基盤研究

科学的資料分析研究

歴史資料に対する自然科学的調査法の開発と適用に関する研究

研究期間:平成19年度~平成21年度

研究代表者 齋藤 努 (本館・研究部)
研究組織 土生田 純之 (専修大学)
原田 一敏 (東京国立博物館)
亀田 修一 (岡山理科大学)
高塚 秀治 (学識経験者)
安達 文夫 (本館・研究部)
永嶋 正春 (本館・研究部)
坂本 稔 (本館・研究部)
鈴木 卓治 (本館・研究部)
宮田 公佳 (本館・研究部)
小瀬戸 恵美 (本館・研究部)
杉山 晋作 (本館・研究部)
藤尾 慎一郎 (本館・研究部)
村木 二郎 (本館・研究部)

研究目的

様々な歴史資料の材質や産地・年代を明らかにする方法として、これまで行われてきた化学分析のほかに画像分析を加えて研究を行う。研究の蓄積のある金属技術資料を中心とし、画像分析による材質判定の開発研究を試行するのに適した関連資料についても対象とし、工芸技術全般の解明をめざす。化学分析については、組成分析、鉛同位体比法による原料産地推定、金属組織による材質調査、年代測定などを主に行う。画像分析については、光源・撮影状態による材質の判定分析、各部の形状の自動判断による分類、表面状態の判別、分光反射率や可視蛍光反応などの手法を用いた立体物の評価について、分析方法の開発とその有効性を検討する。対象資料は館蔵資料を中心とし、必要に応じて他機関の資料を扱う。上記の研究組織は中心となる者であり、個々の資料調査の際には関係する館内外の研究者に適宜協力を仰ぐ。主要な対象資料は下記の通りである。

1.【弥生~古墳時代の鉄製品・青銅製品の年代と産地】

特に朝鮮半島との関連性をさぐることに重点をおいて研究を行う。国内出土資料を主要な対象とするが、研究の進展に応じ国外資料の調査も視野に入れておく。鉛同位体比法を用いた原料産地推定や金属組織などによる材質調査のほか、資料画像に基づく形状の数値化判定、材質の画像分析の手法について検討する。

2.【製錬開始時期関係資料の材質と年代】

日本で金属製錬が開始された初期の資料を中心に、同時代の関連資料として仏教関係資料(仏像仏具など青銅および金銅製品・塑像・梵鐘・経筒・面・絵馬・布製品など)を対象とする。

3.【中世~近世の美術工芸品・武器類】

錦絵や屏風などの美術資料について、染料と顔料の判別など、画像分析と化学分析の整合性をめざす。布製品については表面状態と織り方についての関連性をさぐる。また鉄炮の運用・製作技術と各部形状に基づく流派判定の自動化に関する研究については、平成18年度までの基盤研究でデータの蓄積法に関する予備的調査がようやくすんだ段階なので、本研究ではさらにその総合化と実用化をめざした研究を進める。

研究会開催予定-歴史資料に対する自然科学的調査法の開発と適用に関する研究

日程:2009年8月28日(金)(※一般非公開)
場所:国立歴史民俗博物館

備考

谷口陽子   「シンクロトロン放射光を用いたXRD/XRF同時測定とμFTIRイメージ
      ング:バーミヤーン壁画の事例から」
齋藤 努   「刀剣素材を作るための卸金と折り返し鍛錬における温度条件」