基盤研究

高度歴史情報化研究

ニュース映画の研究資源化ならびに活用方法の確立に関する研究

研究期間:平成19年度~平成21年度

研究代表者 原山 浩介 (本館・研究部)
研究組織 上田 学 (早稲田大学坪内博士記念演劇博物館)
植野 真澄 (しょうけい館)
大岡 聡 (日本大学)
加藤 厚子 (映画専門大学院大学)
高嶋 修一 (青山学院大学)
高田 和知 (東京国際大学)
高村 竜平 (秋田大学)
濱崎 好治 (川崎市市民ミュージアム)
身崎 とめ子 (ジェンダー文化研究所)
内田 順子 (本館・研究部)
玉井 哲雄 (本館・研究部)
安田 常雄 (本館・研究部)

研究目的

本研究では、主として終戦から1950年代半ばまでのニュース映画「日本ニュース」をめぐり、その研究資源化と、研究資料としての活用手法の確立、ならびに展示資料としての活用方法の模索を行う。

一般的に、映像に関する「データベース」という言葉から、誰でも自由に映像にアクセスできる状態が即座に想起されることは、想像に難くない。しかしながら、「データベース」をそのような狭い定義に押し込めることは、必ずしも現実的ではなく、また、資料が置かれた実態とも乖離していると考えられる。

本研究で対象となる資料、すなわち占領期以降のニュース映画「日本ニュース」については、そもそもの権利保有者である制作会社が既に消滅しており、現在は映像所有者が利用料金を徴収する形で流通させているのが実態である。またその取り扱いについては、テレビ局等における利用のための、営利水準での価格設定が、映像保有者によってなされているのみで、研究・教育目的の利用に供する枠組みは確立していない。しかも、その価格設定でニュース映画を借用する際に依拠するデータベースは、現段階では用意されていない。

この現実は、即座に映像の自由な閲覧が可能なデータベースの構築を目指す環境にはないことを意味すると同時に、例え高額な借用料・使用料の支払いを許容する場合であっても内容の検索がほぼ不可能であること、つまりはニュース映画が歴史資料としてほとんど機能していないことを意味する。 以上の状況に鑑み、本研究では、ニュース映画を、歴史研究のための研究資源というところまで引き上げることを目的としている。その際、データベースについては、ひとまず映像視聴とは分離した形で整備することとする。そしてその上で、研究・教育目的によるニュース映画の自由な視聴環境を作り出すこと、すなわち映像と併せたデータベースの公開も、一つの理想型として視野に入れることとする。

なお、最も理想的な形でのデータベース公開の実現のためには、研究・法的問題の整理・映像所有者との交渉のそれぞれが、同時に進められる必要がある。

これは、次の理由による。ニュース映画をめぐり、そもそも商業ベースの映像資源としての利用枠組みしか用意されていないなかで、研究・教育目的の自由度の高い閲覧を実現するためには、ニュース映画を研究資料として明確に位置づける、研究活動ならびにその成果がバックボーンになければならない。さらに、そもそも著作権・肖像権等をめぐる法解釈が、現実には判例や法の具体的な運用を通じて定着していくこと、すなわち単なる厳格な法の適用だけで決まるものではないことに鑑みれば、法的問題の解決のみが先行して実現することは想定できない。つまり、研究活動とその成果をバックボーンにしつつ、一定の指向性の下で法的問題の整理しながら、具体的な交渉を進める以外には方法がないということになる。

映像所有者との具体的な交渉については、本共同研究においてではなく、歴博として進められる必要がある。これは、決して本共同研究のために歴博が動く、ということを意味しない。むしろ、交渉は既に、第6室リニューアルを通じて、ニュース映画の活用がひとつの課題となった結果として、進められようとしている。この限りにおいていえば、本共同研究は、歴博の現在の動きを下支えするものとして位置づけることが出来る。

以上の諸点を踏まえ、本研究では大きく以下の4点に分節化し、研究活動を進める。