基幹研究

新しい古代像樹立のための総合的研究

(総括研究代表者 本館 考古研究系・教授 藤尾 慎一郎)

【広領域歴史創成研究】農耕社会の成立と展開-弥生時代像の再構築-

研究期間:平成21年度~平成23年度

研究代表者 藤尾 慎一郎 (本館・研究部)
研究組織 李 亨源 (韓国・韓神大學校博物館)
野島 永 (広島大学)
安藤 広道 (慶應義塾大学)
松木 武彦 (岡山大学大学院)
小林 青樹 (國學院大學栃木短期大学)
小林 謙一 (中央大学)
吉田 広 (愛媛大学ミュージアム)
設楽 博己 (東京大学大学院)
高瀬 克範 (北海道大学大学院)
岸本 直文 (大阪市立大学)
小椋 純一 (京都精華大学)
上野 祥史 (本館・研究部)
坂本 稔 (本館・研究部)
西本 豊弘 (本館・研究部)
広瀬 和雄 (本館・研究部)
山田康弘(本館・研究部)
李 昌煕 (本館・外来研究員)

研究目的

歴博が10年前から推進しているAMS-炭素14年代測定法によって得られた実年代は、弥生時代の通説・定説に大幅な見直しを求めている。従来よりも500年早く、水田稲作が始まっていたことによって、弥生前期・中期を中心に、存続幅が延びた結果、弥生時代は約1200年つづいたことがわかった。弥生水田稲作の日本列島各地への広がりはきわめてゆっくりとしたものとなり、当初から存在して弥生社会の急激な発展の原動力とされてきた鉄器はなかなか普及せず、弥生時代の前半は石器時代となった。イネと鉄を象徴として急激な発展を遂げた弥生時代像から、水田と石器に象徴されるゆっくりと進んだ弥生文化像への見直しを目的とする。

共同研究員とテーマとの関係は以下の通りである。

(1) 従来の弥生時代の年代観に基づいていた韓国無文土器時代の年代的見直しと波及する問題(李)。

(2) 水田稲作開始後、600年たたないと普及しない鉄器(野島)。石器時代が600年続いたあと、鉄器時代に入る。鉄の普及を前提とした弥生社会発展図式の見直し。

(3) 食料の獲得と生産。水田中心史観と畑作との混合史観(安藤)

(4) 弥生時代の存続幅が倍になっても遺跡の数や遺構の数は変わらないので、一時期あたりの人口が減ることになる。人口が減った弥生社会像の再構築(松木)。

(5) 前8世紀までさかのぼった弥生青銅器の起源と儀礼・権力(小林・吉田)

(6) 本州・四国・九州など日本列島の中の地域における縄文文化と弥生文化の700年間にわたる異文化併存の意味と世界史的位置づけ(設楽)

(7) 弥生文化の周辺。前4~前1世紀のわずか300年しか水田稲作をおこなわなかった東北北部の文化的位置づけ(高瀬)

(8) 楽浪郡の設置に伴う中原文化との接触が倭人社会にもたらしたもの(上野)

以上の項目を再検討することによって、新しい弥生時代像を再構築する。

(9) 定型化した前方後円墳の成立年代(岸本) 土壌中の微粒炭素を用いた縄文・弥生時代の植生史(小椋)