プレスリリース

過去のプレスリリース

武士とはなにか

開催要項

武士とはなにか

結城合戦絵詞 (重要文化財)
(当館蔵)

 

開催期間 2010年10月26日(火)~2010年12月26日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A
料金 一般:830(560)円
高校生・大学生:450(250)円
小・中学生:無料
()内は20名以上の団体 
※総合展示もあわせてご覧になれます。 
※毎週土曜日は高校生は入館無料です。
開館時間 9時30分~16時30分 (入館は16時00分まで)
休館日 11月1・8・15・29日、12月6・13・20日
主催 国立歴史民俗博物館

謹啓 時下益々ご清祥のことと、お慶び申し上げます。平素より、当館の運営等につきましては、格別のご配慮を賜り、厚くお礼申し上げます。

当館では10月26日より、平成22年度企画展示「武士とはなにか」を開催します。武士といえば、現代の日本人はもとより、欧米をはじめとする外国人でさえも、一定のイメージを持っています。とりわけ近年は、国際的に日本を表象する際に「サムライ」の語が多用されています。しかし、武士に関する私たちのイメージは、それ自体が歴史的に作られてきたものです。本企画展示は、そうした武士像の創出過程にも目配りしながら、中世から近世を通して武士の多様性や社会的機能の変化をさまざまなモノ資料を駆使して、武士という歴史的存在を相対的にとらえようとする試みです。
当館の研究成果についてご理解いただき、当館へのより一層のご支援をいただけたらと存じます。

つきましては、この展示開催を貴媒体にてぜひ多くの方々にご紹介くださいますようお願い申し上げます。

敬具

趣旨

武人は超時代的に存在するなかで、日本列島のおおむね10世紀から19世紀にいたる中世と近世には、わたしたち現代人が武士、サムライなどと呼びならわし、その風体や生活様式などに一定のイメージを有する、武人たちとその家々が階層的に存在しました。さらに東アジア世界では一般的な文人貴族による政権(朝廷)が存続する一方で、日本列島においては鎌倉・室町・江戸の三つの幕府という武人政権が断続的に成立し、段階的に国政の実権を掌握するにいたります。それは武士という社会的身分が確立していく過程でもあり、武士身分が消滅した近代以降にも決定的な影響をおよぼしました。日本の歴史を現代とのかかわりから捉えるうえで、また比較史の観点から特色づけるうえでも、この武士と武家、そして武人政権の問題は避けて通ることのできない意味をもっています。

しかし、武士そのものを他と峻別し特徴づけるメルクマールは、意外なことに明確ではありません。そもそも武士といわれる人物およびその集団をさす史料上の用語も多様です。「兵」「勇士」「武者」「武士」「侍」など、これらの史料表現は必ずしも現代人のいう武士一般をさすとは限らず、使用法にも時代的な偏差があります。つまり、ある特定のイメージをともなった武士という概念で括られる人々は、わたしたちが考える以上に複雑な歴史的存在であり、その実態さえつかむのが容易ではありません。

共同研究にもとづく本企画展示は、そうした武士と武家を具体的なモノ資料のレヴェルで相対的に把握する試みです。戦士であったはずの武士が行政官となり、武人政権が断続的に存在していく、という歴史的現象を自明のものとせず、中世と近世をつなぐ視角を確保したうえで、武士に関する自己と他者の認識がいかなる資料に、どのように表されているかについて考え、それらの果した機能を社会的コンテクストのなかに位置づけてみたいと思います。そこでは、通時的な武士イメージの形成と変容のあり方自体も、多様な資料に即して分析の対象となるでしょう。

あえていま、「武士とはなにか」という問いを発することで、日本の「伝統」と結びつけながら武士、サムライを美化したイメージで語ることの多い現代社会に対するメッセージとしたいと考えています。

