忘れられた東アジアの古代塗料「金漆」の復元研究

科研費研究

挑戦的研究(萌芽)

忘れられた東アジアの古代塗料「金漆」の復元研究

研究代表者 小倉 慈司(本館・研究部)
研究分担者 能城 修一(明治大学)
本多 貴之(明治大学)
稲田 奈津子(東京大学)

研究目的

本研究は、古代東アジアにおいて注目されていた樹脂塗料「金漆」の復元を試みるものである。金漆は紫外線にて硬化する塗料であり、中国の台州、朝鮮半島西南部、日本の九州地方の特産品であって、武具や神社の神宝を始めとした金属製品・木製品・革製品に塗布され、光り輝かせるほか、錆止めの効果も持っていた。しかし13世紀後半には生産されなくなり、中国・朝鮮半島でもその技術が途絶えてしまっている。

この金漆は、近年、カクレミノの樹液である可能性の高いことが明らかになった。しかしまだ数多くの謎が残されている。本研究では九州地方のカクレミノ・コシアブラ・タカノツメ群生地を調査、樹液採取して分析し、それぞれの樹脂の性質・特徴を明らかにするとともに、九州の金漆産地としての特性を解明し、かつどのようにして塗布されたのかという問題を検討する。将来的には工芸品・出土品調査への応用や、海外調査にもつなげていきたい。