第110号 2002年1月20日発行
- 特集:境界を越える歴史学 江戸の道楽
- 連載「歴史の証人-写真による収蔵品紹介-」
「紀年銘陶磁器コレクション」
表紙解説
白絖地梅樹下草模様描絵小袖(本館蔵)
野村正治郎(1879~1943)は国際的美術商として活躍したが、商売のかたわら近世の小袖資料の収集にも没頭した。彼はやがてその研究にものめり込み、本業の利益の大半をつぎ込んだその収集・研究活動は「珍道楽」とまで評されたが、染織史研究を美術史学のなかに位置づけた功績は大きい。野村の小袖コレクションの多くは現在当館が所蔵しているが、本小袖もそのなかの1点。江戸琳派の大成者酒井抱一により描かれたもので、抱一もまた姫路藩主酒井家の出ながら、生涯を風雅の道に送った「道楽者」であった。
目次
巻頭エッセイ 博物館へ行こう!
テーマは「お金」-ふくろうが結ぶ紀元前5世紀と21世紀 / 関口 かをり
歴史の証人 写真による収蔵品紹介
[特集] 境界を越える歴史学 江戸の道楽
- 遊芸二代 -わが村に名所ありき- / 岩橋 清美
- 大原幽学先生の江戸 / 高橋 敏
- 浮世絵を描く武士たち / 大久保 純一
- [コラム] 鶯の啼き合わせの会 / 平野 恵
- [コラム] 究極の道楽者 / 岩淵 令治
歴博対談 第40回
21世紀の博物館と考古学への提言 / [佐原 真+宇野 隆夫]
歴史けんきゅう便 第9回
情報技術を利用した歴史資料の閲覧システム / 安達 文夫
自著紹介
国立歴史民俗博物館 編 『もうひとつの世界 -妖怪・あの世・占い-』
書評
篠原徹 編 『近代日本の他者像と自画像』 / 南 根祐
展示批評
[企画展示] 「なにが分かるか、社寺境内図」
展示の解説に「読み解き」の反映を! / 大矢 邦宣