第86号 1998年1月20日発行

題字解説

  • [特集 くらしの歴史学] 福
  • 連載 歴史の証人 写真による〈館蔵資料紹介〉

表紙解説

館蔵染織資料にみる吉祥文様

(1)紅綸子地桐鳳凰模様絞縫振袖
(2)白絖地松竹梅鶴亀寿字模様染縫小袖

(3)縮緬縫合流水梅樹縄暖簾模様心葉形筥迫
(4)紅綾地流水葵蝶模様懐紙入
(5)金糸綴織翁模様紙入

江戸は文様が隆盛した時代。人びとはさまざまな吉祥の文様で生活を彩り、少しでも「福」を身近に置こうと努めた。なかでも身体に接する衣服や筥迫の類は、吉祥の文様がもっとも好まれた場所であった。たとえば,瑞鳥である鳳凰と桐は、高貴なイメージの象徴として定番的な組み合わせであった。松竹梅は冬の寒さに耐える三種の植物「歳寒三友」で、いわずとしれた吉祥モチーフの代表格。さらに松竹梅それぞれに吉祥の意味合いをもち,単独でも濃厚な「福」の趣を演出してくれるモチーフでもあった。また,翁面に面箱、烏帽子の図様は、祝賀の能である「翁」にちなんだ凝った意匠である。わが国の文様をみると、そのほとんどに吉祥の意味合いが付与されており、その豊かさに驚かされる。

目次

巻頭エッセイ わたしのつくってみたい博物館

民俗芸能のクロスロード椎葉 / 永松 敦

歴史の証人 写真による〈館蔵資料紹介〉

[特集 くらしの歴史学] 福

  • 出世双六にみる「福」 / 岩城紀子
  • 七福神信仰と「宝船」 / 松崎憲三
  • 「ユー」と他界 / 比嘉政夫
  • [コラム] 寅さんはマレビトか / 新谷尚紀
  • [コラム] 祥瑞と改元 / 仁藤敦史

歴博対談 第16回

福を求める時代 / 岩井宏實+佐原 真

書評

橋本裕之著『王の舞の民俗学的研究』 / 福島 真人

展示批評

企画展示 「古代の碑」
碑林を歩く / 新川 登亀男

地球時代の日本研究 第5回

日本研究と朝鮮研究の間 / 李 成市

よみがえる風景(9)

くらしの植物苑 / 渡辺 重吉郎

歴博かわら版