基幹研究

新しい古代像樹立のための総合的研究

(総括研究代表者 本館 考古研究系・教授 藤尾慎一郎)

【広領域歴史創成研究】新しい古代国家像のための基礎的研究

研究期間:平成21年度~平成23年度

研究代表者 広瀬 和雄 (本館・研究部)
研究組織 安里 進 (沖縄県立芸術大学)
藤沢 敦 (東北大学)
鈴木 一有 (浜松市生活文化部)
太田 博之 (本庄市教育委員会)
菱田 哲郎 (京都府立大学)
山中 章 (三重大学)
亀田 修一 (岡山理科大学)
渡辺 信一郎 (京都府立大学)
田中 俊明 (滋賀県立大学)
大平 聡 (宮城学院女子大学)
熊谷 公男 (東北学院大学)
荒木 敏夫 (専修大学)
吉川 真司 (京都大学)
平川 南 (本館・館長)
藤尾 慎一郎 (本館・研究部 )
仁藤 敦史 (本館・研究部)
坂本 稔 (本館・研究部)
林部 均 (本館・研究部)
高田貫太(本館・研究部)

研究目的

国立歴史民俗博物館が進めてきた炭素14年代測定法で得られた新しい実年代は、弥生・古墳時代の通説・定説に大幅な見直しを迫っている。また、環境変化にたいする人間対応の見直しや、国家と民族の再考など、歴史学研究をとりまく情況は、近年大きく変貌している。しかしながら、そうした情勢に対応した研究が十分になされてきたかというと、そうとも言い難い現状が横たわっている。

いっぽう、1970年代以降の「記録保存」のための発掘調査(緊急調査、行政発掘とよばれてきた)などで、膨大な考古資料や木簡や漆紙文書などの文字史料などが滞留しているし、研究者の増加によって個人では把握しがたいほどの個別論文も発表されている。また昨今、各所ですすめられてきたCOE研究などでも、つぎつぎと膨大な研究成果が蓄積されだしている。

ところが、それらの多くは、分析的な研究が主流を占めていて、多岐におよぶテーマがなかなか総合化されにくいという研究現状をも生みだしているようにも見える。いま要請されているのは、そうした現況を打破するための、長期的な視野に立った総合的な共同研究―文献史学・考古学・民俗学などの学際研究―である。

上記のような研究情況に鑑み、国内・外の研究ネットワークを確立し、研究者コミュニティをリードしてきた歴博こそが、古代史像の再構築をめざした総合的な研究を推進しなければならない。なぜならば、歴博は<日本の歴史と文化を明らかにする>ために設立された国内唯一の研究機構だからである。

そこで、「古代史再構築のための総合的研究」Ⅰでは、古墳時代から律令国家への転換期である7世紀を中心にしながら、6~8世紀ごろまでを対象にして、「古代国家像の再検討」についての共同研究を実施する。古代国家といえば律令国家である、が通説だが、それは本当に自明の理なのか、350年間におよんだ前方後円墳の時代は、果たして律令国家の形成過程であったのか、古墳時代の内的な要因で律令国家は成立したのか、東アジアの動向はどのような契機を占めたのか、北東北や九州や南島の「国境」では何があったのか等々、既往の通説の問い直しもふくめた共同研究を実施する。

なお、そのような共同研究と平行して、弥生時代にひきつづいて3~10世紀ごろの炭素14年代測定も実施する。