展示構成

プロローグ-武士を描く・武士が書く-

平安時代から江戸時代末期にいたる長いスパンで武士がどのように描かれているか、武士はどのような文書史料を残しているかを概観し、武士に対する私たちのイメージを相対化する視点を準備します。
主な展示資料
主な展示資料:【重文】足利義輝像(当館)、【重文】織田信長像(神戸市立博物館)、徳川家康霊夢像(当館)

戦いのかたち

戦士としての武士の実像をその戦闘形態やツールの通時的な変遷を通じて描きます。あわせて、戦争に関しても古代以来の文書行政能力をもとめられる武士の日本的特色を戦功認定文書の具体例に即して解明します。
主な展示資料
【重文】前九年合戦絵詞(当館)、【重文】結城合戦絵詞(当館)、燻韋威肩紫紅縹腹巻(当館)、当世具足・横矧二枚胴具足(当館)、太刀・腰刀・馬具・金撮棒・薙刀・鑓・鉄砲(当館)、織田信長朱印状(当館)

武家のひろがり

武士を輩出する家の形成とそれらの競合関係、さらには幕府の交代や対外戦争にともなう武家の存廃を経て、支配者としての武士身分が確立し、かれら武家によって語られる多様な由緒とその機能をたどります。
主な展示資料
【重文】越前島津家文書(当館)、豊後若林家文書(当館)、石見亀井家文書(当館)、太平記絵巻(当館)、越後国奥山荘江上館跡出土遺物(胎内市教育委員会)、彦部家資料(個人蔵)、我らはしりめくり之覚(個人蔵)、高城胤則書状(個人蔵)、可笑記(国立公文書館内閣文庫)、伊能家文書(当館、伊能忠敬記念館)、【重文】越後文書宝翰集・和田茂実書状・中条房資記録(新潟県立歴史博物館)、国宝上杉家文書・歴代御年譜(米沢市上杉博物館)

軍学者と武士のイメージ

おもに戦国時代から伝来する武術から芸能にいたるさまざまな武家社会の故実書を前提に、戦いのなくなった江戸時代に武士のイメージは中世をひきずりながらどのように作り出され、いかに表現されるのか、その担い手としての軍学者に注目しながらさまざまな資料(メディア)を紹介します。
主な展示資料
出陣次第(当館)、大和三位入道故実書(当館)、和歌故実口伝(当館)、岸和田流鉄砲伝書(当館)、川中島合戦図屏風(和歌山県立博物館)、川中島合戦図屏風(長野県立歴史館)、川中島合戦錦絵(当館)

文武両道

大規模な戦争のなくなった「平和」の時代における、武士としての理想像の構築と支配階層としての再教育、さらに武芸の延長として生み出される知識や遊芸の体系をさぐります。さらに、幕末の再軍備によって、武士身分が拡大し、江戸時代を通じて創作・増幅されてきた武士イメージが読みかえられ、あるいは実体化されていく倒錯した社会的状況をあとづけます。
主な展示資料
大名武鑑軽板(当館)、本多家文書(当館)、本多作衛門坐像(個人蔵)、御大名出世双六(当館)、江戸曽我家文書(国文学研究資料館)、佐分利流鑓術免許目録・里見流香道免許目録(当館)、釣竿(致道博物館)、雷管ゲベール銃(当館)、小野路農兵関係資料(小島資料館)、戦友姿絵(函館市立博物館)

エピローグ-武士が消える・サムライをつくる-

明治維新で武士身分が消滅し特権は剥奪されていくなかで、旧武士たちの活動とその社会的影響、さらには日本の「伝統」として武士道が作り出されていくプロセスを見通します。
主な展示資料
京都府士族明細短冊(京都大学法学部)、初期開拓移民之図(伊達市噴火湾文化研究所)、軍人勅諭(当館)、日本魂(当館)、徳川慶喜像(当館)、武士道(当館)

総合展示室との連携

第2室 : 中世武家文書の通史的展示(平宗盛書状ほか)、【重文】洛中洛外図屏風甲本の期間限定展示
第3室 : 本多家文書等を使った特集展示「旗本本多家資料の世界」、公家と武家の衣装、など。

