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開催概要

平成16年度企画展示 「東アジア中世海道-海商・港・沈没船-」
開催期間2005年3月23日(水)~5月22日(日)
開催期間・会場 2005年3月23日(水)~5月22日(日) 国立歴史民俗博物館
2005年7月6日(水)~9月5日(月) 大阪歴史博物館
2005年9月17日(土)~11月27日(日) 山口県立萩美術館・浦上記念館
主催 国立歴史民俗博物館,毎日新聞社
共催 大阪歴史博物館,山口県立萩美術館・浦上記念館
後援 文化庁,駐日韓国大使館 韓国文化院
協力 JAL,社団法人東京倶楽部助成事業

東アジア中世海道 アジアのきらめき

アジアの海は古くより地域と地域を結びつけ、人、もの、文化、技術などの相互交流の場として、歴史の揺籃となり、時代の変革の原動力となりました。この 展示では、12世紀から16世紀の東アジアの海を舞台に、中国・朝鮮・日本・琉球などの国や地域、人々が相互に影響を与えながら育んだ、交流の歴史と文化 の煌めきを、考古、文献、美術、民俗資料など、多様な資料を通して描き出します。
中国における宋という国家の出現を前後して、地域と地域の多様な結びつきが生まれ始め、東アジア大航海時代とでも言うべき、新たな交流の時代が到来しま す。海を介したこの交流は、中華的世界観を前提として国と国が結びつくだけでなく、国境や国籍を意識せず海を共通の世界とした海商達の活動を通じて、大い に賑わいました。この時代こそ、海の交流を礎として、アジアが最も煌いた時代といえるでしょう。16世紀以降は、アジアとヨーロッパの出会いにより、交流 や人々の世界観は地球規模へと変容してゆきます。アジアの海で展開する交流も、次第に国の枠組みに閉じ込めらるようになります。今、世界がグローバリゼー ションの波に覆われようとしているこの時代、国境や国の集合とは異なる地縁的世界を実現した中世の東アジア海域を見つめ直し、アジアを考える視点を提示し たいと思います。

韓国・新安沈没船資料-東アジアの沈没船・引揚資料

東アジアの海を行き来した貿易船の様子を今に伝える沈没船資料。この展示では、1323年に中国を出港し日本へ向かう途中、朝鮮半島付近で沈没した新安 沈没船資料を展示します。この船からは、天目茶碗や砧手の青磁をはじめとする2万点近くの陶磁器が確認されています。この他にも、莞島沈没船資料、道里浦 引揚資料、飛雁島引揚資料など、近年韓国において発見された沈没船・引揚資料を展示します。高麗青磁の優品をはじめとするこれらの新発見の資料は、日本初 公開の貴重な資料です。
日本国内の沈没船・引揚資料をふくめ、12世紀から15世紀にかけて東アジアの国際・国内航路を往来した沈没船・引揚資料がこれほど多く集まるのは、は じめてのことです。

中世港町と唐物荘厳

この展示では、東アジアに向けて開かれた各地の港町に光をあて、貿易や交流の実態に迫ります。その一つ、堺のコーナーでは、茶の湯として用いられた陶磁 器や南蛮人来朝図屏風などを展示します。このように絵画資料と陶磁器などを組み合わせて、各港町を立体的に描き出します。また、日本へもたらされた唐物 (舶来品)がどのような意味を持ち、どう使われたのかについて、当時の様子を伝える絵図と今に伝世された貴重な資料を用いて展示します。唐物荘厳として、 武家世界であらたな伝統が創出された様子に迫ります。

ご利用案内

会場:千葉県佐倉市城内町117
国立歴史民俗博物館 企画展示第1室~第3室
tel:043-486-0123(代表)
ハローダイヤル 03-5777-8600(7:00~23:00 年中無休)
交通手段:(京成電鉄利用) 京成佐倉駅から徒歩約15分(バス便あり)
(JR東日本利用) JR佐倉駅からバス約15分
(自動車利用) 東関東自動車道 四街道ICまたは佐倉ICから約15分
大型駐車場完備(無料)
休館日:毎週月曜日(ただし祝日の場合は翌日が休館)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) 
入館料: 一  般 420円(350円)
高校・大学生 250円(200円)
小・中学生 110円(90円)
*( )内は20名以上の団体料金

