基幹研究

民俗表象の形成に関する総合的研究

(総括研究代表者 本館 民俗研究系・准教授 小池淳一)

自然と技の生活誌

研究期間:平成20年度~平成22年度

研究代表者 安室 知 (神奈川大学経済学部)
研究組織 高橋 美貴 (東京農工大学大学院)
中西 僚太郎 (筑波大学大学院)
池田 哲夫 (新潟大学)
川島 秀一 (リアス・アーク美術館)
田口 洋美 (東北芸術工科大学)
中井 精一 (富山大学)
山本 志乃 (旅の文化研究所)
山下 裕作 (熊本大学大学院)
篠原 徹 (琵琶湖博物館)
常光 徹 (本館・研究部)
小池 淳一 (本館・研究部)
内田 順子 (本館・研究部)
西谷 大 (本館・研究部)
松田 睦彦 (本館・研究部)
吉村 郊子 (本館・研究部)

研究目的

ヒトは「生きていく方法」として、直接的であれ間接的であれ、自然と対峙し、その関係性のなかで生業を営んできた。この自然とヒトの自然利用を媒介するのが技術ということになるが、その基盤をなすのは豊に蓄積された自然をめぐる民俗知識である。
本研究において第一に着目する点は、列島における生業の技術である。生業の技術とは、道具(機械)と身体的技能および生態的技能の総和であるという観点から、とくに身体的技能と生態的技能に焦点をあわせて、民俗知識(自然知・暗黙知)の総体とその構造を明らかにしたい。

また、生業として取り上げる対象は農業、漁業、林業、狩猟採集、都市型生業および交通・交易など多岐におよぶが、生業の技術に支えられる生活を、生業複合という高次の技術段階から列島の生業文化を捉えなおすことが、第二の着目点となる。

一般にヒトの生活は進化史的な理解をされてきたが、それは技術のうち道具(機械)の発達に注目した観点であり、実態は道具の進歩と身体的技能および生態的技能は反比例の関係にあるのではないかというのが、本研究の基本的なアイディアである。たとえば、近世農書や現在の生業技術からうかがうことのできる近世の生業は、身体的技能や生態的技能は、工業技術化の進んだ現代農業より高いレベルにあった可能性もある。したがって、生業技術の変遷として、近世末・昭和初期・現代に時間軸を設定して技術の連続性と非連続性を明らかにする。これが第三の着目点である。

そして「生きていく方法」としての生業活動を突き動かすのは、ヒトの生活を包含する社会性である。従来、ヒトの生業活動における社会的な側面はあまり重視されてこなかった。生産の場である農地や海面などの所有関係には生業活動との関連でとくに注目したい。つまり親族構造や社会関係などを技術の社会知としてとらえ、それらの運用が技術の効率にどのように関連するかを第四の着目点としたい。

以上の研究を通して新たな生活環境史の構築を構想する。そして、それをもって、総合展示第4室(民俗)リニューアルにおける「生活世界における生業と技術」の展示研究および展示資料収集を推進することを本研究の主な目的であり成果としたい。