館・研究部)
澤田 和人 (本館・研究部)
高橋 一樹 (本館・研究部)
玉井 哲雄 (本館・研究部)
松尾 恒一 (本館・研究部)
宮田 公佳 (本館・研究部)

研究目的

洛中洛外図屏風歴博甲本(以下「歴博甲本」)は、現存最古の洛中洛外図屏風として著名な、館の代表的資料のひとつである。しかし、これまでの洛中洛外図屏風研究は上杉本に偏っていたため、歴博甲本独自の研究は必ずしも盛んでなかった。

しかし、昨年度の企画展示「西のみやこ 東のみやこ―描かれた中・近世都市―」を契機とした館内の研究から、発注者、作者、制作目的、制作時期などの基本的な成立事情について仮説を提示するに至り、描かれた人物の特定や事物の解釈も進んできた。

洛中洛外図屏風は京都の事物を詳細に描いた絵画であり、歴史資料としても大きな価値を持つものであるため、その研究の進展は、美術史のみならず、政治史、社会史など多くの分野に影響をおよぼし、新たな課題を生み出すことになると思われる。そこで、この機会に館外からも各分野の研究者の参加を求め、共同研究として研究を進めることで、成果を学界共有のものとしていくことが適当である。

また、歴博甲本は、一部に欠失(後補)部分があり、また全体的に画面の破損・汚損がかなりあるため、本来の画像を復元した複製を制作することが以前から館内で検討され、館外でも欠失部分復元の試みがなされていた。これについても、図像研究の水準が上がり、また今日のデジタル技術を用いることで、蓋然性の高い復元を行う条件が整ってきたと言える。

復元という共通の目標を掲げて図像研究を行うことは、各分野からの研究を、焦点を合わせて進展させる効果が期待でき、また絵画をどのように分析しどのような手続きで復元していくかという作業自体もすぐれて研究的な営為である。経費の点で共同研究だけでは全体の復元は無理だが、欠失部分および中心主題とみなせる部分を主な対象として、実験的な復元作業を行うことで方法を確立すると共に、科研費などによって全体復元の条件ができた時に備える。

そして、成果として制作された復元画像は、展示や教育普及活動の素材として活用することが可能であり、そのための活用方法の研究もまた、これまで行われてきた博物館学的研究を受け継ぐものとして重要である。

このように、本研究は洛中洛外図研究の水準を向上させ共有化すると共に、復元複製についても研究実績を積み、またその成果を用いて博物館活動の充実化にも資することを目的とする。

研究会開催予定-「洛中洛外図屏風歴博甲本の総合的研究」第5回研究会

日程 : 2010年9月16日(木) 13:00~17:30
場所 : 国立歴史民俗博物館 第2研修室他

備考

【復元作業の報告と検討】(13:00~14:15)
 ・欠損部分の補筆と疵等の修復 方法と現状の検討
  (左隻作業の現況確認)

【展示に向けて】(14:15~15:30)
 ・要項案の検討
 ・展示内容の検討
   出品資料とテーマ

【研究発表】(15:45~17:00)
 松尾 恒一 (国立歴史民俗博物館)
 「中世京都の風流─踊りと祭礼─」

【協議】(17:00~17:30)
 ・今後の計画について  復元作業、研究発表、現地見学、など