● 上記の入館料で常設展もご覧になれます
● 毎週土曜日は、小・中・高校生は、常設展示に関しては入館無料です
● 身体障害者手帳保持者は、手帳掲示により介助者と共に入館無料になります

関連の催し物

中国獅子舞公演

 展示開催中に、横浜中華学院校友会による中国獅子舞の公演がおこなわれます。
 日 時 : 平成17年3月27日(日)、4月10日(日)、4月29日(金・祝)
        11:00~/14:00~ (各日2回公演) 雨天決行
 場 所 : 国立歴史民俗博物館アプローチデッキ

歴博講演会

 4月9日(土)13:30~ 小野正敏「東アジア中世海道-海を渡った人とモノ」

ギャラリートーク

毎週土曜日 14:00~
 3月26日、4月2・9・16・23・30日、5月7・14・21日

広報用素材の提供について

ご希望の写真(紙焼き)を送付いたしますので、各プレスリリースの写真番号をご連絡ください。e-mailでも結構です。問い合わせ先は下記の「このリリースに関するお問い合わせ」をご覧ください。

ご注意

  • 図版の使用は展覧会広報に関するものに限ります。
  • 掲載に際しては、「展覧会名」「会場」「会期」をご紹介いただき、掲載図版のキャプションを明記していただくようお願いします。今回の出品物はすべて当 館所蔵です。
  • ご掲載いただいた場合は、お手数ですが掲載物をご送付ください。

以上の点に留意いただけない場合に発生したトラブルについて、本展主催者として一切の責任を負いかねますのでご注意ください。

沈没船が語る貿易の実像

海底に眠るアジアの煌き

1) 写真の陶磁器類は韓国国立光州博物館

銅銭・香辛料は韓国国立海洋遺物展示館蔵

2) 至大通宝や大銭などの銅銭

3) 青白磁鉄斑文硯滴

4) 桂皮と胡椒

新安沈没船資料

1323年に中国を出港し、日本へ向かう途中、朝鮮半島西南海岸沖で沈没した貿易船から、積荷の天目茶碗、青磁、白磁、青 白磁などの中国製陶磁器が大量に発見されました。本展では、青磁酒海壷、白磁馬上杯など32点の陶磁器と、積荷であった香辛料や、元代の貨幣である「至大 通宝」や大型の大銭などの銅銭を展示する予定です。中世東アジアのタイムカプセルである新安沈没船をさまざまな資料を用いて紹介します。

莞島沈没船資料 

朝鮮半島で生産された陶磁器を輸送中に、西南海岸で沈没したのが莞島沈没船です。積荷は、11世紀後半から12世紀後半頃 の製品と考えられます。注目されるのは、「長鼓」と呼ばれる伝統的な儀礼に用いる楽器が発見されたことです。ここでは、「長鼓」を中心に11点を展示します。

5) 青磁鉄絵牡丹文長鼓

韓国国立海洋遺物展示館蔵

飛雁島引揚資料 

2002年の新発見資料。日本はもとより、韓国でもまだあまり公開されていない重要資料です。12世紀中頃から13世紀前 半頃に朝鮮半島で作られた青磁で、国内航路を航行中沈没した船の積荷と考えられます。なかには、写真にあるような見事な象嵌青磁も含まれます。ここでは、 碗や皿など18点を展示します。

6) 青磁象嵌菊花文合子

韓国国立海洋遺物展示館蔵

この他にも、14世紀後半の日常器を中心とする韓国・道里浦引揚資料を展示します。日本近海の沈没船資料についても、中国陶磁を積荷とし 15世紀後半頃に日本へ向かった和歌山県友ヶ島沈没船資料や中国各地の陶磁器を混載して13世紀前半に日本へ向かったと考えられる奄美大島倉 木崎沈没船資料を展示します。

世界の中の東アジア

日本の眼・アジアの眼

中世と呼ばれるこの時代、海を通じて地域と地域は結ばれていましたが、それぞれの地域の人々が持つ世界観は異なっていたました。それを明確に示してくれ るのが、地図です。ここでは、日本の眼、中国の眼、朝鮮の眼、ヨーロッパの眼を通して、それそれの世界観がどのようであったのかをビジュアル的に描き出し ます。