展示についてのお問い合わせ電話番号

ハローダイヤル:03-5777-8600 (8時00分から22時00分まで)

このページの上部へ

関連イベント

歴博講演会

歴博講堂にて開催、14時00分~16時00分、入場無料、当日先着順に受付、定員260名

第323回 「武家の史料学」
日時 2010年11月13日(土)
講師 高橋 一樹 (当館歴史研究系)
第324回 「旗本退屈男の事件簿」
日時 2010年12月11日(土)
講師 高久 智広 (神戸市立博物館)

ギャラリートーク

会期中土曜日を中心に数回実施予定です。実施の際は、詳細が決まり次第当館HP上にてお知らせいたします。

このページの上部へ

その他の催事ご案内

歴博探検

ガイダンスルームにて開催、11時00分~12時00分、小学校3~6年生対象(保護者の方も参加できます)、要事前申込、参加費無料、定員20名

詳細はこちら

「昭和の子ども」

日程 11月13日(土)
講師 安田 常雄(本館副館長)

くらしの植物苑観察会

くらしの植物苑にて開催、13時30分から、事前申し込み不要、要入苑料

第139回観察会「佐倉城址の秋の植物」

講師 原 正則(千葉県立中央博物館)
日時 10月23日(土)

第140回観察会「文芸作品にみる菊見」

講師 平野 恵(明治大学 兼任講師)
日時 11月27日(土)

第141回観察会「サザンカの花色と花形の変化を楽しむ」

講師 箱田 直紀(恵泉女学園大学 名誉教授)
日時 12月4日(土)

このページの上部へ

その他の特集展示・くらしの植物苑特別企画

総合展示

「重要文化財 洛中洛外図屏風甲本公開(第2展示室)」

10月26日(火)~11月7日(日)

詳細はこちら

第3展示室特集展示 「もの」からみる近世

「旗本本多家資料の世界」

10月26日(火)~12月5日(日)

くらしの植物苑特別企画

「伝統の古典菊」

11月2日(火)~11月28日(日)

「冬の華・サザンカ」

2010年11月30日(火)~2011年1月30日(日)

このページの上部へ

広報用写真一覧

ご希望の写真(データ)を送付いたしますので、各プレスリリースの写真番号をご連絡ください。e-mailでも結構です。問い合わせ先はリリース本文「このリリースに関するお問い合わせ」をご覧ください。

【ご注意】

  • 本図版の使用は、平成22年度企画展示「武士とはなにか」の広報に関するものに限ります。
  • 掲載に際しては、最小限でも「催事名」「会場」「会期」「掲載図版のキャプション」を明記していただくようお願いします。
  • 情報確認のため、校正紙(ウェブ上の場合は掲載URL)をお送り下さい。ウェブ上での掲載の場合は、画像サイズを400ピクセル以下・72dpi以下のサイズにしてください。
  • ご掲載いただいた場合は、お手数ですが掲載物をご送付ください。

以上の点に留意いただけない場合に発生したトラブルについて、本展主催者として一切の責任を負いかねますのでご注意ください。

武士とはなにか

足利義輝像   油絵徳川慶喜像

1) 足利義輝像(あしかがよしてるぞう)(重要文化財)

(当館蔵)
室町幕府13代将軍足利義輝の13回忌追善供養に描かれた肖像。武士の正装を示している。

 

2) 徳川慶喜像(とくがわよしのぶぞう)

(伊東凾嶺 画 当館蔵)
西洋画家伊東函嶺(いとうかんれい)が描いた晩年の徳川慶喜の肖像油絵。有爵者の大礼服姿で描かれており、明治35年(1902)に慶喜が公爵に叙せられたことを記念して制作されたものと推測される。

官軍忠勇千人之内   色々威腹巻大袖付

3) 官軍忠勇千人之内(かんぐんちゅうゆうせんひとのうち)

