基盤研究

高度歴史情報化研究

紀州徳川家伝来楽器コレクションの研究

研究期間:平成18年度~平成20年度

研究代表者 高桑いづみ(東京文化財研究所)
研究組織 野川美穂子 (東京芸術大学)
薦田治子 (武蔵野音楽大学)
高橋美都 (同志社大学)
遠藤徹 (東京学芸大学)
清水淑子 (学識経験者)
中里壽克 (学識経験者)
能代修一(森林総合研究所)
小代渉 (株式会社柏書房)
水野僚子 (共立女子大学)
日高薫 (本館・研究部)
内田順子 (本館・研究部)
永嶋正春 (本館・研究部)
久留島浩 (本館・研究部)
宮田公佳 (本館・研究部)

研究目的

本研究は、本館が所蔵する紀州徳川家伝来楽器コレクションを対象とし、音楽史、楽器史のみならず、美術史学、文献史学、自然科学など、多角的な視点からの資料研究をおこなうものである。対象となる資料に関しては、2003年度の資料図録の刊行、2004年度のDB公開によって、すでに基礎的な資料情報が整備されている。続く2005年夏に特別企画を開催したことにより、関係分野の研究者の関心も高まり、調査依頼や、より詳細な情報提供等、外部からの要請も高い。このような意味で、本コレクションに関する共同研究の発足は、時宜を得ているといえるだろう。

今回の研究計画における主たる目的としては、以下の2点を設定する。

1)複合的視点からの楽器調査

本コレクションの特徴のひとつに、楽器に付属する文書資料に恵まれていることがあげられる。付属文書を読み込むことにより、楽器コレクションが形成された経緯がより明確となり、また当時の文化状況を読みとることも可能である。しかし、記された楽器の来歴や鑑定に関わる内容が事実であるかどうかについては、文献資料からの検討や、外見上の詳細な調査観察に加え、楽器内部の撮影や、使用されている素材の特定などの科学的調査が必要となる。本研究では、今後の楽器調査に求められる科学的調査方法の検討も合わせて行いたい。

2)楽譜類の研究

本コレクションは多くの楽譜類を含んでいるが、これらに関する基礎的な研究はおこなわれていない。 コレクション中の30件の楽譜を、他の伝本と比較研究して、本コレクションの伝承の系譜を明らかにする。

本研究においては、楽器コレクション研究の問題点を明確にし、将来の発展的研究の基礎を築くことを当面の目標とする。自然科学的手法による調査については、楽器のコンディションを確認しながら、調査方法を検討し、今後の可能性を探る。