第97号 1999年11月20日発行

題字解説

  • 特集:くらしの歴史学 仕事と家庭
  • 連載「歴史の証人-写真による収蔵品紹介-」
    或る噺家の蒐集

表紙解説

二十四時家庭双六と暮らしの道具(本館蔵)

上:二十四時家庭双六
下:手回式洗濯機と洗濯板

上:明治期の輸入ミシン
下:昭和30年日立製

冒頭に掲げた「二十四時家庭双六」は明治45(1910)年の雑誌『婦人世界』付録である.遊びを通して,女性の「あるべき姿」を教え込もうという意図もあったとみられる.
明治以降,暮らしのなかの道具には西洋の影響のもと,常に改良が加えられてきた.ミシンは明治期には輸入が開始されたが,一般にはなかなか普及しなかったようである.
暮らしの道具の変化が最も激しかったのは,いうまでもなく高度成長期であろう.1955年から60年頃,ラジオからテレビへ,洗濯板から電気洗濯機へと,電化製品が国民生活を変えていった.
その洗濯板であるが,ここでは手回しの洗濯機とならべてみた.手回しの洗濯機の製造時期はわからないが「KAGOME MAGIC HOME WASHER」の銘がある.おそらく一般にはさほど普及しなかったのだろう.これで汚れがおちるのかどうかも,実際につかってみるわけにもいかないからわからない.だがこうした道具に,「みんなの暮らしをよくしよう」という過去の人々の飽くなき努力をよみとることはできる.博物館がいわゆる名品ばかりでなく,このような無名の道具たちをも収集していくのは,まさにそうした理由による.

(本館歴史研究部・一ノ瀬俊也)


目次

巻頭エッセイ 博物館へ行こう!

実物にさわってイマジネーションの領域へ / 宮崎 幹也

歴史の証人 写真による収蔵品紹介

或る噺家の蒐集

[特集] くらしの歴史学 恋愛と性

  • 日本古代の「家事」 / 勝浦 令子
  • アゼ豆と女性 -家計維持に見る主婦の役割- / 安室 知
  • 戦時中の戦没者遺族 / 一ノ瀬 俊也
  • [コラム] 仕事と家庭 -一二〇〇年前の休暇届- / 平川 南
  • [コラム] 単身赴任 -家族一所を想う- / 高桑 守史

歴博対談 第27回

広がる国立博物館の活動と役割 / [石毛 直道+佐原 真]

書評

高橋 敏 著 『近代史のなかの教育』
「学校」はどこから来たのか? / 評者 岡崎 勝

展示批評

くらしの植物苑 特別企画「伝統の朝顔」
伝統の朝顔展を見て / 評者 遊川 知久

地球時代の日本研究 第16回

国際化する考古学 / マーク・E・ホール

[歴博けんきゅう便] 第2回

『大柳生民俗誌』 / 関沢 まゆみ

考古学資料の情報集成的研究

板碑データの集成 / 小野 正敏

歴博かわら版