(当館蔵)
明治維新に際して活躍した維新政府軍の戦士たちを描いたもの。裃姿の典型的な武士もいれば、洋装で砲術を得意とする姿で描かれた者など、近世から近代への移行期を生きた武士たちの多様性をいきいきと描写している。

 

4) 色々威胴丸(いろいろおどしどうまる)(重要文化財)

(当館蔵)
腹巻は中世前期では歩兵用の10キロ程度の軽快な甲(よろい)であったが、中世後期になると弓を射る騎兵の減少により大鎧が実戦で使用されなくなり、かわって腹巻や胴丸が主体となる。

当世具足・鉄錆地横矧二枚胴具足   雷管ゲベール銃

5) 当世具足(とうせぐそく)・鉄錆地横矧二枚胴具足(よこはぎにまいどうぐそく)

(当館蔵)
江戸時代に大量生産の必要からより簡略な方法で作られた当世具足のひとつ。旗本本多家に伝来した。関ヶ原合戦に着用されたとの由緒をもち、武家の由緒を誇る武具として機能した。

 

6) 雷管ゲベール銃

(当館蔵)
安政1年(1854)の開国後に行われた安政の軍事改革にともなって導入された銃。本資料は国産品で江戸時代末期のもの。

結城合戦絵詞    

7) 結城合戦絵詞(ゆうきかっせんえことば)(重要文化財)

(当館蔵)
15世紀半ばに関東地方でおきた合戦を題材とする絵巻。15世紀末の成立と考えられている。現存分はごくわずかで、しかも結城合戦そのものを描いた場面ではなく、同合戦の前提になった永享の乱のクライマックスの場面が残されている。左掲の画像も、鎌倉の寺院で切腹する足利持氏であることが確定された。戦闘の描写は中世後期のそれをよくあらわしている。

 

 

川中島合戦図屏風

8)-2 (左隻)

  川中島合戦図屏風

8)-1 (右隻)

川中島合戦図屏風

8)-3 (右隻第五扇、信玄と謙信の一騎討ち)

 

8) 川中島合戦図屏風

(和歌山県立博物館)
甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信とのあいだで計5回にわたって繰り広げられた川中島合戦を画題とした屏風。右隻は天文23年(1554)の第2回目の合戦を、左隻は弘治2年(1556)の第3回目の合戦を舞台に、全体として上杉軍優位の展開を描く。

武田氏の遺臣による『甲陽軍鑑』の記述では、信玄と謙信の一騎打ちを第4回目の合戦における出来事とされ、それに依拠した屏風も現存する。しかし、本屏風では、一騎打ちの場面を第2回目の合戦時として描写する。これは、紀州徳川家に軍学者として仕えた宇佐美定祐による『北越軍記』などの記述にみられるもので、ほかにも同書の内容と一致する描写が多いことから、紀州藩主徳川頼宣が宇佐美定祐を監修者として制作させた屏風と考えられ、江戸の徳川本家が甲州流軍学を取り入れたのに対抗して、紀州徳川家が採用した越後流軍学の優位性を主張しようとしたのであろう。

なお、紀州藩に仕えた軍学者・宇佐美定祐は上杉謙信の家臣であった宇佐美氏の子孫を称するが、まったくのでっちあげであったことも明らかにされている。

兵庫県宮山古墳出土資料    

9)前九年合戦絵詞(ぜんくねんかっせんえことば)(重要文化財)

(当館蔵)
11世紀半ばに陸奥国でおきた合戦を題材とする絵巻。一部の写本しか現存せず、歴博本は13世紀後半の成立。戦闘の描写が平家物語のそれと一致しており、中世前期の戦闘形態(武器・武具のあり方や弓を射る騎兵としての武士の姿など)を考えるための一級の史料となる。

   

※内容は変更する場合があります。ご了承ください。

このリリースに関するお問い合せ
人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 博物館事業課
広報サービス室広報係 横尾・島田・三谷

〒285-8502千葉県佐倉市城内町117番地
TEL 043-486-0123(代)  FAX 043-486-4482
E-mail:koho@ml.rekihaku.ac.jp