基盤研究(予備研究)

東アジア比較建築文化史―日本・韓国・中国、周辺地域―
(―研究方法の再検討、そして日本建築史の再構築―)

研究期間:平成19年度~平成20年度

研究代表者 玉井哲雄 (本館・研究部)
研究組織 川本重雄(京都女子大学家政学部)
小泉和子(京都女子大学家政学部)
藤井恵介(東京大学工学部)
田中淡(京都大学人文科学研究所)
黄蘭翔(台湾中央研究院台湾史研究所)
太田省一(東京大学生産技術研究所)
金東旭(韓国京畿大学校建築学部)
布野修司(滋賀県立大学工学部)
仁藤敦史 (本館・研究部)
小島道裕(本館・研究部)
岩淵令治(本館・研究部)
小野正敏(本館・研究部)

研究目的

日本建築史学は明治以来、工学部建築学科に置かれ、実際の建築を作る工学技術の一環としての建築学の一部として扱われてきた。また、建築を文化財として評価し、その維持修理のための技術を研究し、技術者を養成することも行ってきた。また、いわゆる技術論とも密接に関係する技術史の中に建築史学を位置づける考え方もありうるかもしれない。一方、技術にこだわらず広く文化としての建築を見る立場からは、人間を扱う広い意味での歴史学の一分野として考えることがあり、この場合は建築を成立させている社会的・経済的な背景に関心が向かうことになる。ここでは、建築史学を広い意味での歴史学の中に位置づける立場から、日本建築史の再構築を目指している。

そのためには、一つは、日本建築の歴史を日本列島内で完結したものと見なす一国建築史から脱却して、広く東アジアにおける日本建築を考える必要がある。今まで十分に行われてこなかった韓国・中国などとの間での比較研究を進め、この作業を通して身近にある寺院・神社、城郭・民家などの実際の建物を通して東アジア、さらには広く世界を意識できるようになることを目指したい。

もう一つは、建築を理解するための建築遺構そのもの、記録した文書、描いた絵画、土地に残した痕跡である考古学発掘遺構などを積極的に用いる研究方法を明確に示す必要があり、これも日本歴史の枠内ではなく、少なくとも東アジアの世界で実現したい。

なお、現代の地球上を支配している近代(建築史)の問題はまさに現代的な課題であり、視野に入れておかなければならないが、ここでは近代の前提となる問題を取り上げるのであって、ここでは直接的なテーマとしない。東アジア近代建築史の比較は既に様々な場で行われている。

また建築史学の周辺分野で民俗学研究者による民俗建築学、そして実際に使われている建築を研究対象とする民族建築学とは立場が異なって、あくまで建築を史料とする歴史学ということを強調しておきたい。