7) オルテリウスアジア図

国立歴史民俗博物館蔵

港と船,往来する人々

8) 南蛮人来朝図屏風

出光美術館蔵

[出光美術館蔵(歴博会場) 国立歴史民俗博物館蔵(大阪・萩会場)]

絵図とモノが語る港町の景観 
交易で賑わう港町の様子を具体的に伝えてくれるのは、屏風などの絵画資料です。南蛮船の入港で賑わう港町を描 いた南蛮人来朝図屏風や、堺を題材とした住吉祭礼図屏風、琉球の港町を描いた那覇港図などをあげることができます。本展では、博多、堺、対馬、豊後府内、 琉球の港町を取上げますが、こうした絵画資料に陶磁器などの出土資料、文字資料を組み合わせ、アジアに向けて開かれた港の風景を立体的に描きます。いつく かの絵画資料は、自由自在に拡大縮小や移動が可能なタッチパネルでご覧いただけます。

9) 墨書陶磁器

博多出土
福岡市埋蔵文化財センター蔵

10) メダイ

豊後府内遺跡出土
大分県教育委員会蔵

11) 華南三彩鳥形水注・水滴

国立歴史民俗博物館蔵

東アジアを往来した品々
 博多や堺をはじめとする港町では、多くの舶来品が発見されています。博多では中国人名や荷主を記した墨書陶磁器が 大量に出土しています。大中国人街が存在した国際商業都市博多の姿を彷彿とさせます。堺などでは、東アジアだけでなく、東南アジア各地の資料が発見されて います。豊後府内では、南蛮世界(ヨーロッパ人)とのつながりを示すコンタやメダイと呼ばれるキリスト教関係の遺物の発見が続いています。このように、時 代や地域によって、結びつく世界は異なっていました。複雑に結びついた東アジア中世海道の様子を描き出します。

世界を動かす貿易と文化

唐物荘厳の世界

12) 福富草紙絵巻

出光美術館蔵

13) 青磁象嵌菊花文四耳壷

山口県立萩美術館・浦上記念館蔵

14) 澱青釉紅斑文杯

山口県立萩美術館・浦上記念館蔵

15) 堆黒八仙人図食籠

出光美術館蔵

16) 青磁袴腰香炉

国立歴史民俗博物館蔵

描かれた唐物
 海外よりもたらされた舶来品の数々は、やがて広く社会に浸透してゆき、新たな価値が付与されて、伝統を創出してゆきます。憧 れの世界を描いた福富草紙絵巻では、漆器や陶磁器などの舶来品の数々が描かれています。また、座敷飾の作法が図解した君台観左右帳記では、当時の唐物の扱 いや価値を知ることができます。そこに描かれた唐物の一部は、長く現在にまで伝世しています。こうした資料を展示することで、東アジアの交流を通じて創出 された世界-唐物荘厳の世界-を描きます。

17) 青磁瓶

山口県立萩美術館・浦上記念館蔵

18) 君台観左右帳記

国立歴史民俗博物館蔵

19) 宋版後漢書(慶元刊本)

国立歴史民俗博物館 国宝

19)' 宋版後漢書(部分)

もたらされた書と知識
 東アジア中世海道を通じてもたらされたのは、陶磁器や香料などの商品だけではありませんでした。多くの書籍あるいは 仏典なども将来されたのです。宋版『後漢書』(慶元刊本)もこうした典籍の一つです。中国では早くに散逸し現存しない貴重な資料であるとともに、将来され た後、多くの知識人による書き込みがなされ、新たに知識・情報が蓄積されてゆきました。

獅子が語る中華の波及と変容

アジア各地の獅子群像

中華の波及と変容 

東アジアの海の交流を通じて、中国の王権の象徴である龍や獅子のデザインがアジア各地に広まりました。その後、各地で独 自の変化を遂げ、今に伝わっています。
ここでは、特に東アジア各地の獅子舞の歴史資料と民俗例を展示し、今なお輝きを放つ中世東アジアのきらめきを紹介します。
実物の獅子展示だけでなく、獅子舞の実演もおこないます。

20) 獅子

国立民族学博物館蔵

このリリースに関するお問い合わせ

人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 博物館事業課
広報サービス室広報係 後藤・石井

〒285-8502千葉県佐倉市城内町117番地 
TEL 043-486-0123(代)/043-486-6488(直)  FAX 043-486-4482
E-mail:koho@ml.rekihaku.ac.jp