個別共同研究

身体と人格をめぐる言説と実践

研究期間:平成18年度~平成20年度

研究代表者 山田慎也 (本館・研究部)
研究組織 池上良正 (駒澤大学)
谷川章雄 (早稲田大学)
出口顕 (島根大学)
田原範子 (四天王寺国際仏教大学)
梅屋潔 (東北学院大学)
村上興匡 (大正大学)
土居浩 (ものつくり大学)
金菱清 (東北学院大学)
浮ヶ谷幸代 (千葉大学)
川添裕子 (千葉大学)
長沢利明 (法政大学)
宮下克也 (北里大学)
田中藤司 (成城大学民俗学研究所)
木下光生 (神戸女子大学)
小池淳一 (本館・研究部)
岩淵令治 (本館・研究部)
内田順子 (本館・研究部)
上野祥史 (本館・研究部)

研究目的

ひとの人格について様々な言説や実践を取り上げ、従来あまり注目されなかった身体性について分析し、近代化過程における歴史的変遷と民俗的多様性について、民俗調査、文書や絵画資料などに基づいて検討を行う。

ひとは社会的存在であり、その人格は身体を通して表出され、他者から把握されている。つまり、身体は物質的存在でありながら、物質として還元することはできず、人格との分離は容易ではない。特に近年、生命工学の発達によって、臓器移植やヒト胚性幹細胞の培養など、身体の物質的操作が行われるようになり、その倫理性も問われるようになっている。こうしたことが社会的に問題になるのも、身体が人格を帯びた存在であり、ひととしての根幹的な問題に通じるからである。

一方で、身体と人格をめぐる問題は現代医療の分野だけでなく、従来から生活の過程の中で生じている。誕生や死、憑依現象などがそうした例としてあげられる。それは従来、霊魂と肉体という関係で捉えられる場合も多かった。しかし霊魂は、実際の語りや表象の場面では、身体性を帯びて表されることが多く、その関係を切り離すことは難しい。さらに、現代社会において、霊魂への信念が希薄になってきており、霊魂観として現代的な事象を把握することは困難である。しかし例えば、誕生や死の場面において、人格として捉え直すことで、現代における生者と死者の関係を理解することが可能となるなど、従来の研究の蓄積を生かして、現代との連関を検討することが可能となる。

本研究では、それぞれ別個に取り上げられてきたこうした問題系を、生活過程における人格をふまえた身体イメージに焦点を当てて捉え直し、現代医療、シャーマニズム、生命観を中心に民俗学、歴史学、文化人類学社会学など関連諸科学の中で総合的に議論していきたい。なお,この共同研究は総合誌『歴博』特集「身体のイメージ」の企画を代表者が担当する中で具体化し計画された。