個別共同研究

人文・自然景観の開発・保全と文化資源化に関する研究

研究期間:平成17年度~平成19年度

研究代表者 青木隆浩(本館・研究部)
研究組織 青木賢人(金沢大学文学部)
岩佐賢史(神奈川大学附属高等学校)
香川雄一(滋賀県立大学環境科学部)
川合泰代(明治学院大学教養教育センター)
神田孝治(鈴鹿国際大学国際学部)
木村周平 (淑徳大学国際コミュニケーション学部)
才津祐美子(福岡工業大学社会環境学部)
竹中宏子 (早稲田大学人間科学学術院)
中井達郎(国士舘大学文学部)
長尾朋子(東京女学館)
永迫俊郎(日本大学文理学部)
廣内大助(愛知工業大学大学院)
松多信尚(台湾大学地質科学系)
皆川義孝(駒澤大学禅文化歴史博物館)
室伏多門(財団法人日本システム開発研究所)
安室知(本館・研究部)

研究目的

自然認識が文化的なものであり、一見すると客観的な立場をとっている自然科学もそこから逃れられていないことが明らかにされてすでに久しい。そこには、もともと極端な開発主義に対する批判の意味が含まれていたはずである。ところが,近年ではこの主張を逆手に取り、人間の関与した「自然」や大規模な土木構築物を文化や遺産として位置づける風潮が高まっている。例えば、棚田や自然遺産の登録などは自然の文化資源化であり、発電所やダムなどの建築物を近代化遺産として保護しようとする動きには、それまで負の産物とみなされていたものを「文化」という付加価値をつけることによって正当化する意味が含まれている。

また、近年の災害対策やレッドデータブックの発行を典型とする自然管理の強化においても、文化主義の影響が見られる。例えば、砂防ダムは人間生活に融合させるという名目で文化施設化され、希少な生物や地形・湖沼は曖昧な価値付けをされて保全・管理されている。そして、それらは行政や自然科学者により、しばしば文化資源ないし観光資源として位置づけられている。

たしかに自然を人間の手で守りたいという願いや、さまざまな開発行為の歴史が人間生活を豊かにしてきたという事実は否定できないが、一方で従来近代合理主義に基づいていたはずの「自然」と「開発」に対する認識が文化主義の考え方を吸収し、それらの存在意義を曖昧にしつつ肥大化させている現状には疑問が残る。そこで、本研究会では開発と保全の歴史に関する自然科学的、社会科学的な調査報告と、それらに対する意識の変化についての人文学的な調査報告を交え、「自然」と「環境」の文化資源化が発生した歴史的背景とそこに含まれる意義ないし問題点を明らかにしていきたい。