第122号 2004年1月20日発行
- 特集:胎動する歴史学 「南蛮」
- 連載「歴史の証人-写真による収蔵品紹介-」
「南蛮人来朝図屏風」
表紙解説
南蛮人来朝図屏風/花樹鳳凰蒔絵螺鈿洋櫃(本館蔵)
南蛮船の来航をにぎやかに描いた屏風には、異国の船から積み降ろされるたくさんの荷物と、それら珍しい品々を手に行列する南蛮人の一行が描かれる。異文化の出会いには摩擦や衝突がつきものであるが、金雲まばゆいばかりに荘厳された極彩色の屏風には、そうした暗さは微塵も感じられず、遠来の珍客を迎える喜びが満ちあふれている。帰りの船に積まれたであろう日本製の輸出漆器も、螺鈿と金蒔絵の輝きで西洋人を魅了した。お互いがとらえた異国像は、決してそれぞれの真の姿を正確に映していたわけではない。人々は垣間見る異国の文化にユートピアとしての意味を求め、交易による物質的充足がそれを代弁した。航海から得られる恵みの前には、さまざまな困苦などものの数ではなかったのである。
目次
巻頭エッセイ 11
[特集]胎動する歴史学 「南蛮」
「昔より異風なるものを南蛮と云」(『嬉遊笑覧』) / 日高 薫
歴史の証人 写真による収蔵品紹介
[特集]胎動する歴史学 「南蛮」
- 救世主の面影-南蛮屏風の中のキリスト教図像- / 岡 泰正
- 「マリア十五玄義図」を通して見えた絵画技術の移転と定着 / 神庭 信幸
- 大航海の恵み-漆器輸出と美術交流- / 日高 薫
- [コラム] 出土したキリシタン遺物(メダイ) / 後藤 晃一
- [コラム] 都市祭礼と「異邦人」-異文化表象研究の視点から- / 久留島 浩
歴博対談 第46回
「南蛮」研究の魅力と醍醐味 / 〔坂本 満×日高 薫〕
歴史への招待状
開館20周年記念展示
民衆文化とつくられたヒーローたち-アウトローの幕末維新史 / 高橋 敏
国立歴史民俗博物館 研究報告第104集
『室町期荘園制の研究』 / 高橋 敏子
自著紹介
国立歴史民俗博物館 編
歴博フォーラム『社寺絵図を読み解く 神と仏のいる風景』
関沢まゆみ 著 臨川選書22『隠居と定年 老いの民俗学的考察』
展示批評
特別企画 「歴史を探るサイエンス」
これからの歴博を探る展示 / 三浦 定俊